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『VOLT-AGE』

 私は“Suchmos”の特別大ファンというわけではないが(事実上の)最終アルバムである『THE ANYMAL』はずっと繰り返し聴いている。いまいち評価されていないが、とんでもない傑作だからだ。(これに関してはまた後でじっくり書くつもり)

 今日はとりあえず彼らのとある楽曲を話題にしたい。

 ここみたいな、いわゆるネット文化圏におけるサチモスの評価といったらアレしかない。

ハートビー…ハートビー…(謎の間)ハートビー…倍野菜…
2chとかSNSでよくあるネタより

 NHKで放送されたワールドカップ中継で披露されたタイアップ曲『VOLT-AGE』だ。話題になるのはほぼコレ(それかホンダヴェゼルのCMかな?)しかない。

 正直言って彼らはあの時めちゃくちゃ滑ったと思う。若者に人気のイケイケバンドだったのに、あの夜以降ネット上で倍野菜だの温野菜だのとイジられるようになってしまった。

 でも上のリンクを見ればわかるけどさー、この曲めちゃくちゃカッコいいじゃんね?

 しかも、「わかる人にはわかる」的なマニアックなやつじゃなくてわかりやすく盛り上がる。曲名通りボルテージを上げてゆく2本のギターの絡みとかクッソ興奮するじゃん。でもあの中継で滑ったのは、彼らがツイてなかったからだ。

 まず言えるのは、テレビ中継ってバンド系の演奏の魅力がびっくりするくらい削ぎ落とされること。

 なんでなんだろうねアレ。あるあるネタだが、バンド系のアーティストがMステのような音楽番組にでると音が死ぬ(は言い過ぎにしても衰える)カラオケ的に歌部分だけ切り抜かれるようなミックスだからなのかな?

 バンドのボーカリストと歌手は厳密には別物。バンドのボーカルは他の楽器が同等以上の存在感を持って鳴らされる中に歌声が混ざるから輝くわけであるし、それを前提にアレンジが構成されている。それをカラオケ的に歌だけ抽出されても魅力は落ちるのはあたりまえだ。あと楽器が生じゃないのも悪い方向へ作用してると思う(全国放送で失敗できない大人の事情があるのもわかるけどね)

 そして1番の原因は、今から偉そうなことを言うから不快に思う人は読み飛ばして欲しいが、大多数のリスナーの耳が、感性が、曲に追いついていない。これだと思う。

 大胆なことを言ってしまったが撤回する気はない。歌しか聴いてない、聴こえていない、認識できない。もっといえばサビの歌メロ以外に楽曲の価値を見出していない。リスナー本人たちのせいというよりは、文化とか風潮のせいじゃないかな。

 音楽を取り上げる番組は数多くあるがそのほとんどが“歌”にしか着目しない。アーティストの力量を測る基準が「歌ウマ」だけやん。世間での流行歌はカラオケのためのネタだからね。最近はダンスとかも注目されるようになったから少しは変わってきてるのかな?そのうちアレンジや構成にも目がいくかな?

 その影響は例のネタにも如実にあらわれている。“ハートビー…(謎の間)ハートビー”の謎の間という言葉だ。間じゃねえよ、そこでバンドサウンドを聴かせてるんに決まってんだろ笑、ボーカルと楽器のターン制になってるじゃん、歌の部分しか聴こえてないからこのイカれた発想になるに決まっている。

 受け取り手が歌しか認識できないことを念頭に考えると、この曲が「盛り上がらない」「つまらない」と馬鹿にされるのもわかる。この曲においてボーカルはそこまで目立たない。混合物の一要素だけ取り出して評価されたらわかりっこないよね。

 歌詞もわかりやすく昂揚感を煽るようなものではないし。決して難解ではないが、一聴ではわからない。別に難しいものではないのに、他のワールドカップのタイアップがわかりやすい曲ばっかりだからそのハートを受け取ってもらえない。ツイてないよ。

 曲の紹介のつもりが独善的な説教になってしまった😭

 まぁいいもん!本心だもん!!嫌われようがディスられようが構わない。

 どうせ誰も読んでねえし(オウンゴール!)

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