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向上心の裏、表

草彅剛さんが若いときにタモリさんから言われた言葉、君は向上心がないからいいんだと、向上心がないから邪心がないと。
 私はこの言葉を一週間ぐらい前にある人に云ったことを思い出したのです。ある夫婦の話です。
 旦那さんは淡々、飄々と仕事をこなしています。奥さんは旦那さんの助手をしています。開業医です。昨今、不景気ですので、医院はほぼ二人で回しています。私は歩けないので、家で治療を受けています。最近、夫婦仲がよろしくなくて、つまり儲けが少なくて、24時間一緒にいるので、不満が爆発したのです。第一弾は旦那さんが側にいるのに私に旦那さんの愚痴を言い出したのです。私はどうしていいかわからず、旦那さんを庇いました。旦那さんは頭は非常にいいのに、なんせ口下手なんです。奥さんの十分の一も言えません。業界紙にも載っている人ですが奥さんの口調には付いていけません。家に来るたびに私に聞いて欲しいの気持ちで愚痴を言い続けます。他人の私から見たら、どっちもどっちなんです。奥さんに言いました。「旦那さんの悪い所しか見ていないから良い所を見たら、今の気持ちより楽になるよ、」と。それと「お金がないとよく言うけど、そりゃお金がないと思うよ」と、「お金が無い無いという人の所には貧乏神は来ても福の神は来ないと思う」初めに言葉ありきで、言葉は生き物だから奇麗な言葉を使ってみなさい、私は病気をしたおかげで真理が少しづつ解るようになりました。
 奥さんが来られず、旦那さんだけ来たことがあります。
 私は思い切って旦那さんに言いました。「奥さん、向上心の塊に見える」と、「上しか見ないから本人も疲れるし、周りにいる人間も疲れる、ある年になったら諦めることも大事だと思うよ」と。旦那さんも納得していました。向上心はもろ刃の刃で、人と比べたり、人と競争したりするので、自分を見失ってしまいがちです。自分という世界で一つだけの素晴らしい個性があるのに自分に焦点を当てなくて他人に焦点をあててしまいます。何てもったいないことでしょう。私は人と比べたりしません。ですから人から相談を受けたときは私を捕まえさせません。それをしたら本人の魂が悲しむのが解るからです。魂は本人だけのものですので、他人が介入できないのです。ですから一人一人が素晴らしいのです。


















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