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ビブリオバトルは「選書」が9割

ーーどの本を選んだのか、そこから戦いは始まっているんですよね。なんなら、そこで勝敗が決まっているといっても過言ではないんです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「ビブリオバトルは選書が9割」というテーマで話していこうと思います。




📚やっぱり選書が大事

先日、全国大学ビブリオバトル茨城大学大会がありました。

ビブリオバトルとは、自分のお気に入りの本を5分間で紹介する書評合戦のこと。リスナーはバトラーの発表を聞いて、1番読みたくなった本に票を入れます。最も多く票を集めた本がチャンプ本になるというわけです。

高校時代から公式戦に参加している僕は、これまでに2度、全国大会の舞台に立っています。しかし、どちらも惜しい結果に終わってしまいました。

僕は今大学4年生なので、大学大会に出られるのは今年から最後。ラストイヤーで有終の美を飾りたいという強い思いがあるので、人よりも俄然闘志を燃やしています。

目指すは、全国大会で優勝です。

そのためには大学大会、地区大会に勝たなければいけません。予選となる大学大会が先日行われ、僕は全力で物語りいきました。結果、無事に優勝することができました



参加者は全員で4人いました。僕以外の3人の発表を聴いて改めて思ったのが、やっぱりビブリオバトルは選書が大事だなってこと。

どの本を選んだのか、そこから戦いは始まっているんですよね。なんなら、そこで勝敗が決まっているといっても過言ではないんです。


📚ビブリオ向きの本

僕は高校1年生のときにビブリオバトルの公式戦に初めて参加しました。そのときに相棒にしたのは、ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』です。

しっかり原稿をつくって、何度も練習をして、本番でも特に事故なく発表することができたんですが、結果は1回戦敗退。一度も勝つことができなかったんです。

単純に僕の発表の仕方が良くなかったともいえますが、より大きな敗因は「選書」ではないかと分析しました。

『アルジャーノンに花束を』は今でも読み継がれる普及の名作。読書好きだったら読んでいるだろうし、知的障害のある男性が主人公の悲しくて暗い話だからとっつきにくさがあるんですよね。

当時お世話になっていた先生からの助言もあり、僕は選書に時間をかけることにしました。とりあえずそれ自体に魅力のある本を探そう。そう思ったのです。

そこで出逢ったのが、氏田雄介の『54字の物語』でした。

この本に収録されている物語は全て54字でできているんです。Xは140字以内ですからその半分以下。そんな制限のもと、どんな物語が展開されるのか......気になりますよね。

そうなんです。

この本は、この本の概要を伝えるだけで手に取りたくなるビブリオ向きの本なんです。紹介者はそれを伝えるだけでいい。この本なら去年よりも良い結果を残せるんじゃないか。そう仮説を立てました。

僕の仮説は見事当たりまして、高2のときに参加した公式戦では、300人くらいの参加者を倒して、東京都代表になることができました。全国大会では1回戦敗退という結果で終わりましたが、大切な気づきを手に入れることができました。ビブリオバトルで紹介するべき本は、ビブリオ向きの本だってことです。


📚「選書」が9割

先日の大学大会で紹介された本4冊は以下のとおりです。

①加藤シゲアキ
『オルタネート』

②雨穴
『変な家』

③百田尚樹
『錨を上げよ』

④高野史緒
『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』

僕の感覚にはなりますが、選書で成功しているのは、『変な家』と『グラーフ・ツェッペリン』です。

『変な家』はYouTubeの動画から生まれた小説で、家の間取り図が表紙になっている本。他の本はない魅力を持っているので、少し前に多くの人の注目を集めました。紹介の仕方によっては化ける可能性のある本なので、多分他の大会でも紹介されているんじゃないかな。

ただ、先日の大会で紹介していた人はプレゼン慣れしていなくて、書き言葉の原稿をそのまま話したい感じで違和感があったし、30秒くらい余らせちゃって取ってつけたような紹介を並べていく最後だったので、魅力を充分に引き出すことができていませんでした。



さて、もうひとつの『グラーフ・ツェッペリン』は何を隠そう僕が紹介した本、つまり、チャンプ本に輝いたわけですが、こちらも同じようにビブリオ向きだなと思いました。

正確にいうと、僕の参加した茨城大学大会に向いている本だったのです。

『グラーフ・ツェッペリン』はとある飛行船を巡る一組の男女の物語。ジャンルでいえば青春SF小説です。別々の世界で生きている夏紀と登志夫には、子どもの頃に一緒にグラーフ・ツェッペリンという飛行船を見たという記憶を持っているんです。なぜ別々の世界で生きているのに、同じ場所で、同じ飛行船を見たという記憶を持っているのでしょうか。

その謎を釣りにすることで読者の「読みたい」を引き出すことができます。

そのうえ、『グラーフ・ツェッペリン』の作者の高野史緒さんは茨城県土浦の出身かつ茨城大学の卒業生でした。実は『グラーフ・ツェッペリン』は高野さんが初めて地元を舞台にした物語なんです。つまり、『グラーフ・ツェッペリン』の舞台は土浦なんです。

茨城大学大会に聴きにくる人は当然ではありますが、茨城大学の学生や職員が多いわけで、土浦に縁のある人も多いはず。そんな環境で行われるビブリオバトルに向いている作品は、『グラーフ・ツェッペリン』の他にないといっても過言ではないでしょう。

したがって、僕はこの大学大会では負ける気がしませんでした(笑) 案の定、チャンプ本に選ばれましたしね。



もちろん100%どうという話でありませんが、ビブリオバトルでいちばん初めにやらなければいけないことは、「魅力的な本を探すこと」だと思います。

ちなみに、来月開催される地区大会では、『グラーフ・ツェッペリン』ではなく、別の本で挑もうと考えています。さっきまで本屋さんにいたんですが、ビブリオ向きの本を見つけられました。

僕が何の本を選んだのか、そして当日紹介するのか。興味を持たれた方は是非地区大会に参加していただければと思います!

地区大会は茨城県立図書館という場所で行われるんですが、YouTubeで配信されるのでオンラインでの参加も可能です。

11月5日(日)の11:30〜12:30は予定を空けておいてください! また近くなったら告知します。最後まで読んでくださりありがとうございました。

20231020 横山黎




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