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神棚の上のチャーリーパーカー

時折、無性にチャーリー・パーカーが聴きたくなる。ということは、そうです、つまりは日常的にはあまり聴いていないということです。パーカーは普段は神棚に祀りっぱなしですが、時々神棚から下ろしてきては、ありがたくパーカー様の演奏に浸るのであります(大げさ)。

ワンホーン的に楽しめる
最高なライブ 52年録音

日常的には穏やかなジャズや、ほのぼのハッピーなジャズなど、リラックスできるものを聴くことが多いので、そういうジャズばかり続けて聴いていると、たまには緊張感のあるパーカーが聴きたくなってくるのです。

じゃあ別にパーカーじゃなくてもフリージャズとかエレキ時代のマイルスとか、スピリチュアルジャズとか、ECMとか他にも色々あるでしょうよ、と思われそうですが、フリーは苦手だし、大所帯のジャズもライブ以外で聴くのは苦手だし、スピリチュアルなものは昔は好きだったけど今はちょい重いし、ECMはまだ探索中…となり、結果いつもパーカーに落ち着くのです。

私にとってパーカーの魅力は、まずはフリー系にも負けないアナーキーな響きです。荒々しくもギュッとしまった野性味溢れる音色。アルトサックスによるパーカーの音色は、たとえ高い音でもその根底に感じる野太さみたいなものが感じられ痺れます。

私はジャズを聴き始めた頃、初めてパーカーを聴いた時からそのサックスの音に惹かれました(自慢かよ、ささやかすぎるけどな)。よく「ジャズ初心者にパーカーは難しいかも」などといわれますし、私も正直アドリブの凄さは初めて聴いた時はよく分かりませんでしたが(素直)、初心者でもパーカー独自の音色の魅力を感じることは決して難しくなかった気がします。

その後、パーカーのアドリブの凄さが分かったのは、ジャズ・サックスの父ともいわれるコールマン・ホーキンスと1950年に共演している映像を初めて見た時でした。ホーキンスも素晴らしいのですがホーキンスの後にパーカーが吹き始めると…全く違う新しい時代の文体の文章を読んでいるような「スタイルの差」を感じたのでした。「パーカーのアドリブってカッコイイ!」と思いました。

もう少し具体的に説明すると、音数をやたらたくさん使いながらも、高度なテクニックで不自然になることなく完全に制御されたクールな響きと、随所に織り込まれる美しいメロディー。そのたたみかけるように音を繰り出すアドリブのスリルと独自の音色による、軽く狂った雰囲気。もうそれ以来すっかり惚れ込んでしまいました。

バード&ディズ
45年のライブ録音

最近、親しくしていただいているジャズベースを演奏される年上の方が「アドリブを弾くにはパーカーのフレーズを聴き込まなきゃ」と先輩奏者にいわれた、という話を聞かせてくれました。私はジャズミュージシャンではないので、そこまでは聴き込む自信はありませんが「そういうものか、やっぱりパーカーがモダンジャズの基本なんだな」と改めて感心してしまいました。

ちなみに私がパーカーを聴くのは大体2か月に1回位かな。でも神社には初詣位でしか行かない私には、パーカーって案外身近な存在なのかもしれません☕️

バックヤードで練習するパーカー
好きな写真

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