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「障がいを抱えながら、地域で暮らす」をお手伝い

おはようございます! レオ・エースです。
みなさんの「スキ」や「フォロー」に、日々励まされています。
読んでくださった上に、さらにリアクションいただけるのは本当にありがたいことです。感謝しかありません。

さて、私の日々の業務の中のうちの一つが、「地域移行支援」です。
これは、長期入院の精神障害者や障害者支援施設に入所している障がい者を対象にした、退院・退所を支援する障害福祉サービスになります。
特に長期入院している精神障害者にとっては、入院中から使える唯一の福祉サービスになります。

長く精神科に入院していたり、施設に長期間入院していると、地域との接点が本当に少なくなってしまいがちです。そんなときに地域移行支援を利用することで、地域の支援者と繋がることができます。
今日は、地域移行支援の良さと意義について、少しお話ししたいと思います。

地域移行支援は使える!

長期入院していたり、長期間入所していた方は、生活力がとても限られていることがあります。普通に地域で暮らしていると当たり前に行うことが、なかなか経験できない環境だからです。
例えば、お店で買い物をすることや、バスや電車に乗ること、電子レンジでチンすることすら経験したことがない方がいます。それは、その方のせいではなく、ましてや病気や障がいのためでもありません。その方が置かれた環境そのものが障壁となり、普通に暮らすための体験からその人を遠ざけてしまっているのです。
そこを埋め合わせるために、地域移行支援を活用することができます。

地域移行支援では、まず地域の相談支援事業所の地域移行支援員が精神科病院や障害者支援施設に赴いて、利用者にお会いします。(申請までの流れは、ここでは省きます)
そして、退院もしくは退所してどのような暮らしをしたいかを、ご本人と一緒にイメージを作り上げ、具体的にどんなことをしていけばよいかを考えます。もちろん、地域に出た時に不安に思うことも受け止めて、それを解消するにはどんなことができるかも話し合います。

もし、前述したように買い物すること、公共交通機関を利用することなどの経験が少ないならば、支援員が一緒に同行し、買い物の練習や電車の乗り方の練習をすることができます。調理の練習も一緒にすることができます。
そうすることで、地域生活に向けた具体的な訓練を行うことができますし、それによって生活することのイメージを、ご本人の中で形作ることができます。

こうした多彩な支援は、ヘルパーや通所の施設にはなかなかできないものですが、地域移行支援なら可能です。

医療関係者や当事者家族にもいい影響が!

地域移行支援の利点は、長期入院の精神障害者や長期間入所していた方だけにとどまりません。実は、その支援の様子を見ている医療関係者や当事者家族にとってもいい影響があるのです。

私が関わった地域移行のケースの話ですが、初めてその方=Aさんとお会いしたのは自立支援協議会の活動で長期間入所している患者訪問をしていた時でした。Aさんは「退院したい」という気持ちをはっきりと伝えて下さっていましたが、触法行為や宗教にのめり込んてしまったことで家族や地域に迷惑をかけていた経歴もあり、主治医も家族も退院させることに消極的でした。実際のAさんの院内での様子は落ち着いており、地域の私たちの目から見たら退院は十分可能と思えました。

私はまず病院のワーカーを通して、Aさんの主治医と話し合う場を設けていただきました。そして、福祉サービスをうまく利用すれば、十分にAさんを地域で支えることができるということを説明しました。
人にもよりますが、医療関係者はそれほど障害福祉サービスには精通していない方もまだまだいらっしゃいます。新たなサービスも増えてきている中で、精神障害を抱える方たちを支える力は確実に地域に根付いてきています。それを地域の側からも、医療機関にアピールしていくことは大切なことだと思います。

Aさんの主治医は、「そうしたサービスがあるなら、病院としても協力したい」と言ってくださいました。

さて、その次にはご家族に説明をしていく必要がありました。私は家族に説明する際に、私たち地域からも説明した後で主治医に最後の一押しをしていただきました。
その時、主治医は、「Aさんがこのまま病院の中だけで過ごすことが、本当にいいことだとは私も思えない。このように支えてくれる方たちの力を借りれば、ご家族の負担なく暮らしていけるのではないか。心配するのはわかるが、一度チャレンジしてみてはどうか」と、話してくださいました。
Aさんの家族も、Aさんがこのままでいいとは考えておらず、悩んでいたところだったと打ち明けてくださいました。私は、サービスの説明をし、実際のグループホーム等の施設を見学していただきながら、少しづつご家族の不安を解いていくことができました。
その後、Aさんは地域移行支援を利用しながら、地域生活の準備を始めていくこととなりました。

今ではAさんは、グループホームで仲間と協力して暮らしながら、日中は就労継続支援B型の事業所で農業に打ち込んでいます。以前見られたような触法行為などは、全くありません。地域で穏やかに暮らすことができています。

当たり前の暮らしは、当たり前の権利

私は、これまで何人かを精神科病院からの退院をお手伝いさせてもらいました。それを通じて感じたことは、「入院したら、退院するのは当たり前。それができていない今の現状は、やはり変えていかなければならない」ということです。
当たり前の暮らしができることは、皆が持っている当たり前の権利です。その権利を、精神障害だから、知的障がいだからといって行使できない状況が存在するのは、何かが違ってしまっているからだと思います。
私は、一つ一つの支援を地道に積み重ねながら、誰もが当たり前に地域で暮らせる社会になるよう、これからも力を尽くしていこうと思います。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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