庵野拓将

理学療法士・トレーナー、『科学的に正しい筋トレ』『科学的に正しいダイエット』著者。 筋…

庵野拓将

理学療法士・トレーナー、『科学的に正しい筋トレ』『科学的に正しいダイエット』著者。 筋トレ、ダイエットについての最新の研究報告を「わかりやすく」ご紹介しています。Twitterでも参考になる研究報告を紹介してるので覗いてみてください。

最近の記事

筋トレとエネルギー摂取の科学①:安静時代謝量を知ることから始めよう!

 私たちの身体は、基本的に1日に消費したエネルギー量を基準にして、それより多くのエネルギー量を摂取すると体重が増加し(太る)、少ないエネルギー量を摂取すると体重が減少する(痩せる)仕組みが備わっています。  1日のエネルギー摂取量 > 1日のエネルギー消費量 = 体重増加(太る)  1日のエネルギー摂取量 < 1日のエネルギー消費量 = 体重減少(痩せる)  筋トレを行う際は、筋肉を増やす(筋肥大)ためには適切なエネルギー量の摂取が不可欠です。エネルギー摂取量が不足してい

    • 筋トレ後の吐き気やその他の消化管症状のメカニズムと対処法を知っておこう!

       筋トレの後に「吐き気がする」や「お腹の調子が悪くなる」といった症状に関する相談を受けることがあります。  このような筋トレ後の体調不良の原因として、ネット上では酸欠や脱水症状、睡眠不足や消化不良などが挙げられています。これらは確かに原因となることがありますが、最新のスポーツ科学では、筋トレ後の体調不良の主な原因が明らかにされています。  今回は、筋トレによって吐き気などの体調不良が生じる科学的なメカニズムとその対処法について、最新の研究報告をご紹介しながら考察していきま

      • 筋力を増強させる最低限のトレーニング量を知っておこう!

         筋トレを行うことによって、徐々にもち上げられるバーベルの重量を増やすことができます。これは筋力が増強している結果であり、トレーニーにとっては重量の増加がトレーニングの励みになります。  筋力増強の効果は筋肥大とともに神経系の適応(運動の学習)にもとづいているので、トレーニング量を増やすほど、その効果の向上も期待できます。  逆に言えば、仕事などで忙しさに追われて、トレーニング量が減ってしまうと筋力の低下を招くことになります。  そこで知りたいのが、確実に筋力をアップさ

        • 筋トレに役立つ「オメガ3」の効果と摂取タイミングを知っておこう!【最新エビデンス】

           脂質には、牛肉や豚肉の脂のような「飽和脂肪酸」と、オリーブオイルや魚油のような「不飽和脂肪酸」の2つがあります。  不飽和脂肪酸には、オレイン酸のような「一価不飽和脂肪酸」と、リノール酸やアラキドン酸のような「多価不飽和脂肪酸」の2つがあります。  多価不飽和脂肪酸には、リノレン酸やEPA、DHAのような「n-3系多価不飽和脂肪酸(いわゆるオメガ3)」と、リノール酸やアラキドン酸のような「n-6系多価不飽和脂肪酸(いわゆるオメガ6)」の2つがあります。これは、不飽和の二

        筋トレとエネルギー摂取の科学①:安静時代謝量を知ることから始めよう!

        • 筋トレ後の吐き気やその他の消化管症状のメカニズムと対処法を知っておこう!

        • 筋力を増強させる最低限のトレーニング量を知っておこう!

        • 筋トレに役立つ「オメガ3」の効果と摂取タイミングを知っておこう!【最新エビデンス】

          筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!

           「筋肉を大きくするには、週に何回くらい筋トレをすれば良いでしょうか?」  「筋トレを週に2回より3回したほうが筋肉が大きくなるのでしょうか?」  これらの問いに、現代のスポーツ科学はこのように答えています。  筋トレによる筋肥大の効果は、頻度ではなく「週のトレーニングの量(総負荷量)」によって決まる。  筋トレの効果は主に、筋力を強くする筋力増強と、筋肉を大きくする筋肥大の二つに分けられます。近年の研究報告では、筋力増強の効果が週のトレーニングの総負荷量によって決ま

          筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!

          筋トレのトレーニング強度と筋肥大の関係について知っておこう!【最新エビデンス】

           「筋トレで筋肉を大きくする(筋肥大させる)ためには、バーベルの重量をどのように設定すれば良いでしょうか?」  この問いに対して、現代のスポーツ医学は次のように答えています。  「筋肥大の効果はバーベルの重さ(強度)だけでは決まらない」  「軽い重量(低強度)でも重い重量(高強度)でも疲労困憊まで行えば筋肥大の効果は同じである」  「なぜなら、筋トレによる筋肥大の効果はトレーニングの『総負荷量』によって決まるから」  これまで、筋トレによる筋肥大の効果を高めるために

          筋トレのトレーニング強度と筋肥大の関係について知っておこう!【最新エビデンス】

          タンパク質の摂取は「筋トレの前と後」のどちらが効果的?

           筋トレによる筋肥大の効果を最大化するためには、筋トレの前と後のどちらのタイミングでタンパク質を摂取したほうが効果的なのでしょうか?  このテーマについては多くの検証がなされており、筋トレ前の摂取でも、後の摂取でも筋肥大の効果が高まることが報告され、10年以上も議論が続いていました。  この議論のひとつの答えとなるメタアナリシスが2013年に報告され、「タンパク質の摂取は筋トレ前後のどちらでも同等の筋肥大の効果が得られる」という見解が示されていました。  そして2020

          タンパク質の摂取は「筋トレの前と後」のどちらが効果的?

          筋トレ前の炭水化物(糖質)の摂取は必要ない?【最新エビデンス】

           筋トレの効果を最大化するために、多くのメディアや動画は「筋トレの前に炭水化物(糖質)を摂取する」ことを推奨しています。この背景には、筋トレの際の主要なエネルギー供給源が「筋グリコーゲン」であるためです。  私たちがおにぎりやパン、パスタといった炭水化物を食べると、それが体内でグルコースに分解されます。このグルコースは肝臓や筋肉で筋グリコーゲンとして蓄えられます。筋肉に貯蔵される際、筋グリコーゲンという形態で保存される理由は、その方が筋肉内に効率的に多量のエネルギーを蓄える

          筋トレ前の炭水化物(糖質)の摂取は必要ない?【最新エビデンス】

          筋トレで筋肥大の効果を最大化するには疲労困憊まで追い込むべきか?【最新エビデンス】

           筋トレで筋肥大の効果を最大化するために、本当に疲労困憊まで追い込む必要があるのでしょうか?  現代のスポーツ科学はその答えを「あなたのトレーニング経験によります」としています。  筋肥大の効果は、トレーニングの強度、回数、セット数の組み合わせによる総負荷量で決まります。  トレーニングの総負荷量=強度 × 回数 × セット数  これから、低強度でも多くの回数とセット数で総負荷量を増やせば、高強度のトレーニングと同じ効果が期待できることがわかります。  そのため、こ

          筋トレで筋肥大の効果を最大化するには疲労困憊まで追い込むべきか?【最新エビデンス】

          ダイエットでやるべき「筋トレの方法論」を知っておこう!

           ダイエットの成功の秘訣は何でしょうか?  現代のスポーツ科学では「筋肉量の維持」が重要な要素とされています。  体重を減少させるためにエネルギー摂取量を制限すると、筋肉量も低下してしまうことが一般的です。この筋肉量の減少が、後にリバウンドを引き起こす原因となります。  そのため、ダイエット中に筋トレを継続して「筋肉量の減少を防ぐ」ことが、成功への鍵となるのです。  ただし、単純に筋トレをするだけで良いというわけではありません。 筋トレを通じて筋肥大させるだけでなく、

          ダイエットでやるべき「筋トレの方法論」を知っておこう!

          筋トレによる筋肥大と脂肪の減少効果を最大にする「プロテインの摂取タイミング」を知っておこう!

           筋肉量を増やしながら、脂肪量を減らすことは、理想的な身体づくりにおいてもっとも重要な目的になります。  筋肉量が多く、脂肪量が少ない身体は、身体的な魅力度が高まるとともに、健康的にも死亡率が低下することが報告されています。 『科学が明らかにした「モテるボディの絶対条件」を知っておこう!』  そこで今回は、筋トレ後によく摂取されるプロテインに関して、「食事とプロテインをどのようなタイミングで摂取することが筋肥大と脂肪の減少効果を最大にするのか?」という疑問の答えとなる研究

          筋トレによる筋肥大と脂肪の減少効果を最大にする「プロテインの摂取タイミング」を知っておこう!

          科学が明らかにした「モテるボディの絶対条件」を知っておこう!

           「筋トレをするとモテる」  これは都市伝説ではなく、科学的検証にもとづく事実です。  男性の筋肉量と女性がその男性をどれだけ魅力的と感じるかの関係は「逆U字型」とされています。これは、筋肉量がある程度まで増えると魅力度も高まることを示しています。  さらに、筋トレによって顔の特徴が「男らしさ」を増すことが指摘されています。SNSなどで筋トレ前と筋トレ後の写真を比較すると、特に体を絞った後の顔がより「男らしい」特徴を持つことがわかります。この「男らしい顔」と女性が男性を

          科学が明らかにした「モテるボディの絶対条件」を知っておこう!

          筋トレには「ぽっこりお腹を引き締める」効果がある!?【最新エビデンス】

           筋トレの目的といえば、筋肉を大きくする「筋肥大」です。  近年、筋トレによる筋肥大の効果を最大化させるためのトレーニングやタンパク質の摂取に関する科学的な方法論が明らかになっています。 『科学的に正しい筋トレ 最強の教科書』  そして、現代の運動生理学は、筋トレの効果が筋肥大だけにとどまらず、以下のように述べています。 「筋トレには体脂肪や腹部の内臓脂肪を減少させる効果がある」  これまで、運動による脂肪の減少効果と言えば、有酸素運動や高強度インターバルトレーニング

          筋トレには「ぽっこりお腹を引き締める」効果がある!?【最新エビデンス】

          筋トレ後にタンパク質と炭水化物(糖質)を摂取しても筋肥大の効果はアップしない【最新エビデンス】

          「筋トレ後にタンパク質と炭水化物(糖質)を摂ると、筋肉が2倍速く大きくなる」  これはかつてメディアでよく見られたキャッチフレーズでした。しかし、現代のスポーツ科学はこう述べています。  「筋トレ後にタンパク質に合わせて炭水化物(糖質)を摂取しても筋肥大の効果はアップしない」  今回は、このメディアの“常識”を覆す近年の研究報告をご紹介しましょう。 ◆ タンパク質に合わせて炭水化物を摂取すべきと言われる理由  筋トレ後にタンパク質とともに炭水化物(糖質)を摂取すると

          筋トレ後にタンパク質と炭水化物(糖質)を摂取しても筋肥大の効果はアップしない【最新エビデンス】

          筋トレするなら「フルレンジ」が効果的という最新エビデンス

           筋トレで動かす関節の範囲を「可動域(レンジ)」と言います。  関節を最大限に動かすことを「フルレンジ」と呼び、一部の範囲で動かすことを「パーシャルレンジ」と言います。  たとえば、アームカールを考えてみましょう。アームカールでは、腕を完全に伸ばした状態(0度)からしっかりと曲げた状態(140度)まで動かすのがフルレンジです。  一方、腕を一部分だけ曲げる(たとえば50度から110度)のがパーシャルレンジです。  同様に、スクワットにも全体の可動域で行う「フル・スクワ

          筋トレするなら「フルレンジ」が効果的という最新エビデンス

          1〜2杯のコーヒーで筋トレのパフォーマンスが高まる最新エビデンス

           筋トレ前にコーヒーを飲むと、トレーニングの効果が高まると言われていますが、どれくらい飲めば効果的なのでしょうか?  この問に現代のスポーツ医学はこう答えています。  「1〜2杯のコーヒーでトレーニングのパフォーマンスが高まる可能性がある」  今回は、その根拠となる最新のメタアナリシスの結果をご紹介しましょう。 ◆ パフォーマンスを高めるには14杯コーヒー!?  コーヒーを飲むと筋トレのパフォーマンスが高まるのは、主に「カフェイン」による効果です。  コーヒーに

          1〜2杯のコーヒーで筋トレのパフォーマンスが高まる最新エビデンス