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【簡単あらすじ】黄土館の殺人(微ネタバレ)【阿津川辰海/講談社タイガ】



『私が、何をしたというの』


現代日本にそぐわない異様な建物・黄土館。
華麗なる芸術家一族・土塔家長男と飛鳥井光流の結婚披露が行なわれるため、そこに一族が集結する。

新婦の飛鳥井から「力を貸してください」という手紙を受け取った葛城らは、黄土館に向かうが…

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『はじめに』
酷かった花粉の飛散もようやく収まり、窓を開けると爽やかな風を感じ・ポカポカ陽気で何となく幸せも感じるという、絶好の読書シチュエーションを得られる時期が到来しました。ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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「東洋のミケランジェロ」と謳われる土塔雷蔵は、絵画・彫刻・建築の世界的アーティストであり、四人いる子供もその才能を受け継ぎ、長女・幸恵は絵画、次女・月夜は彫刻、三女・花音は歌、という各分野において非凡ではない活躍をみせる。

そのような華麗なる一族である土塔家の長男・黄来と、一作目・紅蓮館の殺人で葛城らと知り合いになった飛鳥井光流が結婚することになり、その結婚披露の席を設けるという理由で、年末年始に雷蔵自身が建築した黄土館と呼ばれる館に土塔一族が集まる。

飛鳥井光流とは、少なからず因縁があり、出来る限り会いたくない相手でもあるが、葛城とその友人の田所・三谷は黄土館を訪れるために車を走らせる。

飛鳥井から、

「あなた方しか頼れる人がいません。力を貸してください」

という手紙を受け取ってしまったから…

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館四重奏シリーズの第三作です。

本作も、前作までのシリーズと同様に「二つの事件が発生し、様々な障害があるなかでそれを解決する」という流れになっています。

地震による土砂崩れによって道路が使えなくなり、分断されてしまった探偵・葛城と、その友人の田所・三谷。

目的地だった黄土館と、黄土館とは反対側の旅館・いおり庵の両方で殺人事件(計画)が進められます。

当然、葛城側で発生した事件については葛城が解決しますが、葛城が手の出しようのない黄土館での事件は、誰がどのように解決していくのか。

そこは読んでのお楽しみです。

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今作については、ある理由から、探偵・葛城と同じく「腹が立った」という感想を持った方もいるかもしれません。

しかし、今作は、ある人物の復活がテーマの一つです。

読者の皆さんも、自分の職場で、しばらく現場から離れていた部下に対していきなり「高難易度の業務を行え!」と言うことはほとんど無いでしょうし、もしそんなことをしたならば、相手から「パワハラだ!」と訴えられてしまうかもしれません笑

ですので、今作は、ある人物が復活するためのならし事件と考えると、最高のつなぎ作品と言えます。

そして役者がそろった次作、館四重奏のトリを務めるシリーズ最終作(恐らく、風と春がテーマになるでしょう)は、どのような敵・どのような謎・そして探偵たちの絡みはどのようになるのかなど、想像だけでもとても楽しみにさせてくれる読了感でした。

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