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長詩、2作品まとめました。

みゆと申します。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。


長編の詩を書きました。


①「高層街のシンデレラ


②「曲論のシンデレラ


①「高層街のシンデレラ
②「曲論のシンデレラ」という作品です。

この2つの詩は、連動しています。
表現はまだまだ拙いですが
読み比べていただけたらと思い、
まとめて掲載しました。

それでは、
よろしければご覧くださいませ。
お付き合いいただき、
ありがとうございます。


みゆ




高層街のシンデレラ


高層の自尊心に住んでいる
私はとっても綺麗
着飾る一粒も真珠のような体も
全て私が、築きあげた
ここは私の、ひび割れた唯一の城

歩き回る愚鈍に、舌が小さく鳴った
こんな灰と一緒にしないで欲しい
どうせならシンデレラは私がいい
王冠を片手に、黒い踵を鳴らす
氷点下では相変わらず、愚鈍が進まない

助けるのは私の役割なんて
割に合わなさすぎて
いつものカシスオレンジと、
たまにはマルガリータでも口にして
全ての汚泥を階段に流れ出し、
ようやく微睡んだ

タクシーに乗るのも私の仕事
明日を面倒に思いながら、
気だるげに唇を半分開けた
隣にはあの人と、憧れの人がいる
今だけは憧れの人と隣がいい
まばたきもせず城に着いたのは、
私が選ばれた者だからと信じている

あの人は私を高層に似合わせる
真珠の粒が艶めくサウナも
まつ毛がすぐに閉じるソファも
愚鈍には欲しくても、手に入れられない
欠けた爪でいる限りこの城には住めないと
身の丈を思い知らせるために
私は綺麗でいるの、と呟く

虚ろな明日が来る
積み上げられた王冠も、黒い踵も
私には重荷になっていく
愚鈍は歩き回り、蝶と踊っている
助けられるなんて割に合わない
シンデレラは愚鈍には似合わない

くすんだ灰になりたくない
それならガラスの靴ごと消えてしまいたい
私の大事な城はたしかにあるけれど、
本当の家はどこなのか
誇りだったあの靴も履かずに
一人でひたすら探し回って、
かすかな透明な逡巡が足にまとわりついていた

愚鈍は蝶と歩き回り、
不思議そうに私を見つめる
折れた黒い踵を楽しそうに履く
そんな自尊心でよければ灰にして
着飾った真珠とひび割れた城で
高層の裸足で立っている私は
とても、綺麗





(2024.5.16 投稿)




曲論のシンデレラ


生きがいを無視されて
踊り回った私と呆れた蝶は、
今日も一緒に傷を舐め合う

プリンセスは、異議を唱えた
『あなたのことなんて理解できない』
私には王族の儚さなんてわからない
遠く離れた存在の月光には、
私の爪の脆さなんてわかるはずがない

プリンセスが、ドレスを脱いだ
二つの影の鈍い動きに小さく息を吐く
黒い踵が私を蹴落とし
形の良いアーモンドアイが憂いを帯びて
白い戦闘服を手に、下界へと旅立った

正論だけを奏でた貴女は、
誰かの不協和音に嫌悪した
その音は音楽じゃない、と
私は生きるためにメモを取り
アイデアを降らせていったはずだった

端正なまつ毛が刃になり、
やがてメモの中央に突き刺した
私はここから出れたら魔法がかかるの、と
プリンセスは私を急かしていく
私はここから出ると魔法が解けるの、と
貴女にあと五分だけ、と懇願する

魔法が解けてメモが散り散りになり、
貴女は踵を返し城へと戻る
私だけがフェアじゃないと、
自分の立場も忘れて
貴女の口にしたカシスオレンジを
眩い人魚のドレスをディアブロに染めて
階段から去っていく

私の周りには、蝶がいた
ふらふらと舞いながら側から離れない
私は現実を見ずに
蝶と舞い上がるのと比例して、
アーモンドアイが鋭さを増していく

王冠を積み重ねて倒した貴女は
裸足で何かを探し回っている
プリンセスの黒い踵が心地良い
折れていても、貴女のものだから

歪んだまつ毛が私を一瞥する
そんな自尊心なら私にちょうだいよ
私には、欲しくてたまらない
高層街の戦場に向かうことが何よりの、
私の生きがいなのだから







(2024.5.17 投稿)



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