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苦手な読書感想文を書いてみることにした。「ここはすべての夜明けまえ」

小学校の頃から読書感想文を書くのが苦手だった。一体何を書けばいいのか。感想を書けばいいのだろうけど、上手く言葉に出来ない。
確かに深く感動はした。でもこの気持ちを表す言葉が出てこない。
面白かった。悲しかった。それだけ。じゃないけど心を言葉にするのって本当に難しい。

でも、今わたしは苦手な読書感想文章を書こうとしている。
出会ってしまったのだ。いたく感動する作品に。

それは「ここはすべての夜明けまえ」間宮改衣

第11回ハヤカワSFコンテスト特別賞を受賞。デビュー作品だそうだ。

Xで紹介されているのを見て気になり、いつも買う遠方の本屋さんのオンラインショップで購入した。

SF作品なんて、小学校の時に夢中で読んだ星新一以来だった。
わたしに合う作品だといいのだけど。
心配したのも束の間、読み始めたらグイグイとその世界観に引き込まれた。

ほとんどの章がひらがなで記載されていて、最初慣れるまで苦労したが、読んでいくにつれて気にならなくなった。むしろひらがなで書くことにより、残酷な描写が柔らかくなっている感じがした。淡々と書いてあるけど、実はすごいことが書いてある。と読み終わってから気付くみたいな感じがした。

主人公の名前は最後まで出てこない。主人公の1人語りの時は「わたし」だし、人から呼ばれている描写は空欄だ。名前が空欄?こんな文章初めて。でもそれも読み進めていくと全く気にならなくなる。

SFだけど、SFとは一線を画している気がする。SFをあまり読まないからよくわからないけど、これは1人の女性の人生の話だ。それもとても苦しい。

主人公は融合手術を受けて老いない身体を手に入れる。家族は次々と先に死んでいく。

ありえない設定は確かにSFっぽいし、深く考えるとツッコミどころ満載だけど、それも気にならない。うまく描かれているからだと思う。

先にも書いたが淡々と主人公が語るため、こちらも淡々と読んでしまう。でもラストに進むにつれて、これは、なんだか様子がおかしいぞ。そうか、そうゆうことか!と色んな事に気づき、気づけば泣いていた。
あれ、なんで泣いてるんだろう。主人公が淡々と話したり、書いたりしてるけどそれがかえって切ないのだ。

読み終わった後、普通に洗濯物を畳んで、夕飯を作り始めた。
お米を研ぎ始めた時、急にまた涙が止まらなくなった。物語を思い出したのだ。切なくて苦しくてやるせなくて。
主人公の事を思うと涙が溢れて止まらなくなるのだった。
こんな感覚は久しぶりだった。こんなに物語にのめり込むなんて。
読み終わったばかりなのに、また読みたい気持ちに襲われた。

積読本がたくさんあるから、読み終わったのならすぐに次の本を読むのだが、なかなか気持ちが向かない。余韻がすごくて読めない。
これはきっと寝る前も思い出して考えてしまうパターンだ。

すごい作品に出会ったので勢いで読書感想文を書いてみたが、あらすじも書いてないし、これではよくわからないかもしれない。
やっぱり読書感想文は苦手だ。

ただ、この作品は本当に素晴らしかったからたくさんの人に読んでもらえるといいなあ。

間宮改衣さん、うまく説明出来なくて残念。
でも次の作品も期待してます!




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