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”攻め”の経営管理

こんにちは。NEWT 1st ANNIVERSARY CALENDAR 12日目担当の太田です!
前職までこういった記事掲載とは無縁の世界にいたので、ちょっと緊張しますが投稿させていただきます。これまで書籍や教科書の執筆をすることが多かったので、少し文章が堅い!と感じられるかもしれませんが、最後までお読みいただけると嬉しいです。

自己紹介

まず最初に自己紹介させていただきますと、前職は投資銀行でM&Aや資金調達、企業価値評価などのいわゆるコーポレート・ファイナンス業務に8年ほど携わり、2022年11月に令和トラベルにジョインしました。

私はバックグラウンドが公認会計士であるため、社会人になりたての頃のスキルセットは会計・経理に近かったのですが、前職の経験を経たことで、コーポレート・ファイナンス分野にもスキルが広がり、令和トラベルでは数値まわり全般を管理する経営管理チームの責任者を任されております。

社内のシャッフルランチでの様子

はじめに

今回は、令和トラベルというスタートアップの経営管理チームが社内で担うべき役割について、私が考えていることを紹介させていただきます。

スタートアップですでにバックオフィス業務に従事されている方はもちろん、いわゆる大企業での経理・経営企画・ファイナンス周りの経験をお持ちの方などにもお読みいただき、”攻め”の経営管理って面白そう!と令和トラベルへのジョインに興味を持っていただけると嬉しいなと思っています。

なお、”経営管理”チームと銘打っていますが、会社によってこの辺りの呼称は全然違いますし、含まれる業務内容も千差万別だと思います。令和トラベルでは、経営企画・ファイナンス・経理・IR・ガバナンス(IPO準備)あたりを総括的に見ているチームが経営管理チームとなっています。本記事でも経営管理チームという名称は上記の辺りを管轄する部署とご理解ください。

経営管理が持たれるイメージ像

さて、経理や経営企画と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか?

「会計のプロが集まる専門部署」「不確実な将来をしっかり見据えた事業計画を策定している部署」といった”カッコいい”イメージもあれば、「数字にうるさい部署」「経費精算する時の関門」みたいな少しネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれません。はたまた「達成不可能な予算を掲げている人たち」みたいなとっても残念なイメージを持っているかもしれません。(苦笑)

いずれのイメージも間違っているという訳ではなく、言い得て妙な部分もあるのですが、総括するといわゆる”守り=利益獲得に直接貢献しない”部署である、というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

当社を例にすると一般的なイメージは、こんな感じだと思います。

大企業など、従業員数が多くバックオフィスだけでも多数在籍している企業では、上記に挙げた経営企画・経理・ファイナンスのあたりはそれぞれ独立したチームがになっていると思います。

一般にこれらが別部署で動く会社ですと、例えば戦略や中期経営計画策定は経営企画部、実績の集計は経理部、資金管理や調達は財務部など、経営管理や計数管理に関する業務が部門間で分断されていることが多く、いくらうまく連携しようとしてもズレが生じ、情報共有が不十分になったり、機能が重複してしまうことが多いです。

また、これらはすべてが有機的に連携して一つの”財務戦略”というものを形成するのですが、部署が分かれることで意識の断絶が発生し個々の部署で完結する、全体像を見ることが出来る人材が育たない、という問題点が生まれます。

これにより他部署から見た場合に、各部署の役割はなんとなく分かりつつも、どのように利益獲得に役立っているのか見えづらい、利益獲得から遠いのではないか、というイメージを持たれてしまうのだと思います。

この点、スタートアップは少し景色が違います。

特に、現在の令和トラベルのような立ち上げ〜成長フェーズにある会社では、貴重な人的リソースはバックオフィスよりも開発チームや事業側に寄せるべきであり、結果としてバックオフィス人員は最低限として回す必要があります。令和トラベルでもパートタイムを含めて現状3名からなる経営管理チームで、上記した業務の全てを管掌しています。

これはもちろん業務範囲が広く大変な体制ではあるのですが、一方ですべてを経営管理チームで一手に担うことで、事業計画策定から始まり、予実管理、計数(KPI)管理、資本政策を有機的に連携させることで、そこから見える経営課題を月次ベースでタイムリーにボードメンバーで共有し、即座に軌道修正することが出来るようになります。ここには事業部の役員も参加していますので即座に事業戦略にも還元されます。

また、このような全社目線からの財務戦略を描くことで、自社のみならず、自社が属する市場やマクロ環境における現在地を確認し、CEOとより精緻な将来の戦略・資金予測を描くことも可能になります。

このような経営戦略に近い位置で会計・ファイナンスに明るいメンバーが計画策定や予実管理に横断的に携わっていくことがスタートアップにとって非常に重要であり、これを私は”攻め”の経営管理と呼んでいます。
 

非連続な成長を企図した買収

さらに、ここに”令和トラベルならでは”の特徴が加わります。

みなさまはLinkedInの創業者リード・ホフマンの名言をご存知でしょうか。
「スタートアップとは、崖の上から飛び降りながら、飛行機をつくるようなものだ」
これを最初に聞いた時は、なんてわかりやすく納得感のある表現だと感心しました。このフェーズのスタートアップでは通常、資金残高とにらめっこして次の資金調達を考えながら経営をしていくことが多いと思います。調達した資金を使い切る前に、PMFという飛行機を作り終わって飛ぶことが出来れば成功、飛行機づくりが間に合わず資金が底をつけばそのまま落下してしまう、ということですね。

この点、令和トラベルはCEO篠塚のNote(こちら)にもあるとおり、創業3ヶ月で22.5億円というSeedフェーズでは史上最高レベルの資金調達を行いました。これは当面資金の枯渇を懸念せずに経営戦略立案に集中できる(もちろん無駄なコストは認めない前提です)点で、創業当初のスタートアップがぶつかる財務の壁を克服しているのですが、一方で最初から他社とのM&Aや資本提携を見据えた動き方が出来ると考えることも出来ます。この点もまさに”攻め”の経営管理の役割の一つでして、オーガニックグロースでは短期間での実現が難しい非連続な成長も、他社や他事業の力を借りることで実現が出来ます。

世界最大のOTA(Online Travel Agency)であるBooking.comも、プライスライン・グループ社がオランダのOTAであるBookings社をM&Aしたことで急速に成長しました。M&Aをバックグラウンドに持つ私がジョインしたこともこの方向を勢いづける一つの施策であり、経営管理チームに広く求められている役割の一つでもあると考えています。特に、海外旅行業界はコロナ禍で深く傷ついてしまった優良企業が数多くあると考えられ、そのような会社と共に成長していくという観点で買収機会を探りながら非連続な成長機会を伺っています。

上記したM&Aや新規事業開発は、当社の組織図上は経営管理とは形式的に分離して”経営戦略室”という部署を設けて管掌することとなりました。この部署では事業部の若手エースを抜擢して会計・ファイナンス視点を教え込むことで、欧米の事業FP&A(Financial Planning & Analysis)のような位置づけに育ってもらいながら事業側の意思決定にファイナンス要素を取り込んでいくことも想定しております。FP&Aはご存知の方も多いと思いますが、欧米で事業と経営をつなぐ存在として認知されており、会計・ファイナンスのプロフェッショナル、経営管理の専門家として認知された職業です。
このような事業FP&Aを育てることで、短期的な収益獲得の視点が強くなりがちな事業部に対し、中長期的な視点を持つ支援を行うことも出来ると考えています。

まとめ

上記したように、スタートアップ初期フェーズでは経営管理部門に割り当てられる人員数は多くないですが、それにより必然的に管掌範囲が広くなるため、広く計数管理・ファイナンスの知識/経験を持つ人員がいることで全体を横断的に見ることができ、早い段階からCEOに近い位置で財務戦略を立てることが可能となります。当然ながらこれを1人で担うことは難しいので、経営管理メンバー全体でそれぞれが広い役割を持ちながらカバーしあって実現していますが、事業規模の急拡大に伴って令和トラベルも経営管理チームのさらなる規模拡大のフェーズに差し掛かっていると言えそうです。

さいごに

明日のNEWT 1st ANNIVERSARY CALENDAR はバックエンドエンジニアの木村が、今流行のChat GPTを活用した技術開発への挑戦について記事にしてくれる予定です。お楽しみに!

令和トラベルでは、現在全力で仲間探しをしていますので、少しでもご興味ある方はぜひ採用ページからご連絡ください。まずは気軽にお話を聞いていただける、ミートアップも開催しています。メンバー全員で温かく迎える準備はできています!

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