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Vol.31 長泉町の世帯収入が多いのはなぜ?

先日、ある方からの質問を受けました。
「静岡県の長泉町は、世帯年収が高いようですが、何か理由あるんですかね~?」と。

実際、「世帯の年間収入マップ」で、1,000万円以上の世帯が10%を超える地域を調べてみると、下図のように全国的にもかなり少ないのですが(赤で記された地域)、長泉町は、その中に入っています。

<世帯の年間収入マップ>

私が、静岡県在住ということもあり、報道等で、長泉町は移住等により人口増加が進んでいると見聞きしていたこともあり、もしかしたら、その移住されている方々が、この年収に影響を与えているのではないかと仮説を立ててみました。

長泉町の人口増加については、下図の「人口推移」を見れば、1980年から2020年にかけて、約37.9%の増加となっており、それが事実だということが分かりますよ。

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

では次に仮説を立てた移住について調べてみました。
下図は長泉町への転入状況を調べてグラフになり、何人の方が、どの地域から転入してきたのかが分かります。

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

これは、2020年の転入数内訳になりますが、これを2015年まで遡って調べてみました。
その中で、私が注目してみたのは、もしかしたら、政令市など大都市の富裕層が、長泉町に移住しているのではないかということです。
そして、総人口に占める主要都市からの流入率をまとめたグラフが以下となり、浜松市、静岡市、沼津市と比較してみました。

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

これを見てみると、若干ではありますが、長泉町の主要都市からの流入率は、その他比較地域と比べても若干高くなっています。

また、別の観点から見てみます。

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

これは、通勤者の流出者数について、地域別人数を表しています。
これを見ると、「静岡市」「東京都千代田区」など、政令市などの大都市へ通勤している人が多くいることが分かります。

先ほど見た政令市など大都市からの転入状況と、今回の通勤者の流出者数について併せて見てみると、これら地域から転入してきた富裕層が仕事を変えることなく、引き続き、高い給料のまま働いている、もしくは、元々都内への通勤可能エリアということもあり、高い給料を得ている方が多いのではないかという仮説の裏付けになるのではないでしょうか?

また、こういったデータと、実際に長泉町が実施している施策と照らし合わせてみると、より詳しい状況が見えてくるかもしれませんね。

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