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記憶力が悪いわけじゃなくて、「行きつ戻りつ」でいいのです

こんにちは。
英語コーチの ながき れいか です。

映画の名前とか、前に行った旅行先とか
憶えているのに固有名詞が出てこない。
そんなことが増えました。


今日はそんな記憶に関すること。

「分かったと思ったら、また忘れました」

現在完了形という英文法を
学んだばかりのAさんからのメール。


先週のセッションで、
「日本に来たのは初めてですか?」
「お好み焼きを食べたことはありますか?」
こんな質問がしたい、と言うことで
現在完了形を復習することに。


「現在完了形について何を知っていますか」
と聞いたら「haveとなんちゃら…」
そう言っていたAさんが
ひと通り勉強してみると、

「これは便利な文法!めっちゃ使えそう」

新しい文法を学ぶたびにワクワクするAさん

と笑顔で言って、いくつも例文を作った。


I haven’t eaten Mexican food before.

My daughter has played tennis for two years.

My dog has been sick for one week.

「現在完了は難しいと思ってたけど、何か分かっちゃいました」

ところが…


その2日後に、例のメール

「分かったと思ったら、また忘れました」

セッションの復習ノートを見て、
その時は「ふむふむ」と大丈夫だった。
そのあと、音読のテキストに

1)90 percent of online shoppers have purchased items…

2)Chinese consumers have effectively bypassed the PC era.


この2つの例文があり、
「あ、現在完了だ」と思いながら
音読したら、なんだか分からなくなった。

「分かったつもりになってただけみたいです。自分にガッカリしました。来週、もう一回教えてください」

悲しそうな文面のメールでした。


でも、
この現象まったく珍しいことじゃない。


文法書の解説を読んで「分かった」と
思って張り切って問題をといてみると
たくさん間違えてる。

「おかしい」と思って、
もう一度、おちついて解説を読むと、
やっぱり書いてあることは分かる。


分かったのに、分かってない?!


言語学者の先生も
この現象はビックリすることでも
ガッカリすることでもない、と言ってる。

知識を学ぶということは、あることがわかると、その瞬間から全部わかるようになるというものではなく、できる、できないの間を「行きつ戻りつ」なのです。少し分かったように思っても、実はあやふやで、ちょっと対象が変わるとまたできなくなるということが起こります。

「ことば、身体、学び」為末大、今井むつみ著 p. 196


この本では、算数を勉強する子どもの例が
紹介されている。

「34」を
数字タイルで「10」が3枚、「1」が4枚
それをお金に変えると「34」が作れない

じゃあ、またタイルに戻る。

このプロセスを繰り返して、その子は
数字タイルでもお金でも「数」を
操作できるようになった。


薄くて、あやふやな線を
何度もなぞり書きをすることで、
濃くて、ハッキリした線にしていく。


現在完了形も1回の説明と練習じゃ
ぜんぜん頼りない、薄っぺらい知識。

これから、あっちからこっちから
線を何度もなぞっていけばいい。


来週もう一度、復習したときに
「あ〜、そうだった。分かった!」

そのあと、しばらくしたら
また「あれれ、分かったはずなのに」
そうなるかもしれない。

知識を学ぶことは「行きつ戻りつ」
これを心に留めておけば
ガッカリせずに、もう一回できる。


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