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症例紹介#8【ギックリ腰(鍼を使わない治療)】

患者と主訴

患者:50代男性
主訴:ぎっくり腰
状況:しばらく腰がダルいなと思いながら生活していた。床に落ちた物を拾おうとかがんだところ、発症。起き上がれなくなってしまった。

脈診・舌診

脈所見:省略した
舌所見:省略した

考察

床に落ちた物を拾おうとした際に腰を痛める場合に多いのが、膝を曲げてしゃがんで拾うのではなく、膝を曲げず、前屈みになって拾う場合が多い。
これは、下半身の筋力低下、もしくは下半身の疲労により「しゃがんで立つ」という動作が面倒になっていることに起因する。
本症例においても、日常生活の大部分において座っていることが多く、運動習慣もないため、筋力の低下と下半身の過労状態の両方が原因として考えられる。

治療方針

患者は、鍼・灸に抵抗がある旨申し立てることから、整体施術のみで症状の緩和を試みた。

治療内容

一日目

まず、腿裏(ハムストリングス)に触れると、大腿二頭筋がキンと張っている状態で、うつ伏せで寝ている状態でも全く弛緩していなかった。
また、股関節を構成する中臀筋も強く膨隆し、股関節から腿裏の筋肉の硬化による急性腰痛であると推察できた。
よってこれらの筋肉を中心に手技でしっかりと緩めていく。
方法としては推拿(中国式整体)を用いている。


赤丸の場所がハムストリングス(大腿二頭筋・半腱半膜様筋)の起始部に当たる


赤丸は大腿二頭筋と半腱半膜様筋の筋溝に当たる


以上の場所を主に施術対象として行う。

また、これらすべてが足の太陽経筋上にある病症であることから、同じ足の太陽経筋ラインである背骨沿いもしっかりと刺激して、同ラインの気血の巡行を促してやることを意識する。

来院時は、一歩ずつ腰を庇うように慎重に歩いていたが、施術後は当院の階段もしっかりとした足取りで降りて行った。

二日目

上記と同じ場所を中心に施術し、患者の了承を得た上で


腎兪に箱型の温灸器を乗せて腰を温めた。

治療後は、腰を痛めているとはわからないほどしっかりとした足取りで歩いて帰って行った。

養生法

腰を痛める原因の多くは、股関節および腿裏の筋肉の過緊張が原因となっている。そのため、上記イラストの場所をストレッチすると良い。
相撲の「股割り」のストレッチは、自分の現在の関節の柔らかさ・硬さを知る指標にもなるので有益な方法であると思う。

灸を使って、患部を刺激する方法も良いその場合は下記ツボを使用する。



灸はせんねん灸が最も使いやすく、紹介しているものは熱感が最も優しいもので、初めてでも使いやすい。

火を使うことに抵抗がある場合は、やや値ははるが火を使わない灸を利用しても良い。

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