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Lesson 002 : 自己分析

「自己分析をして自分自身の長所と短所を明確にしたら、自分の長所がどこでどんな形で活かせるかを考えるんだ。」

井坂さんとの合流地点に移動しながら、南野さんは僕に言った。

「自分の長所が外見なのか、トーク力なのか、それともステータスなのか、見極めろ。ここで言う長所は、女性に「タケシさん素敵!」と思ってもらえるポイントのことだ。自分のどの特徴が女性に刺さるのかを把握しておくんだ。そして、その特徴を長所として女性にアピールする必要がある。そのためには、場所も大切になってくる。」

六本木の交差点に近付き、井坂さんの姿が見えたので、話は一旦そこで途切れた。

「井坂くん、仕事お疲れさま。今日もいつものバーに行こうよ。」

南野さんの部下であり、僕の上司である井坂さんと合流した。

井坂さんは僕が働いている会社でマネージャーと言う役職に就いていて、僕の世話係をしてくれている人だ。

とても面倒見が良く、多くの部下から慕われている。

現在30歳で独身、彼女募集中とのことだ。


「井坂くん、今自己分析の重要性をタケシに教えてたとこなんだよ。あのバーに行ってから話すよ。」

そう南野さんに言われ、僕たちは南野さんの行きつけのバーに向かった。

そのバーは、知る人ぞ知る、異性と出会えることで有名な場所である。

南野さんはサンクチュアリー(聖域)と呼んでいる。

南野さんはこれまで何人もの女性をそのバーで口説いてきたらしい。


金曜日の夜9時を少し過ぎた頃、僕たちはバーに到着した。

そのバーはいつも通り(いつもの金曜日通り)進むスペースがないくらい込んでいたが、その人込みをかき分けて僕たちはバーカウンターに向かった。

そこでコロナを3つ注文し、乾杯した。

「自分の長所がわかったら、それがどんな場面で効果を発揮するかを考えるんだ。例えば、外見が長所なのであれば、クラブ。クラブは女性と話をする時間も場所も限られているから、トーク力やステータスをアピールすることが難しい。お金の力でVIP席に座るなら話は別だけどね。やっぱり一番アピールしやすいのは外見になる。」

なるほど、言われてみればその通りだ。

でも僕は、外見が良ければ、どこに行ってもモテるだろうな、と思いながら聞いていた。

「トーク力が長所なら、女性と落ち着いて話ができる場所で勝負した方が良い。バーだったり、相席居酒屋だったり。合コンはチームプレーになるから、トーク力以外の要素も重要になってくる。それはまた後で説明するよ。」

南野さんの長所はなんですか、そう質問しようと思った瞬間、南野さんはコロナを飲み干してこう言った。

「おっ!あの子、めっちゃ綺麗やん!オレ行ってくる!」

南野さんは大阪出身なので、テンションが上がると関西弁になる。

そうして、バーカウンターの反対側に立っていた20代後半くらいの女性の元に飛んで行ってしまった。

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