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コーチングの門を叩く人が叩く門

コーチングをしている最中、あるいはその後に、コーチである私の中で何かが熱く込み上げてくるような、切なさのようなものを強く感じることがある。
毎回、感じるわけではない。どういうときに感じるかというと、コーチングを受け始めたばかりのクライアントや、これからコーチングを受けてみたい、という人の話を聴いているときに感じることが多い。
抱えているモヤモヤ、満足できない環境や人間関係、うまくいかない状況に対する焦りや不安…。それらについて彼もしくは彼女が話しているときに感じる、なんともいえない感覚。
分厚い壁の向こうから、あるいは井戸の底から
「ここから出たい」
と叫んでいるような何か。それは確実に存在していて、確実に声を発している。
「あぁ、これって、その人の魂が願っている声なんだな」。
魂というと胡散臭いと思われるかもしれないが、自分としてはこの表現がしっくりくる。
別の言葉に置き換えるとすれば、その人の根源的な人生に対する欲求、あるいは価値観の集成のようなもの。それらが発する何かがこちらに伝わり、私の中で熱いものが込み上げ、切なさのようなものになる。
それに対して今すぐ私ができることは無い。
けれども、その声を聴いた私ができることとして、その人に必要そうなアクションを提案する。
提案内容は、私とのコーチングだったり、別の学びの機会を案内したり、他の人を紹介することもある。
とにかく、その人が自分の魂の願いに応えて、自分らしく生きるように人生を軌道修正すること。それが大事なのだ。
自分の魂の願いにちゃんと応えて生きている人もいる(そのような人には、コーチングは必要ない)。気づかずに、あるいは気づかないふりをして生きている人もいる。
コーチングの門を叩く人は、「ここから出たい」という魂の声に突き動かされて、自分の内側の門を叩いている。その切実な願いを感じることこそが、コーチである私の生業なのだと最近、思うようになった。

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