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青春街の唄 (藤本二三吉)。

藤本二三吉の歌う「青春街の唄」。酒巻春之助作詞、池田不二男作曲で、サンデー毎日にて、宮本幹也が連載していた小説「青春街」が新興キネマで映画化された際の主題歌でした。監督は同プロダクションに移籍したばかりの村田實が担当。中野英二、岡田時彦、入江たか子、森静子などが出演した全十巻の作品であり、昭和8年11月に封切られました。物語は闇の世界に落ちぶれた不良青年が主人公で、嘗ての恋人と再会するも兄弟分が彼女を愛している事を知ると、進んで恋を譲り身は再びギャングとして夜の街へと去って行くと云う、後年の日活アクション映画の先駆け的な作品であります。出演者の一人である岡田時彦は当時30歳、大変な美男子であり私生活では愛娘を授かったばかりでした。しかし運命は残酷なもので、映画の後で病に倒れてしまい間も無く亡くなるのです😞。

主題歌の作詞者酒巻春之助とは殆ど聞かない名前ですが、ラベルにある「サンデー毎日懸賞募集当選歌」の文字から察するに、恐らくは公募で選ばれた歌詞を手掛けた一般の読者の方ではないかと思われます。作曲は昭和8年に吸収合併されたパルロフォンから来た池田不二男が担当し、以降「雨に咲く花」や「花言葉の唄」などをヒットさせて、数年間に渡ってコロムビアの主力作曲家として活躍するのですが、悲しい事に彼もまた岡田時彦同様に病に侵されてしまい、昭和12年に活動を停止。レーベルに別れを告げ、郷里に帰って療養に励むも、甲斐なく戦中に没しました。芸者歌手の藤本二三吉がギャング映画の主題歌を唄っているのも珍しい組み合わせで、基本的なメロディは日本調ですが、ハバネラのリズムがベースになっております。レコードは昭和8年秋に発売されました😀。

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