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向日葵


頬に少し伸びている産毛が白く光っている

窓から差し込んできている温かい日差しが
私達の眠っているベッドを優しく包み込んでいる

向日葵も思わず見惚れてしまうような日差しが
私の頬をくすぐって、ぼんやりと目を覚ました

気持ちよさそうに眠っている
私の隣でずっと、気持ちよさそうに

好き
すきすきすき

彼の寝顔を隣で見つめて
ずっと体の芯が疼いている

私は産毛の揺らめきを、じっと見つめる
何時間でも見ていられそうだ

頭が外の日差しみたいにぽーっとする

幸せ

花が美しく咲くのは
素敵な太陽と、たっぷりの栄養を含んだ土壌と
綺麗な水があるから

私は、その全てを与えてくれる人に出会った





時計を見ると
時刻は午前十一時ちょうどを指していた

また、昼過ぎの起床
最近はずっと、大学にも行っていない

私はずっと、隣で寝ているこの人とずっと一緒にいる
初めて、私が泣きながら過去を打ち明けた人
私と一緒に、泣いてくれた人

彼は私の全てを受け入れてくれた
あらゆる不安を
ウイスキーかジンで割って飲み込むしかなかった私に
帰ってくる場所を与えてくれたのだ

人に泣きながら本音を打ち明けたのは
この人が初めてだった

縋るしかなかった
この優しさに

一緒に泣いて、
「大丈夫だよ」と言ってくれたこの人に
私はずっと、くっついている

どうしてそんなに優しいの?

隣で気持ちよさそうに眠っているこの人を
私は起こして散歩に行きたい

外が気持ちよく晴れているから
この暖かい日差しを一緒に浴びて
今日天気気持ちいいねって言いたい

ねぇ、起きて
身体を揺さぶってみても、起きる気配はない



私はこの人の顔が好きだ
とても可愛い顔をしている

私は愛おしくなって
もう一度ベッドに潜り込んだ

毎日楽しそうに生きているこの人は
私の不安をいく分か消し去ってくれる

彼はどう思っているんだろう
私のこと、どうするつもりなのかな

私は純粋に嬉しかった
こうしてここに
私の居場所を作ってくれることが

しかし、私は時々不安に駆られる
いつまで、こうして一緒にいられるのだろうか

好きになればなるほど
これから先のことが怖くなっていく
彼が寝ている隣で、涙したこともある

彼は気づいているのだろうか
私の、この気持ちに

ねぇ、起きて
もうお昼だよ

私は彼をゆすってみる
でもまだ、彼は起きる気配がない

私はじっと、彼を見つめる




ずっと彼にもたれかかって生きていくつもりじゃない
そうは思っているけれど
今のところ彼は私を放さないでいてくれるらしい

この人は
私をずっと受け入れてくれるのだろうか

こうして、ずっと一緒に暮らせるのだろうか
いつまでも、こうして隣にいたい

神様、お願い
これだけは叶えて

やっとできた大好きな人なんです
この毎日が、ずっと続いてほしい



ねぇ、起きて
一緒に散歩しに行こう
外、凄くあったかいよ

ちょっと離れたところまでさ
歩いてコーヒーを買いに行こうよ

そしたら公園のベンチに座って
日が暮れるまでおしゃべりしよう

あなたとずっと話してたいの
一緒にいれたらそれでいい

早くしないと日が暮れちゃうよ
起きなきゃもったいないよ

だからお願い
ねぇ、起きて



何気ないこの日常が幸せ
将来何て知らないけれど
私はあなたにずっとついていきます

今、先が見えないのは
あなたとの未来が眩しいから
そう信じても、いいのかしら

今はあなたしか見えないから
あなたのことが、大好きなんです

他には何にもいらないの

一杯のコーヒーで良いんです
ねぇ、散歩に行こう
あなたがいればいいの

一日中、おしゃべりしよう
難しいこと全部放り出して
あなたとの時間を楽しみたい

だからお願い
ねぇ、起きて






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