見出し画像

個人とシステム

こんにちは。人がその人らしくイキイキと生きるためのお手伝いをしているコーチのれいこんです。

昨日はご縁をいただき京都の小さなウェブ企業のチームビルディングのファシリテーションをしました。創業から2年目、ようやく3人体制になった会社の理念と方向性を考えたい、ということで初めて実施しました。

私自身、単独でリアルで企業のチームビルディングに関わることは初めてだったのでドキドキでした。

2時間という短い時間の中で、どんなプログラムを提供しようか死ぬほど悩みました(いつも初めての仕事ではものすごく苦しみます )。どんなワークをしたら企業理念に行き着くのか?会社の方向性が定まるのか?

最終的に行き着いたのは、「まずは個人に声を発してもらうことにしよう」というシンプルなことでした。

生まれてからの生い立ちと、今の会社に入るまでの道のり、なぜ今、ここで仕事をしているのか。各自がマイストーリーを語り、メンバーがそれに耳を傾ける。全員分が終わる頃には、1時間半が経過していました。

残りの時間、「どんな会社にしたいか?何がYESで何がNOなのか?」について話し合ってもらったのですが、滑らかに言語化が進み、30分の超過はありましたが、穏やかに初回のチームビルディングが終わったのでした。

おそらくいきなり「どんな会社にしたいか?」という全体のことを考えることから始めたら、うまくいかなかっただろうな、と振り返って思いました。

メンバー個々が声を発し、関心を持って受け容れてもらうことで、心理的安全性が育まれる。自分が声を出せる、という安心感があってこそ、会社が「どうあるべきか」「どうしたいか」という対話が本音で始まるのだと思いました。

完了時の感想タイムで、ある社員さんが「めちゃくちゃ新しい気づきはなかったけど、自分が普段、感じていることや願っていることが会社の方向性と合っていることが分かって良かった」と感想を言い、残りの2人がうんうん、と頷いていたのが印象的でした。

システムと個人

私は現在、毎月1回東京に通ってシステム・コーチング®︎の研修を受けています。

システム・コーチング®︎は「関係性のコーチング」といわれています。複数のメンバーが集まりシステムを作ると、関係性という別の人格的なものが立ち上がり、その関係性が発する「システムの声」を扱う方法を、私たちコーチは学びます。

システムの声、実際にあるなあ、と学べば学ぶほど目から鱗が落ちるのですが、一方で、システムにばかり注意を向ける危険性も感じるようになりました。

大前提としてシステムは「ひとりの人」たちによって構成されている。だから、ひとりの人、個人を尊重する土壌があってこそ、システム・コーチング®︎が成り立つということも忘れてはなりません。

最近、戦争や経済の不安定化など国家間あるいは世界全体の問題が浮き彫りになっています。国家のリーダーたちは様々な思惑をもってパワーバランスのなかで駆け引きしています。

多くのリーダーたちはシステムを動かすことに注力しており、ひとりひとりの暮らしに想いを馳せることはなさそうです。それでいいのだろうか、と疑問を抱きます。

大陸のどこかで貧しい大地を耕しながら懸命に生きる人、都市の片隅で孤独を抱え暮らす人、支える人のない高齢者、育児と仕事に疲弊する若い夫婦…。

国家のリーダーが、そんな人たちの暮らしを目の当たりにし、できれば同じ場所で日々を過ごすような体験を一度でもすれば、世界はもっと穏やかになるのではないだろうか、と稚拙な発想ながらも思います。

大きな物事を動かすには、大きなシステムが必要だけれど、構成する「個」の幸せがあってこそ、システムの存在意義がある。そんなふうに思い、個を大切にする政策や経営が広がってほしいと願っています。

なんだか最後は大きな話になってしまいましたが、個を大切にするシステムは強いよ!ということを大きな声で伝え続けたいと思います。

ひとりひとりの幸福と力がシステムの力を産む。そう信じて、コーチとして個人とシステムに関わり続けたいな、と感じた1日でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?