河野正夫からの重要なメッセージ。今年の教員採用試験で合格するために。

河野正夫からの重要なメッセージ
ー今年の教員採用試験で合格するためにー
(文字バージョンです。)

次の文章を是非とも,ご一読ください。
皆さんの合格に大きく役立つはずです。

最近の教育は,学習者中心です。
教える側の教師からの一方的な知識伝授という形態から,学ぶ側の学習者が主体的に,自ら課題を見つけて,解決するという学び方が礼賛されています。
この考え方からいけば,学びの主体は学習者であり,もし,学習者が学びに困難を抱えている場合は,教える側の教師が,学習者に学びに対しての興味関心や意欲付けを提供する必要があります。つまり,教師は,きっかけを与え続け,学びのファシリテーターとして,学習者の主体的な学びをサポートする役割を担います。
また,最近の教育では,個別最適な学びも重視され,集団指導の中でも,個に応じた指導,指導の個別化,学習の個性化が重要視されています。このことに併せて,集団の中での協働的な学びの重要性も提唱されています。
これらの考えに特に間違いはありませんし,現代の教育論としては主流のものでしょう。

さて,近代教育の最大の特徴の一つは,集団一斉指導です。
教室に20名~40名程度の学習者を集めて,学習を成立させる形態です。
時代とともに,教師による一方的な知識伝授から学習者主体の学びに転換しつつはありますが,学校教育においては,集団一斉指導がまだまだ主流です。
また,このことは,昨今の教育のビジネス化にも関係しています。
教育を大型ビジネスにするのであれば,個人指導型よりも,集団指導型にした方が効率がよく,売り上げや利益も最大化できます。
近代教育は,集団一斉指導という効率化と,それをビジネスモデルとした教育産業によって,学校教育,予備校,塾,各種学校など,多くの生徒を集めての集団指導が定着することになりました。

近代教育以前は,教育は,ほとんどの場合,師匠から弟子への1対1の指導が基本でした。
近代教育が定着した現在でも,ピアノのレッスン,伝統芸能,音楽,芸術などのお稽古などは,師匠と弟子の1対1の指導が根強く残っています。

また,プロフェッショナルな領域では,集団での指導・対応は,ほとんどなされていません。
例えば,医者が患者を診察・治療する場合は,医師と患者の1対1です。
患者を何十名も集めて,一人の医師が,授業・講義をするということはありません。
弁護士・税理士・カウンセラーなどの場合も,依頼人と1対1で助言を行います。
こちらも,依頼人を何十人も集めて一斉にアドバイスということはありません。

ところが,学校教育,そして,その周辺にある予備校・塾などの教育の世界は,効率性と収益化を目指したビジネスモデルのため,集団指導が基本となっています。
特に,効率性と収益化を目指したビジネスモデルを追及する塾や予備校などの場合は,顧客には利益重視のためとは言えませんので,「みんなで学ぶ」,「お互いに切磋琢磨する」,「学びの仲間を増やす」などの理由を挙げて,集団指導の存在意義を強調します。
それらの理由が特に間違っているわけではありませんが,顧客(学習者・受講者)の最大の利益という点においては,若干,精神論や主観論に逃げている気がしないでもありません。

医師や弁護士・税理士・カウンセラーなどが,一対一のセッションでアドバイスするのは,それは患者・依頼人・クライアントの最大の利益を実現するためには,集団指導・集団対応よりも,一人一人への助言とサポートの方が,はるかに効果的だからです。
医師がガン患者を何十人も集めて,授業や講義をしても,病気の効果的な治療にはならないでしょう。
弁護士が犯罪者を何十人も集めて,授業や講義をしても,裁判で効果的に無罪を勝ち取ることはできないでしょう。

学校教育では,まだ未成年である児童生徒に,きっかけや激励を与えることは重要でしょう。
「みんなで学ぶ」,「お互いに切磋琢磨する」,「学びの仲間を増やす」などの効果もかなり期待できます。

しかしながら,教員採用試験の対策講座,それも,試験の直前期であれば,集団での一斉指導が,学習者・受講者の最大の利益になるかどうかは,極めて疑問です。

直前の時期までであれば,仲間と学びながらペースメーカー的に学習を継続し,また,仲間と切磋琢磨しながら意識や意欲を向上させるということは,望ましいことでしょう。

ただし,試験直前の時期は,「みんなで学ぶ」,「お互いに切磋琢磨する」,「学びの仲間を増やす」などの時期ではありません。

試験直前の時期は,「自分が合格する戦略を練り上げる」,「自分がこれまで準備してきたことを総点検し,合格への武器に仕上げる」,「自分の合格の可能性を最大限にするために,自分の語りやパフォーマンスを磨き上げる」ことが何よりも大切です。

教員採用試験は,高校受験や大学受験などとは違います。
高校受験や大学受験は,受験者の年齢も概ね同じです。せいぜい,一浪や二浪した人がいるくらいでしょう。
受験する学校によって,似通っている受験者が試験を受けます。
つまり,例えば,東京大学を受験する人は,大体の年齢は同じですし,大体の学力もかなり高い方ですが同じくらいです。
教員採用試験は,受験者の年齢は,21歳~59歳です。
学力もとても高い人から,相当低い人までいます。
学歴・職歴・経歴も多種多様です。
バックグラウンドもユニークな人も多く,千差万別です。

そういう多様な教採受験者が集団で集まって学ぶというのは,直前期までなら,それなりの効果があり,気持ちの支えにもなるでしょう。
しかし,直前期まで,集団での学びを続けていたら,集団に埋没してしまいます。
集団に埋没してしまえば,もともと合格しそうな人が合格し,もともと不合格になりやすい人が不合格になります。

ですから,試験の直前期は,個人レッスン・個人講座の一択なのです。
試験の直前期までは,集団講座で学ぶ意味はあります。
しかし,試験の直前期に入ったら,個人レッスン・個人講座の方が,はるかに効果的で,はるかに合格に近づきます。

心苦しい昔話をさせてください。
コロナ前,レトリカは,8月に直前講座という試験直前の特別講座を開講していました。
ものすごい人気で,全国から,多くの受講生が集まりました。
文字通り,北海道から沖縄まで,ほとんどの都道府県・政令市から受講生が集まりました。
毎年,わずか 1週間の直前講座だけで,500万円以上の受講料売り上げでした。
何十名・何百名も集めて,連日,長時間の講座を行っていました。
確かに,合格者は多く出ていたのですが,私は,このような集団講座での直前対策の限界を知っていました。
合格者は多かったものの,それでも,不合格になるのは,不合格になりそうな年齢・職歴・経歴・バックグラウンド人たちばかりでした。
不合格になりそうな年齢・職歴・経歴・バックグラウンドの人が合格するには,別途,個人レッスンを受講する必要がありました。

ビジネス的には,そして,売り上げ・利益的には,直前講座のうま味は,主催者にとっては,とても大きなものになります。
でも,受講者・受験者のためには,あまりなりません。
受講者・受験者は,直前期であれば,個人レッスン・個人講座の方が,圧倒的に合格に近づけるのです。
主催者にとっては,個人レッスンは,利益率が悪いので,直前期には,塾や予備校から敬遠されがちです。
しかし,試験の直前期は,個人レッスン・個人講座こそが,合格への決め手になります。

レトリカは,直前期の大人数での特別の集団講座の開講は,したくありません。
主催者にとっての売上と利益には大きくつながりますが,受講者・受験者の最大の利益にはなりません。

教員採用試験を受験する予定の方々にご助言申し上げます。
試験直前期には,集団講座ではなく,個人レッスン・個人講座のご受講をお奨めします。

直前期に,集団講座で,受験仲間と癒し合ったり,切磋琢磨したりする必要はありません。
そういうことは,直前期までの集団講座で行うのであれば,効果的です。

直前期は,あなた自身が合格するために,「自分が合格する戦略を練り上げる」,「自分がこれまで準備してきたことを総点検し,合格への武器に仕上げる」,「自分の合格の可能性を最大限にするために,自分の語りやパフォーマンスを磨き上げる」ことを,個人レッスン・個人講座で行ってください。

塾・予備校の都合ではなく,あなたが合格するための最適な学習スタイルの選択を行ってください。

塾・予備校はビジネスで動いていますが,あなたは,あなた自身の人生のために,そして,未来の子供たちのために,教師になるのですから。

河野正夫 拝


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