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逃げ道を確保する。

別の選択肢があると思うだけで、失敗を恐れずに挑戦できる。

 逃げ道と聞くとあまり良い印象を持たないかも知れないが、私が尊敬する四隅大輔さんも、趣味の釣りとアウトドアスキルから、無料のキャンプ場で食べ物を自前で調達して、テントと寝袋があれば生活には困らない。

 お金が必要になったら教員免許を駆使して学校の先生にでもなれば良いと考えて、安定した会社員を捨てて、ニュージーランドの湖畔と東京を往来するノマドライフを送っていると本書に記されている。

 私は第二種電気工事士という家庭用の電気工事が認められている国家資格を高校生で取得した。

 電気工事の仕事自体に興味はなかったものの、毎年夏場の家電量販店でエアコン設置工事の予約が満杯となっている光景を見て、電気工事の需要が消滅する事態は想定しづらく、この資格があれば食いっぱぐれることはないと考えたためだ。

 高校で就職活動を行った時も、漠然と電気工事の会社なら就職できると考えていたから、担任や進路担当の先生方の現実的なアドバイスは鵜呑みにせず、自分が納得できる形で好き勝手に挑戦した。

 結果として、当時の私が思い描いた未来は実現しなかった。それでも、

自分が納得できる選択をしたから、後悔はしていない。

 高校を卒業後は、駅員さんになった訳だけど、3Kどころか数えてみたら8Kの仕事がどうしても辛くて、辞めてしまいたいと思うなら、持っている電気工事士の資格を利用して転職してしまえば良いと思いながら勤めていた。

逃げ道があるから、大抵のことは真に受けずに済んだ。

 生活コストの安さも幸いし、即座に収入源を失っても、数年間は生活に困らない貯蓄があることが判明してから、金銭面以上に精神面で余裕を感じられるようになった。

 周りは見栄とか世間体に流され、築浅の綺麗で割高な賃貸を契約したり、必要のない保険に加入したり、オーバースペックな車をローンで購入したりと、生活コストを収入ギリギリまで上げていた。これはパーキンソンの第2法則が証明している。

”支出の額は、収入の額に達するまで膨張する”

パーキンソンの法則|Wikipedia

 そのため、年功序列賃金の中で普通に生きていれば、生活コストは膨らんで当然なのだ。

 しかし、膨張する支出額に対して何の疑問も持たずに漫然と生活していると、ちょっとした収入の減少やリストラに怯える生活になりかねない。

 そんな中、変わり者で通っている私は、世間体を気にする必要もなければ、上には上がいる広い世界のほんの一部分でしかない、狭いコミュニティ内で見栄の張り合いをすることに不毛さを感じていた。だから、

生活レベルを学生時代から一切引き上げなかった。

 そのお陰で家賃と月3万円程の生活費が賄えれば、健康で文化的な最低限度の生活を営めるだけの自信を手に入れた。

 生活コストの安さと、見栄や世間体を気にしないことが、となりの億万長者に記される成功を生む7つの法則のうち、2つを満たしていたことは、後から知ることになる。

 そんな価値観で働いていたから、自身の倫理観を捻じ曲げるのが嫌で、会社員なら一度くらい遭遇するであろう黒を白と言うべき場面でも、堂々と黒と言っていた。昇進したいとも思えなかったから、上司の指示や要求が理不尽だと感じれば、納得するまで従わず、合理的に意見していた。

 逃げ道があることで、自分よりも地位や権力のある相手からの理不尽な要求を、我慢して受け入れる必要なんてない。

ジャッジがまともなら理屈を取っている方が勝つ。

 もし仮に、あなたが理屈を取って負けるような組織に属しているなら、今すぐ逃げたほうが良い。

まともでない人間の相手をまともにすることはない。

 これは私の好きな伊達政宗の名言である。

 そんな私を管理職は煙たがったけど、労働組合は買ってくれて、22歳の時に組合役員への道を示してくれた人がいた。

 生憎、その話を受ける前に転職が決まり、最初の会社は退職することになったけど、会社が変わっても人間関係は今でも続いている。

逃げ道なんて根拠のない自信。

 振り返ってみれば、電気工事士という職業も、低コストな生活も、組合役員の道も簡単ではない。所詮、私が考える逃げ道なんて根拠のない自信でしかない。

 それでも、今歩んでいる道が駄目だったら、別の道があると考えるだけで、自由奔放に生きることができた。自分が納得した上で判断して、行動に移していたから、今までやって来たことに後悔がなかった。

 今まで失敗を恐れずに挑戦できたのは、間違いなく逃げ道の存在があったからだ。日本という国は同調圧力が強い。

 「出る杭は打たれる」のことわざ通り、衝突して嫌われることもあるけど、八方美人に徹して誰からも好かれない人間になるより遥かにマシだと思う。

自分の心を信じて貫いた方が、同じ価値観を持つ仲間にきっと出会える日が来る。

 論破王ひろゆきさんの人気も、謎理論を小難しくそれっぽく説明する偉そうな人たちに対して、論理的かつ分かりやすく言い負かす単純明快な構図が世間にウケているのだと思う。

 現代はSNSなどで個人が影響力を持つ時代だから、自分らしい生き方が他人に好かれる近道かも知れない。

 以前にも記したように、個人の寿命とは裏腹に、企業の寿命は短くなっていて、もはや学校を卒業して、ひとつの会社に定年まで勤めることが困難な時代になっている。

 そんな状況下で、自分にはこの会社しかないと思ってしがみ付いてしまうと、会社の良いように使われるだけの、会社主体の人生になってしまう。最悪の場合、会社と共に沈む可能性だってある。それで良いのだろうか?

自身の市場価値を把握しておく。

 自分らしく生きるためにも、社会人の方は転職エージェントに登録して、自身の市場価値を把握して、他の企業がどの程度の待遇で受け入れて貰えるのか、比較対象を持っておこう。登録したことを理由に転職を強要されることはないから安心して欲しい。

企業が求める資格を取得しておく。

 学生であれば、長期休暇などの余裕のある時に、一つで良いから就職に有利な資格を取得することをお勧めする。どの資格が良いのか分からない方には、リクルート調べで、企業が応募者に求める資格ランキングで1位となった日商簿記2級をお勧めする。

 会計の資格なんてAIに置き換えられて将来性がないような資格を勧めないでほしいと思われるかも知れない。

 確かに、財務諸表の作成は機械にもできるが、それをもとに会社のお財布事情を把握して、経営判断を行うことが現在の機械には難しい。

 同じような状況でも会社の経営方針によって判断が変わるし、経営に絶対的な正解なんてないからだ。だから、どの会社でも数字を扱う経理は売上に直接貢献しないにも関わらず絶対に必要で、会社の数だけ需要が存在する。

簿記は現代社会に必須の知識。

 それに、経理志望でなくても、簿記の知識は現代社会で生きるのに必須だから、持っておいて損はない。

 損益計算の基本が分かると、確定申告が簡単にできるから、個人事業主で働く時にも困らない

 自分の勤め先が上場企業なら、財務諸表が読めるし、経済ニュースに出てくる経常利益などの用語も理解できるから、会社の経営状態を自分の頭で分析できる。

 資産運用をする時も証券アナリストの話を鵜呑みにしなくなるだけでなく、将来有望な銘柄の存在を周りよりもはやく気付いて、割安な時に買うことだってできる訳だ。

 特にやりたいことが見つかっていないのなら、騙されたと思って簿記を勉強してみてほしい。


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