見出し画像

最近の金融経済動向(2023年12月)


積立or一括、アメ株orオルカン論争に終止符?

 結論を記せば、1月に一括投資、S&P 500が最も期待値が高いことになるが、個人的には期待値云々抜きに、自分が長く続けられる方を選べば良いと考える。

 というのも、いずれの4パターンを選んでも、資産形成の観点では合格点に達しており、現状の統計データから、あえて数理上の優劣をつけるならアメ株を一括投資が最も優秀なパフォーマンスを叩き出しているだけで、その結果が未来永劫保証される訳ではないからだ。

 私の基本姿勢としては、クレカのポイント稼ぎを除いて一括投資。投資対象は効率の良い資産形成のために信託報酬が低い方を選ぶようにしている。リターンは不確実だが、コストは確実に発生するからだ。

 本音では全世界株式だが、信託報酬の引き下げがあるまでの長らくの間は、米国株式の方が運用コストが低廉だったため、仕方なしにS&P 500を選んでいたが、最近になってオルカンの方が安くなったため、新NISAの枠と相まってこれを機にアメ株から全世界株式にシフトする所存である。

 数理上のパフォーマンスは全世界株式が劣るものの、過去10年の米国一強が、平均寿命を全うする前提で半世紀以上もの間、その地位を保持できるかは、これだけきな臭い時代となりつつあることもあり、些か懐疑的な姿勢となっている。

 そのため、加重平均により時代の覇者が最も多く組み込まれる仕様のオルカンの方が、勝者を選ばなくて良い分、裁量を排除できることから、インデックスファンドの醍醐味である、ほったらかし投資の観点で理にかなっている。

 納得感を持って継続し続け、複利の恩恵を受けられるなら、投資手法の違いによりパフォーマンスの差異など軽微なもので、むしろ、数理上最も合理的な選択をしたものの、自分には合わずに辞めてしまう方が、目先のリターンよりも、複利を逃すことになりもったいない。

 だからこそ、自分が長く続けられる方を選べば良いと、一周回って至極シンプルな結論に辿り着く。

日銀、大規模緩和を継続。

 総裁のチャレンジング発言を発端に、市場関係者の間では1月に利上げがあるのではないかとの見方があり、為替も円高方向に傾いたが、その深読みも虚しくマイナス金利解除は見送りとなった。

 個人的に利上げを行うとするならば、マーケットに対する地ならしが必要との見方から、年明け辺りから伏線を張り始めるとしても、早くても4月以降ではないかと踏んでいる。

 それにより、日米の金利差が縮小して、為替が円高方向に動くのではないかとの見方も可能だが、逆の見方でインフレの本質が通貨価値の下落であるならば、むしろ日本の方がインフレがマイルドな分、通貨価値が米ドルほど下落しない筈とも捉えられる。しかし、現実には超がつくほどの円安に傾き、金利差が開く毎に加速していった。

 為替に限った話ではないが、金融市場の膨大な変数によってシーソーが機能しており、何が原因でシーソーが動くのか、そのメカニズムを完璧に特定するのは不可能である。

 今回の「円安」に関しても、経済メディアが「日米の金利差」と尤もらしい説明をして、我々は往々にして納得してしまいがちだが、先述の通り通貨価値という尺度で分析すれば、逆のロジックが成立する。

 つまり、我々は相場が変動した際に、何かそれっぽい材料があると、それをもとに都合良く解釈してはそこで興味を失い、それ以上深掘りすることをやめてしまう嫌いがある。

 このことを自覚した上で、経済メディアやアナリストの発言を、ある意味批判的に捉え、両極端の思考から自分なりの仮説を導き出す習慣が何より大切なのかもしれない。

新紙幣は来年7/3から。

 日銀繋がりで、我々が有り難がっている日本銀行券のデザインが2024年7月3日発行分から変更となるため、財務省が現行紙幣が使えなくなる詐欺が出てくるだろうから注意する旨を呼びかけた。

 投資家目線では、モメンタム投資として紙幣計数機のメーカーや自販機全般、遊技機メーカーなどが新紙幣の対応に迫られるため、更新需要で業績向上が見込める期待感から、既にそれらを織り込む形で株価が形成されている様に私には見えるため、今から関連銘柄を物色するのは些かリスキーだと感じる。

 むしろ、新紙幣に対応するためにコストをかけるくらいなら、キャッシュレス決済に完全移行した方が良いと、事業によっては大胆な舵取りを行う可能性も捨てきれず、その場合は決済関連の金融銘柄の方が、既に日米の金利差で動きが出てしまい、あまり注目されていない分、お宝銘柄の探し甲斐があるかもしれない。

 大切なのは、周囲が話題にし始めてから調べるのではなく、その前段階で世の中に小さな変化が生じた際に、それを察知しては想像力を膨らませて、将来起こるであろう確度の高いシナリオを思い描く。

 そのうえで、世間では気付かれていないが、自分なりに考えて導き出した関連銘柄を、ぜたっい に ばれない ように 仕込み(バーチャルトレードでも構わない)、近い将来に答え合わせができる。

 その結果検証を繰り返すことで、解像度と精度の高い未来予測ができる様になると、瞬く間に投資が面白くなり、経済新聞が読み甲斐のある媒体に変わる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?