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キッチンよりは台所、得意というよりは好き。最近観たものから気がついたこと。


「天狗の台所」
「きのう、何食べた?」
「リトル・フォレスト」

最近U-nextで楽しみに少しずつ見進めていたドラマや映画は、どれも「暮らしっていいなあ」と感じさせてくれるものでした。

主人公の性別、年齢、環境など条件と呼ばれるものはそれぞれ全く異なる作品です。
天狗の台所においては、主人公が天狗の末裔なんて身の回りには起き得ない設定。(いやあったりして?)

それでも、どれも通してこつこつと暮らしている日常を感じられるのは「食」がテーマとして描かれているからかもしれません。

たとえ会社で心が揺さぶられても、人間関係がうまくいかなくても、淡々と台所に立ち料理をしています。
観る者が楽しめるように作られたフィクションなのだから当然と言われればそれもそうなのだけれど、何があっても暮らしの真ん中にあるのが食であって、台所に立ちさえすればなんとかなる、生きていける、と教えてくれているようでした。

人の体は食べたものでできている。
食べたものでしか体は作られない。

なら、生きていくために必要な「食」ってもっと暮らしの中心になっていいものだと思うんです。
仕事も学校も毎日行かなきゃならないし、人との付き合いだって避けられないけれど、体がいい状態でなければどれも楽しむことはできません。
暮らしの中で一番わがままに重心を置いていいものが「食べること」ではないかな、と。

主人公たちがもつ食へのこだわりも素敵でした。

畑で育てた野菜で料理すること。
パートナーの体調を考えて料理すること。
お母さんとの思い出の味を再現すること。

おいしくいただこうという気持ちがあること。

毎日料理をする日々の中で、台所に立つ時間は家事の一つとしてしなければないタスクの一つになりがちです。
「食べること」に到達するにはまず「作らなくてはならない」と考えてしまうから。

仕事をしていれば段取りよく料理したいし、他の家事とブッキングすることなんて当然の時間をどう消化していくかに気持ちは偏ってしまいます。

でもこの作品たちを観ていると、ただおいしいものを食べたいという食いしん坊精神が主人公を台所に立たせていて、生きていく上で大切な「食べたい」という欲に正直にまっすぐ向かっていることが観ていて清々しいんです。
主人公たちにとって、食の時間は何者にも邪魔できないほど暮らしの中心にあると感じました。

また、天狗の食卓とLittleForestでは特に、わりと質素な食卓が画面に映されます。
ごはんと味噌汁とおかずが1,2品。
そのうちの一品は漬物ということも。

一品に心を込めて火を通していく分かりやすいていねいさが見て感じられ、これならできるかもと料理へハードルが下がり好奇心が高まります。

それから、台所も素敵なんですよ。
眼福です。
古民家に住んでいる天狗の台所とLittleForestは壁付けになっていて出窓から優しい光が入りこみ、その逆光で画面には少し薄暗い茶色い台所が映ります。

棚には使い込まれた道具たちが並べられていて、漬けビンも整列。何度一時停止して眺めたことか…

私は自宅がちょうど壁付けのキッチンで築古であることから、天狗の台所やLittleForestの世界観により強く引き込まれてしまうのかもしれません。

どうしても古さを隠せないわが家の造りに、ついついこうだったらなぁ‥とないものねだりしてしまうこともあるのですが、この作品を観ていると流行や新しさ関係なく自分だけの居場所としてお気に入りの空間を創り上げてみたいと思えてきます。

うちの台所、まあまあいいのでは?と
思えてくる

新しければいいとか、古いから趣があって正しいとかそういう価値観ではなくて、それぞれの人がそこで料理することを楽しめるような住処をつくれたら素敵だし、好きな場所で作る料理には自然とていねいな気持ちも込められていくように思うんです。

実はリトル・フォレストの撮影現場は、現在自宅がある市内にあるんです。市内といっても山の方に向けて20キロほど進んだ大自然の中というわけですが。

そういえば、私は昔から3分クッキングや料理番組を見るのが好きでした。今も、ニュース番組内のちょっとした料理コーナーを見かけただけでもウキウキします。

なんだ、
私、結構前から食への興味、
あったんじゃないか‥と振り返って思ったり。

料理は嫌いではない、なんてこのブログで言い続けてきたのですが、得意ではなくたって好きでいていいかもしれないなと思ったのでした。

年末年始、子どもたちが毎日自宅にいる冬休みを過ごしていますが、三食を共にする日々の中でいつもより少しだけ食の存在を意識して過ごしてみたいと思います。

昼食を作る長女さん
すべてお任せ
作る人は自分が食べたいものを作っていい
というルール

最後までお付き合い下さりありがとうございました。

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