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焼き鰆 カリフォルニア育ちのヴェルメンティーノ

海外出張のフライトの待ち時間、成田空港のJALサクララウンジにて。スパークリングワイン、白ワイン、赤ワインをそれぞれ少しずつ飲んでみた。
白ワインは最近注目している品種、ヴェルメンティーノを使ったワインが提供されている。ワインがセットされたマシーンのボタンを押して、セルフでグラスに好きなだけ注げる。ヴェルメンティーノはイタリアのサルディーニャ島や、欧州有数の貿易港ジェノヴァを擁するリグーリア州などのティレニア海沿岸や、フランスはナポレオンの出身地コルシカ島などで主に栽培される。エチケットの品種名を見てそのあたりのどこのワインかなと産地表示に目をやると、なんと想定外のカリフォルニアとある。地中海の潮風を感じるこの品種が、縁もゆかりもないカリフォルニアで育て上げられるとどのような風味になるのか。まんまと造り手の術中にはまったような感覚を覚えつつも、好奇心は抑えられない。

マサイアソン ファミリー ヴィンヤード, 参考価格3,399円
Matthiasson Family Vineyard, Tendu, Vermentino, California USA, 2016
香りにはかなり強めに樽香のバニラやココナッツ、果実香はかなり圧倒されてしまっているがアップルパイやリンゴのコンポートをほのかに、不思議なことに柑橘系はあまり香らない。
風味にはよく熟した果実味に鼻腔を多量に抜ける樽香が相まってリッチな風味、グレープフルーツを思わせるキリッとした酸味が心地よくワインを引き締めるがやはりバニラに風味は支配されている。ワインとしては美味しいがヴェルメンティーノが持つ潮風のような爽やかさは体感しづらく、またそれがカリフォルニアでどのように表現されるかという好奇心を満たすことは叶わず、強烈な樽香に品種の個性が隠れがちで、少々落胆。が、再度言うが、ワインとしてはリッチな風味で口内が幸せになる好意的なワインだ。

出国前に少しでも和食を胃袋にと、和食御膳を注文。

まずは辛子明太子に。往々にして魚卵にワインはタブーだがどうだろう。ワインの樽香に明太子の風味が圧倒されるように包まれ、マスキングされ、中盤までは違和感ないが、後半にやはり臭みが立ってしまう。それでもタブーの魚卵に対しての健闘は称えたい。
相性: ★★☆☆☆

続いて焼き鰆 (さわら) に。グリルのスモーキーなニュアンスにワインの樽香が寄り添い、魚肉の磯の香りにも、ワインのリッチな風味は思いのほか反発はない。樽の効いたシャルドネは時に強すぎるバニラのフレーバーが魚料理に反発するが、それを持ちながらもしっかりと繋がったのはやはりヴェルメンティーノの底力か。
相性: ★★★☆☆

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