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F1・フォーミラーカーがまちなかを走る国〜都市国家シンガポール🏎

  2008年から初めてシンガポールで始まったフォーミラーワン(F1)レース「マリーナベイ・ストリート・サーキット」。ダウンタウンの横にある埋め立て地、マリーナ地区と呼ばれるエリアの公道を使うもので、途中には市庁舎などの街の顔となるような中心地区も走り抜ける。史上初のナイトレースとなることもあって、ファンならずとも期待が高まる。

 市街地コースとしては、モナコグランプリ(F3)が代表的だが、それ以外の市街地コースを採用する都市でも、ダウンタウンはずれの公園などが主で、このような市街地コースの設定は初めて。しかもシンガポールのような世界的な大都会のど真ん中で行われることは画期的である。

 全長約5km、メインとなる長い直線コースのラッフルズブルーバードという名の通り付近では、市街地にもかかわらずなんと最高時速300km超の高速バトルが展開される。コースを一周するだけで、シンガポールの代表的な風景を堪能できるこのコースは、変化に富み見ている人を飽きさせない名物コース。

多民族国家であるシンガポールは日本の淡路島と同じ広さ

 そこに人口430万人が暮らす都市国家。中国でシンガポールへの観光ブームになる以前は、日本人観光客が多く訪れていたものの最近では減少傾向ぎみだ。従来は特定の国に頼っていた観光政策における危機感もあり、ビジネスを含めて地理的優位性を最大限に活かし、東洋と西洋の交差点でもある全方位の観光誘致振興への、取組はダイナミックに進みつつありF1誘致もその一環。

 市街地コースのため常設の観客席はないが、仮設スタンドを設けるほかに海に面した会場という立地を活かして、海の上に浮かぶ「フローティングスタジアム」なる仮設の観客席も。

 当時はF1グランプリが世界的なブームでもあり、一時は日本でも一年に2回も鈴鹿と富士や鈴鹿と岡山などの、別の場所で平行開催された年もあった。しかし日本ではスポンサーが集まらない、観客もといった感じで次第に人気が落ち着くのと相前後して、その人気は新興国に移っていった。そうした国では未だにF1は絶大な人気を誇り、各国の自動車メーカーはその国で販売に弾みを付ける意味もあって、F1参戦に重点を置く。

 クルマの販売とも密接に関わってくるだけに、新たに加わった開催地は中国・上海やトルコ・イスタンブール、バーレーン・サヒールなどの途上国ながら経済発展の著しい国々である。

マリーナ地区には黒川紀紀章氏設計の世界最大の観覧車

 や、中国・マカオにも巨大投資を行う米・ラスベガスサンズ社の巨大複合カジノホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」など集中的な投資が続いた。展示場や劇場、博物館にショッピングアーケードなどラスベガススタイルを持ち込む。また個人的に一度は訪れたい近未来的な植物園である「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」も近い。

 またリゾートアイランドとして有名なセントーサ島にユニバーサルスタジオや大型ホテル、カジノなどの一大レジャータウンもオープンするなど、一時代前のシンガポールを知る人からすれば、あまりにも劇的な変化を体験することだろう。F1開催はそのほんの序章にすぎなかったのである。

まとめ①市街地でF1レースまでしてしまうシンガポール②カジノホテルや未来的な植物園など投資規模が半端ない③郊外の島にもユニバーサルスタジオなど、遊び尽くすには持て余すほどのコンテンツ力がある国④この国と真正面からレジャー観光で対決するのは難しく、日本はもっと独自の観光誘致を

 日本はこの先、観光立国として生きていくならば、こうした国とのカジノ競争をも繰り広げなくてはならない。カジノはあきらめ、日本が従来から持っている自然などの魅力を海外へアピールすることで、遠く東洋まで来てもらうか。個人的にはそのほうが良い。巨大リゾートにカジノホテルはあくまでも人工的なもの。そうしたところがスキならば、シンガポールやマカオに行くし、日本は同じことを追随することはない。シンガポールやマカオはもともと国家が小さく、自国内のコンテンツが乏しいことから人工物を巨大に造ることで、人々を呼んでこなければならなかった。日本はそんなことをしなくても、人々を魅了して止まないところが沢山あるわけでから、そうした場所へのアクセスを改善するとか、遊歩道や周辺の道路、宿泊施設などを整備することで、目指して訪れた世界の人々に感動を持ち帰ってもらえればいい。

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