見出し画像

5.Nomad Senegal 2024/Day4: Le Enfant Terrible 恐るべしな子(45km)



レース4日目。
本日は45kmで、チェックポイントは16km地点、33km地点の2ヶ所だ。

昨晩は隣のテントからのイビキがものすごくうるさくて、時間が経てばイビキは収まるかと思いきや、全く収まる気配がない。同じテントで寝ている奥さん大丈夫なん?と心配になる。

轟音?に耐えられず、テントを出て外に寝ることにした。テントの前にあった絨毯を引きずり、テントから離れる。夜空を眺めているうちに深い眠りについた。

今朝、ジェロームがテントを収納しながら、隣のテントの奥さんに話しかけていた。で、「よく眠れた。」と言っているのが聞こえた時、我が耳を疑ったわ。あの状況でぐっすり眠れるって…。


さて、今日のコースも村々を抜けていくが、ガンビアとの国境まで1kmって所まで近づくらしい。もしかしたら、国境の壁が見えるかもしれないというではないか。へー、それは楽しみだ。



今日も7時半スタート。

Photo Credit: Canal Aventure


キャンプ地は村のすぐそばだったため、いきなり村に入る。

建設中のモスク


今日まで村々を渡り歩いてきたので、見慣れた光景となってきた。井戸の周りに集まり、野菜を洗ったり、洗濯物をする女性達、その周りで元気に遊ぶ子供達、男性陣はモスクのそばや、日陰に集まったりして過ごしている。


村を出ると殺伐とした大地だ。

Photo Credit: Canal Aventure


CP1(16km)はあっという間だった。
CP1を担当している現地スタッフの看護師さんは選手全員を見送ると、スイーパーの車に乗り込み、最後尾から付いてきてくれるので心強い。


村に入ると子供達が駆け寄ってきて、知る限りのフランス語を使って話しかけてきたり、体に触ろうとしたりして、村を出るまでついてくる。

昨日は村を出てからもずっとついてくる子供達がいて、腕につけているガーミンをよこせとしつこい。しかも命令形なのが腹立つ。そして、隙あらばお尻を触ってくるマセガキ達もいた。怒ると更に面白がってついてきて、益々エスカレートしてきて、辟易するどころか、これはマズイとうっすら恐怖を感じた。

幸いにして、同行カメラマンの車がそばにいたので、スタッフのところまで走って戻って、事情を説明したら、追い払ってくれた。


ということもあり、村の外れにいる、またはついてくる子供達には少し警戒するようになった。今日も村の外れにいた子供達が近寄ってきて、ずっとついてくる。しかし、すぐ後ろにスイーパーの車がいるから安心だ。

ゆっくり走るスイーパーの車の後ろに飛び乗って遊ぶ子供達、楽しそうで、見ている私も自然と笑みが出る。


村を出てしばらく経った頃だ。
道の脇の草むらから突然子供が現れた。本当に突然で全く気配すら感じなかった。その子供は手にナタを持っている。目が完全にイッテる、やばいやつだ。

今まで見てきた村の子供たちと違う。好奇心に溢れたキラキラとした目、マセガキどものニヤニヤと薄ら笑いした目とは全く違う狂気を感じる目つきだ。

オイッ、オイッ!って感じで言葉を発し、片方はナタを振り上げ、もう片方は手を差し出して、何かをせがんでいる。今にもナタを振り下ろさんとばかりに威嚇している。非常にまずい状況だ。

年の頃は8〜10歳くらいで力では勝てそうな気もするが、手に持っているナタが厄介だ。せめて、私がストックを持っていたら、、、。しばし、睨み合う。こういう時に限って、後ろをピッタリとくっついてきていたスイーパーの車がいない。木陰で休憩を取っているのだろう。


どうするか。
反射的にザックのポケットに入れていた「エネ餅」を子供に向けて投げた。エネ餅はその子の頭上を越え、背後に落ちた。エネ餅に気を取られているうちに、その場を走って逃げた。

ある程度、走り切ったところで、証拠保全のため写真を取っておくかと振り返ると、走って追いかけてきているではないか。確か、前にはフランス人選手、ローランがいたはずだと思い出し、大声で「助けて!」と何回か叫んでみたが、虚しく私の声だけが響き渡るのみだ。


とか言いながら、身の安全を確保したところで、望遠でその少年を撮影してみた。

ナタ片手にまだ追っかけてくるよ


まさか、レース中に少年にナタで襲われそうになるとは思ってもみなかった。不幸中の幸いは、その少年が問答無用でナタで襲いかからなかったことだ。その少年の気配に全く気がついていなかったから、もし問答無用で襲われていたら、腕一本やられたかもしれない。考えただけでも、ゾッとした。


しばらくして、スイーパーの車が追いついてきたので、ナタ少年の出来事を話すのだが、私のフランス語の説明がうまく通じていないのか、現地スタッフの2人は「この人、何そんなに興奮して喋ってるの?」って感じの反応だ。


村に入ると、建物の入り口にフランス人選手のローランとスペイン人選手のダビッドがいた。お店で買い物をしようとしているところだった。

「ちょっと前にナタを持った少年に襲われそうになったんだけどー」
と話し始めると、ローランが、
「ああ、俺にもその履いている靴をよこせって脅してきたよ。」
と言うではないか、
「うわっ、やっぱり!で、どうしたの?」
「ちょっと威嚇して、無視した。」

そうか、、ローランはガタイのいい男性だし、手にはストック持ってるしなあ。で、ローランから物を奪うのは失敗したから、次は絶対仕留めると、その後を歩いていた私が標的になったわけだな、、多分。

となると、ローランの前を歩いていたテントメイトのニコールが心配だ。昨日、私と同じようにマセガキに囲まれて、お尻とか触られて大変だったと言っていた。

「ニコールは大丈夫じゃない?」とダビッド。
「ニコールは俺を抜いたし、俺はそのナタ少年には遭遇していないし。」
おー、なら良かった。



と、お店で炭酸飲料を買って飲むことにした。
なんと、このお店は冷蔵庫があるではないか!そして、1.5ℓの炭酸飲料が数本という選択肢のなさだが、もう冷えているだけで良いんです!ダビッドとそれぞれ1本ずつ買って、乾杯だ!



ここからはローラン、ダビッドと3人で付かず離れずで行動を共にすることになった。ダビッドは昨日から熱中症になったようで、走れないでいるという。

「またナタ少年が現れたら、僕が何とかするよ(笑)」と頼もしい。

ここだけみるとインドっぽく見えるがセネガルです



昼過ぎると気温がだんだん上昇してきた。
と、同時にダビッドのペースが落ちてきて、徐々に嘔吐などの熱中症の症状が現れてきた。途中、木陰で休憩しながら進んでいく。昨日、最後尾でゴールしたのは熱中症が原因だったのか。

さすがにそんな様子を見ると、彼を置いて先に行く気にはなれない。別にタイムや順位を競っているわけでもないので、私が一緒にいることで、精神的に楽になるのであれば、喜んでって感じだ。

ダビッドはスペインのバスク地方に暮らしているとのことで、ちょうど今月の頭にバスク地方に旅行してきたばかりだったので、バスク地方の話で盛り上がる。
「もしまたバスクに来ることがあったら言ってね、案内するよ。」と言う。
ええ、遠慮なく、声かけますよ(笑)



ふと気がつくと、ローランの姿が見えない。あー!!
スイーパーの車に乗っているではないか。
ローランは2日目にリタイアしたので、以降は自由参加となっている。そのため自分の好きなタイミングでその日のレースを止める事ができる。


CP2を抜けた後、今まで見た中で一番大きな村、というか町に入った。

Photo Credit: Canal Aventure
Photo Credit: Canal Aventure


お肉屋さん、八百屋さん、雑貨屋さん、何でもある。こんな大きな町があると知らなかったので、その前にあった村で、村人にわざわざ聞いて、店探して、店が開いてなかったので、お店の人呼んでもらって開けてもらって、ジュースを買って飲んじゃったよ。



と、今日の制限時間は10時間なのだが、ダビッドの体調に合わせて、休憩しながら進んでいたので、制限時間内にゴールできるか怪しくなってきた。

私が前を早歩きで歩いて、引っ張っていく形になった。ガーミンで距離を見ながら、今日は45kmとか言っているけど、今までの傾向からすると45kmもないはずだ。だとしたら、ギリギリ間に合うかもしれない。

しかし、本当に45kmだったら、まずいかも。
タイムや順位には拘らないが、リタイアはしたくない。ダビッドもそうだ。


Photo Credit: Canal Aventure



神は諦めない私達に味方した。
制限時間まであと5分切ったところで、何とかゴールできたのだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

●第4ステージ
[開催]2024年1月23日(火)
[距離]45km
[スタート] 現地時間 7:45

Garminの記録
やっぱりほぼ平坦



この記事が参加している募集

一度は行きたいあの場所

サポートして頂けると単純なのでものすごく喜びます。サハラ砂漠の子供達のために使います。