リハ医の散文
リハビリテーション科専門医試験についての記事をまとめました.
前に書いていたブログは消してしまったので, ここにつらつらと書く. はじめはなんだか気を張って, いっぱい書こうとしてしまうけどそんなのはひとまず置いてこんなもんにしておく. 真面目なことばかり考えているようで実は何も考えていない. さんぶんてき【散文的】 ( 形動 ) ① 散文のようであるさま。 ② しみじみとした味わいや奥行が感じられないさま。また、まとまりのないさま。 「 -な風景」 大辞林 第3版
先日、人生はじめてのテレワークをしてみた。 医者時代にはテレワークという高尚な作業はできずにずっと病院に張り付きであった。いわゆる、ホワイトカラー的な働き方には憧れがあった。 が、思いの外、デメリットがあったので備忘録として残してみる。 ちょっと油断してたのだが、急ぎで回さなければならない案件が発生。 場の空気を読みつつ、案件を処理するのにかなり手こずった。出社していれば隣に人がいて、会話をしながら、ふんふんと作業を終わらせられていた、はず。ある程度の決定権や能力が自分にな
前回から少し月日が経った。 4月から仕事が変わり、デスクワークになった。 身体を動かさず、口も開かない。同僚とのやりとりはチャットが中心であり、コミュニケーションは指から生まれている。 肝心の仕事はというと、少しは慣れてきた。 基本的に自分の担当領域をゾーンディフェンスしている状態で、ゾーンに侵入されない限りは仕事は振られない。すごく暇な時間も最近は多い。時期的なものらしいが、よく分からない。 給料はかなり減った。体感は半減くらいである。 単身赴任で、住宅ローンも払いなが
経緯:医局から出向を命じられ、はじめて医療職以外の業種に就くことになった。諸々のデメリット(家庭、金銭面など)はのみ込んで、怖いもの見たさで、承諾。 部署の配置図を見ながら自分の机らしき場所に座るが、みな黙々と仕事をしている。 とても話し掛けられる雰囲気はない。今日は4月の勤務初日なのに新任者はいないのかと周りの様子をうかがってもそんな様子の人はいない。 デスクワークとはこういうものなのかと思うことにした。 机の上のパソコンとマニュアルを眺める。 どうやらこれをセットアッ
前回、退職の記事を書いてから2ヶ月も経っていた。 長く険しい時間だった… この歳になって、こんな厳しい毎日があるなんてと知らされる。 4月から大人の事情で行政機関に出向となっている。9時17時なんてことはまったくなく、過労死基準にはまだ足りないが36協定を上回る残業時間である。 そして、給料も激減した。医者の頃と比べると半減に近い。 やり甲斐は…ない。 重箱の隅をつつくような議論の応酬の末の仕事の押し付け合い…いわゆるお役所仕事である。 やっている仕事も書類のチェックや議
医者の生活は異動が多い。 今の病院では3年連続勤務した。2年以上勤めたのは実ははじめての経験だった。2年と3年は大きく違う。飽きの部分が大きくなる。 もう少しセンチメンタルになるかとも期待したが、もう退職自体7回目である。自分のロッカーなどを片付ける作業もだいぶ慣れてるし、職場には必要最小限のものしか置いていない。 自分がこの病院に来た時にいた同世代の同僚はとうにいなくなった。気づけば中堅と若手のどっちつかずのポジションにいる。もう少しプレイヤーなのか、管理なのかをはっき
悪いニュースの伝え方について論じていく。あくまで自分の主観による部分が多いので、適宜コメントいただきたい。 リハビリテーション医療における悪いニュースの代表は「もうこれ以上機能が良くならない」である。 リハ医療に対する期待はとても大きい。たまに、とても大きすぎるとも感じる。動かなくなった手や足がまた動くようになる、元の生活に戻れるようになる。急性期医療で生命の危機をひとまず脱して、ある程度落ち着いた段階になるといろいろなことを考える。 回復期リハビリテーション病棟に転院
Xで流れてきた「2024年度診療報酬改定で回復期リハビリ病棟に厳しい対応、リハビリの質低下、病院経営の悪化を強く懸念―日慢協・橋本会長」を眺めていた。 https://gemmed.ghc-j.com/?p=59795 診療報酬が実質マイナス改定という流れはもう分かりきっていたことで正直驚きはなかった。 その中で体制強化加算について、気になる箇所があった。 専従医の役割は 「リハビリチームのリーダー」 「総合診療医としての機能」 「専門医への連携機能」 ということらし
リハビリテーション医療において、病状説明の重要性はあまり議論されていない印象がある。これはリハビリテーション医療の漫然さに問題があって、良くなれば良くなった風に、悪くなれば悪くなった風に話をしていく、そのダメさにある。これは医療者側にも患者側にも問題がある。 普段の私の拙い説明や経験から今回はpit fallを考えたい。 以前にも「面談考」として記事を書いた。 なぜ悪いニュースを伝える必要があるのか? 得てして、リハビリテーション医療において悪い知らせを伝えることは忌
来年度から久しぶりの異動となる。 今までも2-3年おきに異動となってきた。あまり長いこと一つの場所に留まれないのが大学医局の弊害である。しかし、いろんなことを経験できるのもまた良いと言える。 次は、また突飛な勤務先で、いわゆる医業は行わない。 外科医であれば「メスを置く」とでも言えるのだろうが、私は所詮リハ屋なのであまり格好の良いフレーズも思いつかない。 昨今の医療現場についてはいろいろ思うところがある。別に救急外来をやっているわけでもないが、なんというか「物分かりの悪い
査読をはじめて引き受けた時の記事 *** この記事を読むと、2022年にはじめての査読をしている。 そこから、2023年は6本の査読依頼があった。2024年も早々に1本。 慣れてくると一晩でおおよそのcommentが書き上がり、数日浅く読んで査読を終了している。1週間もあれば査読をきちんと終わらせるので納期を守る点では優秀である。コメントはイマイチであろう。 私への依頼は特定の研究手法に関わるものがほとんどであって、テーマとかよりも方法論の指摘に終始する。 誰がどのよう
リハ医のキャリアパスが分からないという話をよく聞く。 自分も学生や研修医の頃にネットの中でリハ医の生態を探していた。 あの頃も情報はほとんどなかったが、今でも状況は変わらない。 誰の参考になるかは分からないが、ここまでどういう道だったかは振り返ってみる。 個人情報満載なので後半は有料記事にした。 1年目(駆け出し) 幸運!?にも、自分の母校にはリハ医学の講座があった。 特に迷うこともなく、自分の出身校の医局に入った。規模としては大学病院に勤める医局員は10数名おり、レジ
あれこれ (実は、今年度で大きな異動となる。この話はいずれどこかで書こうと思っている。それに伴い、今行っている研究たちを手放すことになり、若干の勿体無さと多くのため息が生じているのでここにその想いを記そうというのが今回の裏テーマである。) 現職について、16本/3年の論文に携わってきた。半数は筆頭著者である。 たまに「どうしてそんなに研究してるの?/できるの?」と聞かれるので、私の研究環境をざっと説明する。 ただし、あくまで自分の業界の中では書いてる方かもしれないが、私
最近、ネガティブなことばかり書いていたのでたまには別の視点から考えよう。 リハの専門医のメリットの一つには「一人前になるのが早い」という言説がある。この書き方で今日も不穏が始まるのである。 * はじめに 多くの批判はあるかもしれない。覚悟はしている。 リハ病棟でリハ医をやるのはそこまで難しくない。 回復期リハで1人のリハ医が年間担当する患者数は100名前後が標準的だと推定している。常時20名の入院患者で週2人新規入院を受け持つと仮定した場合だ。専門医の資格を取得するま
リハ医は稼げるのか?永遠の課題である。 経験を基に、どのようなバイト先があるのかを振り返る。 設定:医局からの非常勤バイト(半日 or 1日) 1. 病棟管理 リハ病棟や療養病棟で病棟の管理をする。定期処方や発熱患者への対応、新規入院患者を取る、リハ総・目標設定等支援管理シートの説明である。 スキルはさほど求められない。稀に、常勤医師に頼みづらいことを非常勤に全振りしてくるところもあるが、「分かりましたー」と言うだけで高ポイントになる。常勤医師の態度が悪いほど仕事が増え
ここ最近、人前で話すことが多い。 正確に言えば、パソコン前だが。 学会発表は大体7分前後で終わる。しかし、当領域はほとんどと言っていいほど質疑応答が盛り上がったことがない。 そのため、言ったら言いっぱなしで終わる。 得てして、予演会の方が厳しい。 特に、コロナ禍の間は研修医で学会発表をする機会があった人は少ないと思う。本当は研修医の頃にそういう機会があるとまた臨床の視線が変わるのかもしれないとは感じる。でも、いろいろ制約があったから仕方がない。 どんな発表でも何回も何回