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cervelo S3 2019 リムverインプレ


以前このバイクのファーストインプレをUPしたけど、それから大体4000キロ乗って色々わかってきたので2ndインプレッションをしようと思う。

重量について

何故エアロロードなのに重量から切り込むのか。それには理由がある。以前このバイクの51サイズ、ステム130mm、ステンレスボトルゲージ、アルテ68ペダルを加えた重量は8キロジャストだと私は書いた。現代ロードバイク、しかもレース向けとなると相当重たい。まあ決戦ホイール(死語だ!)を履いてないからもう少し軽くはなるけど、練習で使用しているのはカーボンホイールな訳で。そう考えると見た目より相当重たい。

しかし私はこんなことを言いたいのでは無い。このバイクの面白いところは重心位置が秀逸だということだ。

このバイクの専用ステムは超重い。皆んながこぞって変えたがるヴェンジのステムの1.5倍以上の重量はある。しかもステムを変えることはできないという仕様のお陰で、このバイクにはこの激重ステムしか使えない。

さらに言えばハンドルも270gほどある。ハンドルに関してはある程度選択肢がある(メンテナンス性は激落ちするが)ので、変えようと思えば変えられる。

そもそもリムブレーキなのは監督曰くディスクブレーキは安全性がーーとのこと。まあ釈然としないし、次のバイクはディスクと決めてるから関係ないが、ぶっちゃけ今買うならディスク一択だ。トラブったとしても現状打開策はあるわけだし。

話が逸れたな。このバイクはパッと見で重量配分クソだなと思った。ダンシングしてもフロントで止まってる感覚があった。…あったのだ。確かにあった。だがそこはサーベロ。考えられている。これに気がついた時、口には出さなかったが正直感服した。
このバイクをダンシングで進ませるためには、ちょっとした一工夫が必要だ。クセではなく、乗り手側が成長しないと乗れないバイクだ。言葉で説明するのは難しいが、リッチー・ポートやコンタドールといった選手はこのバイクを進ませられるだろう。彼らのダンシングは動画で確認してほしい。

さて、もう一つ発見があった。この「フレームセット」、フロント側がめちゃくちゃ軽い。正しくは重心がリア側、そして下側にあると言うべきか。要はリアエンド、チェーンステー、ダウンチューブ下部、BB付近に重量が集中している。フォークかなり重たいが、トップチューブやダウンチューブ上部が軽いため相殺されている印象だ。

この重量配分に関して、よく考えられてるなと感じた。クルマでもそうなのだが、重心が後ろにあるフレームは基本的にオーバーが強い。逆に前に重心があるフレームはアンダーが強い。その傾向を感じ取ってライダーはバイクをコントロールしなければならない。

しかし、このようなフロントが軽いバイクは、オーバーステアになる代わりにフロント剛性が弱くなる傾向がある。サーベロが空力を煮詰めた結果の副産物かもしれないが、このバイクにそのような軟弱な印象はない。もしくはステムの重さを嫌ってフロントを強引に軽くしたか。その結果重量配分が凄くいいバイクになった。

コーナーで怖いくらいに切れ込むが、不思議と不安定さはない。落ち着いてるなと思う。

剛性について

皆んな知りたいであろうこのフレームの剛性。端的に言えばそんな硬くない。なんというか懐が大きいフレームでありながら、ちゃんと走らねーとぶちのめすぞと言われてる感じか。ただレース強度で走る分には凄く自然な挙動だ。自分は割とトルク型のペダリングだが、踏むだけだとこのフレームは伸びない。ちゃんと「回す」意識がないと進まない。硬いわけではないとはそういうこと。常に跳ね返されるというよりは、ちょっと力を抜くと一体感が増すバイクだ。

フロント剛性も特段問題はない。コーナーでもたつくことはないし、ワインディングを攻める分にはとても心地よい。リア剛性も凄まじく良い。狙ったなと思う。0加速はそこまで良くないし、なんなら踏み出しはそこまで軽くない。しかしペダルを踏み込んでいくと進み方が明らかに変わる。リア剛性が足りてないバイクは、基本的に加速でバタつく。要はリアが跳ねるのだが、このバイクにはそれはない。むしろトラクションがしっかりかかってると感じる程だ。ちょっと重たいギアで加速しようとするとその恩恵は大きいと思う。ちなみにスプリントを何度も試しているが、このバイクだとコックピットの剛性が高いため、とんでもなく伸びる。ハンドルに体重を預けられる安心感は凄まじい。

登坂性能

登坂性能に関してはこのバイクはそこまで良くない。クライミングバイクではないから仕方ないがやはり重量配分がここではデメリットになっていると思う。

緩斜面についは悪くない。5%までの登りならむしろ速い。トルクを掛けてグイグイと回すと案外スルスル登る。しかし苦手なのは急斜面。ダンシングでもシッティングでもバイク全体がギクシャクしてる感じが強い。元々重いバイクの特徴だが、モロに出てるなと感じた。特にステム、リアバックが重いこのバイクだと少し引きずる感じが強い。これに関してはホイールの問題もありそうだが。リム重量520gのホイールは明らかに山に向かない。

コンフォート性

期待してたほどでは無いなというのが私の現状での感想。というよりこれはタイヤの問題だし、私の超前乗りポジションも影響しているからフェアな評価を下せない。意外と縦剛性はエアロロードにしては無いけど、やはりエアロロードだから普通よりはあるなとは思う。

エアロ性能

普通より進んでるなー程度には感じる。今住んでいる地域がとんでもなく風が強い(風力発電所がある!)というのもあって、ホイールが横風に煽られまくるしバイクの制御も難しい。まあその中でもしっかり進んでくれる辺り流石だなと思うが。

総括:乗り手のスキルは必須

どんなバイクでもそうだが、このバイクは特にそうだ。というよりサーベロ全体がそういうバイクを作ってる。下手な人はとことん進ませられないし、上手い人はすごく進ませられる。一つ言えるのは、日本で出回ってる乗り方だとこのフレームの真価を発揮できないということ。今度解説しようと思うが、割とここのスキルは必要になる。本気で競技やりたいならオススメできるバイク。ただ時代には合わないけど、一世代前のエアロロードと同レベル(もしかしたら上回ってるかも)だから問題はない。ちなみにディスクブレーキになると空力は悪化する。某雑誌のテストではそれが色濃く出ていたらしい。まあ制動性はディスクのほうがいいことには変わらない。


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