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スーパーお買い得寿司と7種のワイン相性チェック

スーパーでお買い得な寿司セットを見つけ、セラーの中に開栓済スタンバイ状態の複数本のワインに合わせようと思い立つ。

この寿司セットはOKストアで18貫約800円。多少、一つ一つのネタは小さいような気もするが、鮮度よし、味よしでコストパフォーマンス抜群なのだ。
海外滞在の間、フレッシュなシーフードから遠ざかっており、身体が刺身、寿司を渇望しているので、ワインを飲みながらしっかりと充足させよう。寿司は食用ハサミで半分にして、少量ずつ各種ワインに合わせやすくする。少々マニアックになるが7種のワインと寿司ネタの相性について私の嗜好により評価していく。

①ピッチーニ, ヴェネツィアン ドレス, プロセッコ DOC, イタリア, グレーラ, 2,479円
Piccini, Prosecco DOC, Italy

香りにはフレッシュなリンゴ、青リンゴ、ほのかに洋梨、白桃、微かにほしわらやヴェジェタルなスパイシーなタッチが香る。
風味にはみずみずしい凝縮感のフレッシュな果実味、酸味は中庸、微かに残糖を感じるチャーミングな風味の絶妙なチューニング、余韻には微かにビターネス、シンプルな印象だがプロセッコらしいカジュアルな魅力をしっかり体感でき且つ余韻はしっかりとドライ。

   ヒラメのえんがわのリッチな脂とほのかな土っぽいニュアンスを、快活な泡とチャーミングな果実味がしっかりと包容。相性: ★★★☆☆
   イカのゲソはプリプリの歯ごたえ、薬味のショウガとネギがゲソの風味に抑揚を与える。この薬味の爽やかさがワインとの繋がりの起点となり、また行き過ぎない果実味がイカの上品な風味のボリュームとしっかりとバランス。相性: ★★★★☆
   マグロに合わせると、鉄分の思わぬ形で立ち上がり臭みが出てしまった。相性: ★★☆☆☆
   ねぎとろにもマグロと同様。叩いてネギを少々添えただけでは相性は変えられなかった。相性: ★★☆☆☆

②カンティーナ ラヴィス クラシック ノジオーラ, イタリア, 2020, 1,964円
Cantina Lavis, Nosiola, Dolomiti IGT, Italy, Trentino, 2020, 12%

香りの第一印象にはフラワリーなフレーバー、そして青リンゴ、未熟な微かに青みを含むマンゴーのゆったりとしたようでほのかに引き締まったフレーバー、わずかにハーバルなタッチ。樽香もなくフレッシュでボリュームはやや軽め。
風味にはみずみずしさを覚える凝縮感、酸味は穏やか、中盤から余韻にほのかに蜂蜜のようなタッチ、余韻はしっかりとドライ。
   玉子は出汁と柔らかい甘さを伴っていて、ワインのフラワリーなフレーバーが心地よく寄り添う。玉子の柔らかい食感もワインのフワリとしたフレーバーや全体感にもよく重なる。相性: ★★★☆☆

③キリ ヤーニ アシルティコ フロリナ 2021年 P.G.I.フロリナ(ギリシャ マケドニア) , 2,145円
Kir-Yianni, Assyrtiko, The North, High Altitude Wine, Greece, 2021, 13.5%

香りには青リンゴの親しみのある芳香、それを引き締めるライムの柑橘香。非常にフレッシュな果実香で、微かにナッティなニュアンス、フェンネルのハーバルなタッチが入りフルーツ以外の様々な要素も含む。微かに火薬のような香りもあり還元的。
風味にはみずみずしい果実味は柑橘を噛んだようなフレッシュでこぎみよい酸味、余韻には軽やかに塩味が含まれピュアで涼やかなフィニッシュ。
   ヒラメのえんがわのリッチな脂をワインの快活な柑橘がびしっと引き締めてくれた。相性: ★★★★☆
   イカの控えめで上品な風味を、ワインの柑橘香により陰陽、抑揚がつき楽しい余韻に。相性: ★★★★☆
   イカのゲソにも良い相性だが、同じイカならばゲソよりも風味が控えめな身の部分の方に対して、ワインの柑橘香が活かされる。相性: ★★★☆☆

④サン・ジョヴァンニ マルタ パッセリーナ 1,733円
Sangiovanni, Marta, Biologico, Marche, I.G.P., Passerina, 2020, 13%

香りには軽快に花梨、アプリコット、メロンの果実香、黄色い花のフラワリーなタッチをややはっきりと、温かい地方のフルーツが香るがファンネル系のハーバルなニュアンスもあり軽快で好印象。
風味には軽快な凝縮感、みずみずしさをしっかり感じる、穏やかな酸味、フレッシュだが温かい地方のフルーツ香が余韻に抜けて余韻は短いが飲みごたえを感じる。
   玉子に合わせると、ワインの果実味と風味のややまったりとしたバランスに心地よく寄り添った。相性: ★★★☆☆

⑤チウ・チウ レ・メルレッタイエ 1,980円
Ciu Ciu, Merlettaie, Offida, Pecorino, D.O.C.G., Italy, 2020, 14%

ペコリーノは主にマルケ州、アブルッツォ州で栽培される。イタリア語で羊を意味するペコラ(pecora)に由来し、羊飼いが羊の世話をしながら食べていたブドウという愛らしいネーミングだ。
香りには青リンゴ、白桃、スターフルーツ、アプリコットなどエキゾチックさもほんのりと感じる果実香、微かにセルフィーユなどのハーバルな爽やかさ。
風味にはみずみずしくも力のある果実味、こぎみよい酸味、余韻にほろ苦いタッチ、鼻腔を抜ける様々な果実香が楽しい。パクチーなどの効いたベトナム料理などにも合いそうだ。
   甘エビの繊細な旨味にもこのワインの包容力が光る。相性: ★★★☆☆

⑥ピエロ・マンチーニ, マンチーニ・プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ, サルディーニャ, イタリア, 1,898円
Piero Mancini, Mancini Prim O, Vermentino di Gallura DOCG, 2020, 13.5%

香りにはアプリコット、パイナップル、ライチ、パッションフルーツ、グァバ、南国果実が豊かに広がり、しっかりと効いた樽のバニラ香に絡み魅惑の香り、ボリュームは大きいが微かにメントール系、ライムなどの青い色の柑橘香が爽やかに抜ける。
風味にはジューシーな果実味ながらやや抽出量は多いか香りからくるほどの果実の強さは味わいにはない(それでも果実味はしっかり)、鼻腔を抜ける柑橘果皮のビターなニュアンスも相まってややビターなニュアンスを明確に、香りからは想像できないほどしっかりとした酸味もワインにメリハリを与えていて心地よい。
   サーモンの脂にワインの力のある果実香が心地よくバランス。相性: ★★★☆☆
   イカのゲソにはワインの磯のニュアンスが心地よく重なり合う。相性: ★★★☆☆
   マグロの魅力をワインの樽の香りなどが圧倒してしまった。合わなくはないが。相性: ★★★☆☆
   ねぎとろには不思議と、食感と風味の凝縮感のためかそのままの身よりもぐっと相性が良くなる。相性: ★★★★☆
   甘エビの繊細な旨味、ほのかな磯の香りに、ワインの潮の香りが好相性。相性: ★★★☆☆
   いくらには賛否両論か。ワインの潮の香りが魚卵特有のコクと匂いを強く立ち上げる。個人的には好ましい範囲だ。相性: ★★★☆☆
   寿司とは別に、鮭の炊き込みご飯に合わせたが、少し炙り目を付けた鮭とその塩加減にワインの潮と樽の香りが素晴らしい相性を見せた。相性: ★★★☆☆

⑦ヴァンダル ゴンゾー レジスタンス, ソーヴィニョン・ブラン, 3,630円
Vandal Wine, Gonzo Resistance, New Zealand, 2020, 12%

香りにはカットグラス、麦藁などのヴェジェタルなニュアンス、グレープフルーツ、ほのかにアプリコット、グァバ、パッションフルーツなど香るが熱帯的なもったりした感はなく涼やか、潮のようなニュアンス。
昆布や海藻を舐めたようなミネラルや塩気のニュアンス、果実味はこういった他の要素に包まれながらじんわりと広がる、余韻にはかなり明瞭にビターなタッチ。
   ヒラメのえんがわには、ワインの明瞭なグリーンな香りが強すぎた。反発はしない。相性: ★★★☆☆

17パターンの寿司ネタとワインの組み合わせを試して印象的に残ったのは、③ギリシャのアシルティコ品種とイカ(ゲソでなく身)、⑥イタリアのサルディーニャ島の樽の効いたヴェルメンティーノ品種とイクラを含む幅広い寿司ネタとの相性の良さだ。(赤ワインよりはボリュームが控えめになりがちな)白ワインながら赤身のねぎとろの風味にもしっかりとバランスした。

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