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ブラレイコの本棚 2023夏の特選

この夏も、たくさんの素敵な本に出会うことができました。

今回ご紹介するのは、6~8月読んだなかでも、特に心に残った特別な3冊。
どうか、必要な方に届きますように〜。

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黄色いマンション 黒い猫 (新潮文庫) 文庫 – 小泉 今日子 (著)

軽やかだけど、深い。短いけど、脳裏に残る。
圧倒的な文章力。面白くて魅力的で、イチオシのエッセイ。

小泉今日子さんは、ここ数年ウォッチし続けている”推し”の一人。独立起業され、想いをもってモノづくりに励む生き方がカッコ良い。Spotifyを聴いたり、SNSをフォローしたり、舞台を観に行ったり……と、彼女の言動は追いかけているのだが、そう言えば著書を読んだことがなかった。

このエッセイは、雑誌『SWITCH』に掲載されていた「原宿百景」という連載が文庫になったもの。幼少期、アイドル時代、そして現在。さまざまな時間軸で書かれた短編エッセイだ。小泉今日子という人間のコアにあるだろう、死生観や価値観につながる人生の出来事が詰まってる。とても赤裸々で、とても軽やか。

加えて、和田誠さんが手がけた装丁も最高。
少しネタバレになるけど、ショートエッセイ「黄色いマンション 黒い猫」のストーリーは、この表紙絵のような明るい表情になる話ではない。でも、和田さんは、敢えてこのハッピーな表紙絵を描いた。そのセンスが最高だし、小泉さんとの絆と愛を感じる。

小泉今日子さんってどんな人? カッコイイってどういうこと?と、疑問に思ったあなたには、まずこちらのnoteをどうぞ👇


キャリアを手放す勇気: 東大卒・マッキンゼー経由・お笑い芸人 文庫 – 石井 てる美 (著)

「おすすめのキャリアの本ありますか?」の答えが、ここにあった。
この本には、キャリアに悩む人に寄り添う「優しさ」と、マッキンゼー流の「ロジカルな思考法」の両方が、バランスよく調合されている。まさに奇跡の一冊。

優しさとマッキンゼーって同居するんだ〜!?
と、驚きを隠せない気持ちはよくわかる(失礼すぎる)が、著者 石井てる美さんのバックグラウンドを知れば納得する。

東京大学を卒業し、就職人気トップクラスのコンサルタント会社、マッキンゼーに就職。エリートコースを順調に歩んでいた著者が、死を意識するほどの挫折に直面。もがき苦しんだ末にたどり着いた結論が、お笑い芸人になることだった――。

側から見たら、誰もが憧れるエリートコースを歩んでいる人生。でも、壮絶な挫折経験、葛藤、迷いがあったんですね。
その描写がとてもリアルだし、文章から石井さんの優しい人柄が溢れている。今悩んでる人が読んだら、きっと涙が溢れてしまうんじゃないかな。

石井さんがどうやって前に進んだのか、その先に現れる壁とは何か。その時どう考えたのか…など、かなり具体的に書かれている。マッキンゼーで習得した思考法を仕事選びやキャリアの判断に転用する考え方も、とても参考になる。

高学歴な方が読んだら、同じような境遇に共感しやすいのかも知れないけど、
エリートコースを歩んでいないわたしが読んでも、すごく勇気をもらえる一冊◎

今の自分の居場所に違和感がある人、
人生の踏ん張りどきの人、
キャリアの決断に迷っている人、

この本は、そんなあなたの背中を押してくれるはず。
ビビッときた方は、ぜひ手にとってみてほしい。


雨夜の星をさがして 美しい日本の四季とことばの辞典 単行本(ソフトカバー) – 古性 のち (著)

こんな世界観の本を、わたしも作りたかった。
嫉妬ではなく、感謝。
素敵な本を作ってくれてありがとう、そんな想いになった一冊。

この本は四季の美しい言葉たちの蒐集本です。
時代とともに姿や意味を変えながらこれまで脈々と大切に受け継がれてきた
大切な言葉たちをひとつずつ、丁寧に編集しています。

この本の著者 古性(こしょう)さんは、フォトグラファー。タイに住んでいた頃に、自国である日本とどう向き合うかを考えた末に「四季を言葉であらわす美しい日本の文化」に辿り着いた。俳句や和歌をやっている訳でもなかった彼女が、季語に魅了されていったストーリーが不思議と自分と重なった。

わたしも、特に日本語に詳しい訳ではないけれど、「美しい季節の瞬間を、美しい言葉で愛でる日本の文化」に魅了された一人である。

古性さんの表現する世界観は、noteやX(Twitter)でも味わうことができるのでオススメ。

センス良いし、勉強になる。最高か!

ここにもセレクトされていた「夏の果て」は、わたしも好きな季語の一つ。

夏が終わろうとする今の時期。「秋近し」ではなくて、敢えて「夏の果て」と表現したい。「終わらせたくない。終わってほしくないよ、夏」な感覚。
みなさんも経験ありませんか?

こんな日記を書いたことがあったので、ついでにご紹介。

季語って、素敵だよね。
日本語って、美しいよね。

わたしはこの夏、季語と自分の撮った写真を掛け合わせたアート作品づくりに挑戦しています。
そんなタイミングもあり、古性さんのこの本に出会えたのは、とても嬉しかった〜。

この本は、何度も読み返して、愛でることになるだろう。
日本の未来へ繋いでいきたい一冊。

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以上、ブラレイコの本棚、2023年夏の特選3冊でした。

この夏は、ビジネス本やHR系の専門書を読むことのほうが圧倒的に多かったけど……
心に残る本となると、そういう系じゃないものを選びたくなる。

気づけば、今月のおすすめは女性の書いた本ばかり。
そんな月も、珍しいかも?

最後まで読んでいただきありがとうございます。
みなさんにも、素敵な本との出会いがありますように。

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