Hal
旅がどこまでも続くように。1000字エッセイ。
ハルサメ中等教育学校で繰り広げられる、ちょっとホンワカな物語集。一話完結です。
1000字ぴったりで書いちゃうおふざけエッセイ。
日常生活の中に埋もれてしまいそうな小さな物語を、1000字で。一話完結。
ChatGPTを使って遊んでみたエッセイ集です。
祖父母の姉妹のことを、「おおおば」(大伯母あるいは大叔母)という。祖父母であれば、おじいちゃん、おばあちゃんというのが普通だし、おじおばであっても、そのまま続柄の通りに呼びかけて違和感はない。ただ、「おおおばちゃん」というのは、いささか発音しにくいし聞きなれない。 当の私は、大伯母の家のチャイムが特徴的だったことから、小さい頃から「ピンポンちゃん」と呼んでいた。したがって、ここからもピンポンちゃんとして話を進めることにする。 ◇ 私が生まれてすぐに東京から仙台に引っ越し
フェティシズムというものがある。いわゆる「フェチ」というものだ。取り急ぎ中学時代から使っている愛用の英和辞典で調べてみたところ、このように書かれていた。 日本語で「フェチ」と言えば、上の定義における1の方を指す。ここでインターネット検索してみたところ、「誰にでもフェチがある」という記述がいくつも見られた。なるほど。自分を顧みると、性的興奮こそ覚えないが、他人がするよりも注目してしまうものとして一つ思い当たった。 いうなれば「手書き文字フェチ」である。 乱雑な字というのは
「気にしすぎだ」などと言われることを承知で書くが、直属の上司が顧客などに私を「部下です」と紹介するのが、正直に言って気に食わない。 彼が上司である以上、私が部下であるのは自明だし、一般的に「部下」という言葉に蔑む意図が含まれているわけでもないことは重々理解している。ただ、どことなく「私より身分の低い者です」とわざわざ示しているような気がして、モヤモヤしてしまうのだ。 そもそも、そのような紹介をする必要があるだろうか。「部下です」などと説明する機会があるのは、基本的には相手
時々、思うことがある。学生時代に一生懸命取り組んだ成果とは、何だったのだろうか、と。 鼻につく書き方になるとは思うが、敢えてはっきり書く。小学校に入学してから大学を卒業するまでの16年間を通して、私が他人に多少誇れるものと言えば、成績の良さである。自分自身で優等生だったと言うことほど恥ずかしいものはないが、逆に言えばそれ以外にはない。 強いて言えば、絵が下手で中学時代の美術の成績が「4」だったことと、大学時代の民事訴訟法の講義の出席が少なくなってしまい、S-A-B-C-D
自分自身の日常を指して「忙しい」と評したくない、というのが私の信条であるが、それを言い訳にしたい気分でいる。 毎週、水曜日と土曜日に記事を公開すると決めている私のnoteであるが、土曜日に忘れてシレっと日曜日に投稿し、水曜日も忘れてつい先ほどその事実に気づいた。もうだめだ。 以前も書いたとおり、私のnoteの下書きは、このまま年末まで公開し続けられるほどには蓄積されている。すなわち、ただ決まった曜日に公開すればよいだけの話なのだが、その作業すら忘れてしまうとは、恥ずかしい
『おいしい給食』を知っているだろうか。全国各地のローカルテレビ局を中心として製作・放映されている物語である。給食好きの教師として主演を演じるのが市原隼人さんなのだが、それまでのイメージと違ったコミカルな演技が非常に面白い。 関東近郊の各ローカル局で、昨年から今年にかけて、このドラマのシーズン1からシーズン3(最新シリーズ)を放送していた。私はシーズン3からリアルタイムで見始めた新参者なので、シーズン1やシーズン2まで見られたのは非常にうれしかった。 その中で、ふと目につい
いつもありがとうございます。Halです。 タイトルの通りですが、文体模写をnoteでやってみようかなと思っています。文体模写というのは、簡単に言えば「他人の書く文章のスタイルをまねて書く」というものです(「文体模倣」と呼ぶこともある)。つまり、文体模写の目指すものは、文章を読み終えた後に「え! これって○○さんが書いたんじゃないの!?」という反応が来ること、と言えば、もう少し分かりやすいでしょうか。 文体模写の代表作品といえば、『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書い
暇を持て余して仕方ないとき、私はしばしば辞書を開く。おすすめは英和辞典。単語の意味だけではなく、例文も豊富に紹介されていて、飽きない。そしてその例文の中には、「何があった?」と思いたくなるような、唐突な内容のものもあるのだ。 そこで今回は、私が小学6年生の時に買ってもらった「ユースプログレッシブ英和辞典 First Edition」(小学館、2004)から厳選して、想像の膨らむ例文をいくつか紹介していくこととしよう。 初めにお伝えしたいのだが、someoneは辞書中でもイ
中根厚治は悩んでいた。 ついに中根もハルサメ中等教育学校の6年生。5月に開催されるシラタキ高等専門学校との最後の対抗戦に向けて、彼の所属するラグビー部の練習は佳境に入っていた。入学したころには気弱だった彼も、当時の6年生だった鷹山番長(鷹番)に叩き込まれ、今ではキャプテンに就任している。 そこで、彼は対抗戦のチームメンバー選定に悩んでいるのである。ハルサメ中教においては、例によって教師の介入が非常に少なく、このような作業も全て生徒で行わなくてはならない。 しかし、どうに
歌詞カードを見ながら日本のアーティストの歌を聴いていると、しばしばルビが振られているのを見かける。難読の漢字を読みやすくするという役割よりは、表現効果としての役割を持つ傾向がある。 例を挙げれば分かりやすいだろうか。つまり、「窓に反射する哀れな自分」を「窓にうつる哀れなおとこ」(『innocent world』 Mr.Children, 1994) と読ませたり、「愛しい女性も今は何処かで」「悲しみを分け合えた他人もいない」を「愛しいひとも今は何処かで」「悲しみを分け合えた
こんにちは。Halです。 2018年2月の初投稿以降、私は細々と記事を書き続けてきました。既に6年以上が経ったと思うと、なかなか感慨深いものです。数にして400記事以上。ネタ切れのピンチを迎えたことは何度もありますが、どうにかここまでやってきました。 その400の記事の中には、もちろん駄作もありますし、更には読み返したが最後、修正したくなるような作品もあります。しかし、その一方で、「これはよくまとまっているな」「自分で書いたとは思えないほど冴えているな」と自画自賛(自文自
自身の不倫に対する口止め料の支払について、業務記録上で虚偽記載をしたとして起訴されている、米国のドナルド・J・トランプ前大統領に、通算10回目の法廷侮辱罪が認定され、これまでに科されている9000ドルの罰金に加えて更に1000ドルの罰金が命じられました。 この裁判に先立って、トランプ氏は証人や裁判所職員に対する公の場での発言を禁じられていましたが(かん口令)、これに再三にわたって違反しているというのが理由です。 これを命じたニューヨーク州地裁の決定の全文が、インターネット
〔小説〕いま、ここで [15: レストラン (少し不思議なふたり)] の男女の後日談としてお楽しみください。 ◇ ◇ ◇ ――おかしい。 自分の意識しないところで、自分の中の何かが変わってしまったことに気づいたときほど、寂しいものはない。現に僕はその寂しさの中で苦しみはじめている。 そもそも、自分が特異であることに気づいたのは高校生の時だった。好きな人の考えていることが手に取るように読み取れる。初めのうちは、悪いことをしているような気がしていたが、そのうち慣れてしまっ
Halです。猫も杓子もChatGPTを利用しているようなので、私も使ってみました(ChatGPT 3.5)。先日、ChatGPTはしりとりに相当強いだろうと予想して挑んだ国名しりとりで、あっけなく私が勝利を収めました。そこで今回は、国名などの制限なく、しりとりで真っ向勝負を仕掛けてみたので、スクリーンショットとともにお楽しみください。 まずは戦いの前の挨拶から。前回私が勝っていますが、決して驕らず、ここは勝者の風格で余裕を見せます。 前回同様、ChatGPTも臨戦態勢です
春になり、道端に小さな花が咲いているのを目にするようになった。どこから飛んできたのか、自宅のそばの車道沿いにも、一輪のタンポポがアスファルトを押し割るようにして力強く背筋を伸ばしている。 季節の移り変わりを告げるそのような光景を眺めながら、私は横浜の職場へと通う。都内の自宅から職場までは一時間強かかる。もう少し近い場所で勤めた方が、心身ともに楽になる気はするが、こればかりは採用してくれる会社がなくては致し方ない。考えてみれば、通勤・通学に電車で一時間かかるのは、大学時代から
風が吹けば桶屋が儲かる。あまりに有名なことわざである。他方、焼酎が売れれば歯医者が儲かる、というのもまた真のようだ。 それは2024年4月14日の夜だった。私はいつものように焼酎を炭酸で割ったり、ウィスキーを炭酸で割ったりしながら、アルコールと二酸化炭素を体内に注ぎ込んでいた。家族4人、穏やかな団らんの風景である。 お酒のおつまみは、その日によって異なる。ピスタチオナッツを優雅に少量口に運びながらウィスキーを楽しむときもあれば、じゃがりこをバリボリ噛み砕きながら自作レモン