フィクションと言えども

青天を衝けの後も変わらず大河ドラマを見続けている。今回は三谷作品ということもあり、始まる前からの期待も高かった。資料があまり残っていない平安後期~鎌倉時代初期をどのように描くのだろう…と思っていた。

今日は「亀の前事件」と呼ばれる頼朝の正妻(政子)と妾(亀)の間で繰り広げられた抗争を描いた。そもそも、頼朝が正妻を持ちながら妾を愛でていたことが政子の知るところになり、こうした騒動に発展したそうだ。

「吾妻鏡」に書かれていた内容通りに話が展開された今日であったが、こんなドラマ向きの話まで残っていたとは驚きである。ただ、資料に詳細な事実までは残っていないので書かれていない余白は脚本で補う。下手人は政子の継母の兄である牧宗親であるとされるが、ここに九郎義経が絡んでいたというのは完全にフィクションである。しかし、これまでの話の流れからするに、本当に九郎が関わっていたかもしれないと思わせるのは、書き手の上手さだなと実感できる。

この事件の顛末は、政子の父である北条時政が激怒して伊豆に帰ってしまうという騒動になったそうだ。まとめると、不倫騒動が政権に影響してしまうのだが、ちょっとしたすれ違いが重なって大騒動になること自体は、どこのコミュニティでもあり得そうな話である。その"ちょっとありそうだな"という感じを作るのが三谷作品の上手さともいえる。ドラマだからといって完全に創作というわけでなく、見ている人に実感を伴わせてしまうのである。

登場人物も段々増えてきて、怪しげな動きをする人間もより多くなってきた。3月の放送も終わりなので、全体の約4分の1が終わったことになるが、ここまで早かったなという印象だ。この先、平家滅亡、鎌倉幕府成立、そして源氏将軍家滅亡…と、どのように描かれていくのかが楽しみである。

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