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最近の金融経済動向(2023年11月)


四半期報告書を廃止。短信に一本化。

 金融商品取引法の改正により、2024年度から決算短信と内容の重複が多かった四半期報告書が廃止となり、決算短信に一本化される。

 とはいえ短信になくて、四半期報告書にあったセグメント別の収益や、キャッシュフローの情報開示を、短信に盛り込む形で一本化して、これまで四半期報告書で得られていた情報を取りこぼさないように配慮する方針となっている。

 個人的に一本化されることはありがたいものの、短信のメリットは速報性だと考えているため、盛り込む情報が増えたことで、適時開示のタイミングがこれまでよりも遅くなるようであれば投資家にとってはバッドである。

 逆にこれまでと同様の速報性を担保しながら、盛り込む情報量が増える場合、経理担当者としては通年の業務量は削減できても、ピンポイントで猫の手も借りたくなる時期が増えるようなら、気持ちとしては複雑だろう。

 とはいえ、行政主体で貯蓄から投資を促すための法改正や新NISA然り、日本証券取引所がPBR1倍割れの是正勧告。単元取得が50万円超の値嵩株はリストにして公表するなど、この1年そこらで、投資の敷居を下げる方向に進んでいる点は評価している。

新NISAの裏で、証券コードに英字採用。

 同じ株式投資繋がりで、新NISAが盛り上がるのとは対照的な話題で、証券コードの枯渇問題に対処すべく、新規上場銘柄で数字が枯渇した場合、アルファベットが採用されるようになる。

 1300番台より若い番号は債券などで使われているため使用できないとのことだが、個人的には上場廃止銘柄の番号を永久欠番にするのではなく、3〜5年程度欠番した後に再度割り当て可能にしたり、REITやETFは英字を採用するなど、もっと早い段階で運用を柔軟にする方が先だったのではないか思う。

 と言うのも、既存銘柄はテンキーで入力可能なためコード検索が便利だが、新規上場銘柄は英数混在のコードとなるとテンキーでは検索できず、わざわざ社名を入力するか、英数混在のワンタイムパスワード染みた入力をしなければその銘柄に辿り着けず、どこか面倒臭く感じる。

 無論、そう思わない人もいるだろうが、私のようなものぐさな人間は銘柄分析をする際に、英字が混在した証券コードを打つのが面倒だと感じたら、既存の数字4桁銘柄の中から優先的に選定する可能性はある。

日経平均、33年ぶり高値圏。

 11月24日前場の日経平均株価で、年初来高値である33,753円を上回る局面があり、バブル期後33年ぶりの高値圏で推移している。

 これをボックス相場の天井と捉えるか、新高値ブレイクをするものと捉えるかは、人によって異なるが、未来のことは正直わからない。

 ただ、現状の為替レートだと1ドル150円=1万円が$66であることを意味する。つまり、円建てで見た日経平均株価と、ドル建てで見た日経平均株価とでは印象が異なるわけである。

 データが1年以上前のため、現在でもどこまで信用して良いのか分かりかねるが、日経平均先物に限れば、売買代金の73%が海外投資家らしく、実に3/4が海外投資家によって取引されている。

https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/fund/report/fund_shiryou220420_10.pdf

 この事実を鑑みれば、円建てのチャートを見た印象は少数派。ドル建てのチャートを見た印象は多数派と考えられ、どちらの目線から売買を判断した方が良いのか。それとも両方の目線で判断すべきか。その辺りの道標くらいにはなりそうだと感じる。

米株高+円安=アメ株ホルダー爆益。

 上半期に急騰した日本株と違い、利上げに伴う上昇圧力からパッとしなかった米国株式だが、市場では利下げへの期待感から再び上昇に転じ、7〜8月の水準まで戻している。

 そして何より、前回よりも円安が進んだことで、ドル建てでの評価額は同一でも、円建てでの評価額は5%近く上昇していることになる。

 そのため、日本株が盛り上がっていた際に、狼狽せず米国株を握り続けることができたホルダーは、それなりにウハウハな状態となっているものと思われる。

 長期投資をしていると、流行り廃りに上手く乗ることよりも、当初の方針からいかにブレずに継続できるかの方が重要だったりする。

 と言うのも、イノベーター理論で例えるなら、イノベーターやアーリーアダプターが流行りの種を撒いたり育て、アーリーマジョリティに浸透した辺りから流行りとして一般に認知される。

 つまり、流行りを確認してから参入しても、旨みが残っていないことが往々にしてあり、株式投資であればいわゆる高値掴みの可能性が高い。

 先行者利益を得たいのであれば、金融業界や世間一般が流行りとして認識するよりも前の段階で目を付けて、実際に投じている必要があるが、単なる未来予測以上でも以下でもないため、百発百中で当てられる性質のものではない。

 そう考えると、流行り廃りを気にしてあれこれ高値掴みするよりも、これらは景気循環と捉えて、投資方針は変えずに、時代の変化で芽吹く時を待つ方が合理的ではないだろうか。

 裏を返せば、今現在米国株式が儲かり始めていると言うことは、今から参入する場合は、価格変動リスクと為替リスクの両方を背負うことを念頭に置いたリスク管理が重要と言えるだろう。


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