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サキの忘れ物 津村記久子

サキの忘れ物 津村記久子
短編集。
表題の「サキの忘れ物」についての感想です。
周りに流され生きてきた大学生の女性が、アルバイト先の喫茶店で、お客さんが忘れていった一冊の本を手にします。
それは色んな物事や人間関係において受け身で生きてきた、そして誰からもまともに取り合ってもらえなかった主人公・千春が、「サキの忘れ物」との出会いをきっかけに、人生初の(物語の流れ上、こういう表現があいそう)小さな一歩を踏み出して、そのお客さんに一言話しかけるのです。
その本との出会い、そしてそのお客さんとの交流を通して、「人生は、ほんとうにちいさなことで動きだす」、そんなストーリーです。

生きていれば変わる。この世界は変わる。ちょっとしたキッカケで自分が変わる、誰かが変わることがあります。変えてくれる誰かと出会うかも知れません。
それまでは臆病で、ちょっと勇気出して何かしてみる、ということもしてこなかった、あるいは出来なかった主人公。
この登場人物のお客さんは主人公・千春さんを変えようと何かをしたわけではないと思いますが、結果的に出会いが人の人生を好転させました。
”まなざしあたたかな短編集”。優しい気持ちで読み進めることのできた短編ですが、深い人間模様が描かれていて、読み方によっては誰かを鼓舞するようなストーリーでした。

因みに、この「サキの忘れ物」を実写化するなら、お客さんは最近のamazonのCMでバスに乗って物思いにふける瀧内公美さんがイメージぴったりです。

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