『その自慰が終わったなら』
「そのグループが好きならメンバーのソロ作品も抑えなさい」
というのは孟子の言葉だったか。やはり昔の人の書き残した教えは今を生きる我々とって大きな助けになる。
ということで先日紹介したBURGER NUDSのフロントマンである“門田匡陽”のソロプロジェクトこと”Poet-type.M”を取り上げる。
バーガーを抑えてる人はロックファンにはそこそこ多いが、こっちも追ってるよ!って人はなかなか見つからない。万人ウケする作風でもないが、もっと広まってほしいのでここでおすすめしておく。
今日紹介するのは『その自慰が終わったなら(Modern Ghost)』だ。
うん、言いたいことはわかる。タイトルのクセがすごいよね。とりあえず概要を🙄
この曲は架空の「夜しかない街」の物語をテーマにした4連作のミニアルバム『A Place, Dark & Dark』シリーズの2枚目こと『ダイヤモンドは傷つかない』という作品のリードトラックだ。通称『夏盤』。
ごちゃごちゃ説明しても意味不明だと思うので、恐れ多くも簡単に言ってしまうと夜しかない街の春夏秋冬をテーマにした4連作のうちの2枚目、乱暴にいえば”夏の夜をテーマにしたアルバム”だと思っていただければいい。
春夏秋冬の4枚のアルバムの中で私はこれが1番好きだから1発目にこれを選んだのだ。海も花火も出てこないが、確かに夏の夜を感じる。
そして参加ミュージシャンも豪華だ。プロデューサー兼、共同制作者として”VOLA & THE ORIENTAL MACHINE”のギタリストである”楢原英介”が関わっている。シリーズで彼の関わっている作品はこの夏盤だけなので良い意味で浮いている。キレッキレよ! ひとまずリンクを!!
もう、アレだよね。どこを切っても凄まじい皮肉だよね。
歌詞にある通り、門田氏はSNS社会ではもう当たり前になってしまった、共有を至上とする価値観に対して強く疑問を抱いている。リリース時(2015年)に答えたインタビューでも、かなり強い言葉で否定している。
これはもう7年前のインタビューだから、7年前の世間(&音楽シーン)を見て言った言葉だが、現在も変わっていないと思う。それどころかコ口ナ禍もあってか、より「繋がりたい」「君は一人じゃない」信仰が強くなってきているように感じている。とはいえ私個人としてはその全てを否定するつもりはない。
(※インタビュー引用元)
門田氏も共有すべてにNOを突きつけているわけではないと思う。これは歌詞の最後だが、人々が自慰から脱却して本心で向き合う社会(というと固くなっちゃうけど)が来ることを望んでいるように見える。ここだけは皮肉ではないはず。
サウンド面に関してはもうこう言う他ない。門田&楢原のツインギターを味わおう!としか。特にアウトロの盛り上がりが素晴らしいので、ぜひ最後まで堪能しよう。
そしてアルバムではこのアウトロからシームレスに次曲『窮屈,退屈,卑屈』に繋がる。この切り替わり方は神がかってるのでここまで読んだモノ好きには是非ともアルバムを通して聴いてほしい。CDがなくても主要サブスクにはあるから。
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