この時ばかりは生姜を擦る手間を厭わない。
母の味といえば
生姜たっぷりの豚汁でした。
以前、マルシェに出店をした際のこと。おむすびの具材のラインナップに生姜の佃煮を入れていたんですよ。
こんな、小洒落たネーミングセンスで(おい)
ただ具材を選んでいただくのではなくて。選ぶ瞬間から楽しめるように、といつも具材の命名には趣向を凝らしています。およげしゃけくん、桜エビ坂おかか46、お〜い塩、伊藤園。なんていう風に。
ちょっとおふざけが過ぎるかもしれませんが、れいちゃん節を御存じの方であれば、半ば呆れつつもまだ認知できることでしょう。ところがどっこい。通りすがりの、ベビーカーを引いたお母ちゃんがれいちゃんおむすびの前で立ち止まってくださって。なんとも嬉しいことに、具材選択段階に突入してくださったんです。
「どうしようかな….塩...。うーん」
迷っております。(ちなみに、お〜い塩。伊藤園にはツッコまれず小娘少々落ち込む)そして、見つかった生姜の佃煮。
「生姜ない、佃煮。あれ、生姜ない?生姜ある?あれ?」
ベビーカーお母ちゃん困惑です。生姜があるのかないのか。ないとしたらもはや詐欺。だけどお母ちゃん的には混乱状態です。
「生姜の佃煮です!分かりづらいですよね…すみません!」
「あー!よかった!じゃあこれ1つお願いします!」
しまった…自分が楽しむあまり、お客さんを楽しませるどころか困らせてしまった。大反省をした小娘。何事も失敗から学べばよいのです。その後のマルシェではしっかりと
そう命名し、売り出しました。生姜がない→わけではない→生姜がアル。ばあっちりです。これでお客さんにもきっと生姜の佃煮を楽しんでもらえるに違いない。そう思っていたのですが…。突きつけられた現実といえば。
「生姜なくない佃煮ってことは生姜は、えーっと。ある?か?あれ?」
来てくださったお客さんに、前回以上に脳トレを強要する始末。あぁまたやってしまった。情けなくて不甲斐ない。悩みに悩んで生姜に翻弄された結果、すっかり生姜の佃煮をラインナップから掻き消してしまっていたれいちゃん。生姜と仲良くなる未来は遠そうです。とほほ。
さて、生姜と相性診断をしたらきっと30%のあたくし。美味しいし、大好きですが。おむすびの具材以外では面倒くさくってチューブを使ってしまうことの方が多いです。
ですが、先日。思わず生姜を擦りおろしたくなってしまう。そんなきっかけをくれた出来事がありました。10月末のハロウィン前後。某コーヒーチェーンにてBoooooフラペチーノなる新作が発表されていたんです。ブー=豚の鳴き声。飲み物の中で豚に関連しているもの、つまり豚汁。きっとboooooフラペチーノは豚汁のことだ。あまりに安直な小娘の脳みそは間違いなく豚汁に違いないと思いました。
同時に、ついにスタバでも豚汁が出されるようになったのか.....と絶望の淵に立たされたような気持ちになりました。なぜって、豚汁。しかも、生姜がたっぷりと入った豚汁はお母ちゃんの味だから。実家の味、つまりはセカンドプレイスの味です。そんな想いでの味を、急に出てきたサードプレイスに、邪魔されちゃあたまったもんじゃありません。
数日後に、どこぞのYouTuberの方の動画でパンプキン系の味(しかも味の正解結局知らないの本当にすまん。すまんスタバ。SS)だと、知った時は胸を撫で下ろしました。
とにかくワイルドなお母ちゃん。そのワイルドっぷりといったらもう。
可愛いからと、集めているシルバニアの家は、そこら辺にあった段ボールで制作。年末には、水回り部分の細かい普段の掃除を業者の方にお願いしているのですが、焦りすぎたのか9月に業者の方が来ていました。いや、年末の関係なさ。
そんなワイルド加減ですから、幼い頃から、豚汁が入っているのはお椀ではなく、丼ぶり。汁物というよりも、食べても食べても丼ぶりの奥底からたっぷりの具材が湧き出てくるメイン級のおかずでした。
豚汁というより、豚野菜とか豚おかず。さらには具材に負けじと生姜がたんまりすりおろされているものですから、それはもはや豚生姜。いや、生姜に圧倒されていて、“豚”すらいらないかも。生姜。でも一応、豚汁ということで。
たっぷり生姜の入った具沢山の豚汁とご飯。
作る時は毎回たっぷりとお鍋に作られる豚汁。母からすればカレーと同じ要領だったのかもしれません。数日間、カレー日和が続くように、我が家では豚汁も2DAYS仕様。アーティストに換算すると、結構人気というわけです。
そして2日目か3日目には、やはりカレーのように、最後はうどんとコラボするのでした。豚汁うどん。汁物も、メインおかずの領域を超えてきての主食。
豚汁だって、ここまで自分の世界が広がるとは思っていなかったでしょう。汁物からおかず。そして主食への昇格。料理界では類を見ないかなりの昇進です。味噌汁と肩を並べていたと思ったら。おかずのきんぴらごぼうとも戦えるまでに。そして最後は米パン麺豚汁と互角に戦える序列に。ワイルド母の底上げ力恐るべし。
スタバの新作発表を見て、思い出した母の味。いや、スタバよりぜってぇ母ちゃんの豚汁の方が美味えし。不純な動機ではありますが、いざれいちゃんの思い出の味作りが始まったのです。
とはいえ、パンチの強すぎた生姜のイメージにあまりにも圧倒され、にんじんと大根の切り方は銀杏だったか、半月だったか。カレーの具材は全部お相撲さん向けとも言えるBIGサイズだったからきっと半月切りだったかな…。ワイルドさから逆算して味や食材の切り方を決めていく、かつてない調理法を実行しました。
味ですか?温かいおつゆに絡む生姜の味が最高に美味しかったです。豚汁作りの為ならば、この先も生姜をする手間を厭わないだろうなと思います。
某コーヒーチェーンに掛け合って、boooooフラペチーノ byトモコ(ワイルド母)なんていう新商品もアリかもしれません。
仮にも、全国展開は難しいとしても。百歩譲って、将来娘が「スタバでフラペチーノ飲むからお小遣い頂戴」とせがんで来た時には。
「ノンノン。我が家のフラペチーノ」
と生姜たっぷりの豚汁を作り、スタバに対抗しようと思います。皆さんも、フラペチーノが飲みたくなったら、豚汁作って飲んでみてね。
寒くなってきたのでどうかご自愛ください。
本日もお読みいただきありがとうございました。
(母の誕生日にこのnoteを贈ります)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?