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アニメ「転生賢者の異世界ライフ」で制作した3D美術設定一覧

https://twitter.com/regiomu2/status/1546462101115248641

2022年夏に放送されたアニメ「転生賢者の異世界ライフ」に美術設定の一人として参加しました。

掲載許可を頂けたので載せられるものを場所ごとに並べていきます。
絵はクリックで拡大できます。

設定はほぼ全てblender(2.93LTS)でモデルを作成しました。線画もfreestyleとコンポジットで出しています。
一部モデルは3DLO用に使っていただいたようです。

実際の設定画には対比用のキャラ絵や注釈がたくさん入ってますが、今回掲載しているものでは外しています。

キリア

冒険者ギルド・ロビー
冒険者ギルド・ロビー_切り返し
冒険者ギルド・2階酒場
ギルド外観
門周辺
教会・外観
教会内部
教会内部_切り返し
広場
会議室
会議室_切り返し


ここにキリア俯瞰のスクショなど数枚掲載予定。

リクアルド

5話で出てきた虎火亭の内観です。
色が付いてますがあくまで仮色なので実際の背景とは違いがあります。
テクスチャは部分的にアドオン「Extreme PBR Nexus」を使いました。
導入が面倒ですが手軽に色んな質感を試せるので便利です。

虎火亭
虎火亭_切り返し
虎火亭・厨房
虎火亭・厨房_切り返し


メシアス村

集会所内部
集会所内部_切り返し
謎の部屋
謎の部屋_切り返し
ランプ、本棚のある部屋
ランプ、本棚のある部屋_切り返し
地下空間・廊下
地下空間・通路
地下空間・扉デザイン


地下空間・中央フロア
地下空間・中央フロア_俯瞰図
地下空間・中央フロア・奥の部屋
地下空間・中央フロア・奥の部屋_切り返し


ボギニア

ガイゲルの店
ガイゲルの店_正面
ガイゲルの店_切り返し


オルダリオン

ギルド別室
ギルド別室_切り返し

以上となります。
設定として参加するにあたり小嶋監督からたくさんの事を学ばせていただきました。参加できて良かったです。
貴重な機会をありがとうございました。

今後は自然物の設定も3Dで作ってみたいですね。

線画の出力について追記。

基本的に「チート薬師のスローライフ」の時と同じ設定です。

https://note.com/regiomu3/n/n10f92832ae04#47c8c105-77be-4805-8328-cfa7d5f9f711


freestyleの設定は村川和宏さんの記事を参考にしています。
https://cgworld.jp/feature/202003-cgw259t1manga.html

線の役割としては、
freestyle:ノイズのある線。オブジェクトからややはみ出す線。
コンポジット:フリーハンドっぽい歪みがある線。交差線。
となります。

freestyleの線幅は1px(レンダリング解像度X1920:Y1080時)。
「freestyleラインセット」でオブジェクトの外側の線、内側の線を分けて設定しています。

outが外側、inが内側のライン。

それぞれ「freestyleの幅」、「freestyleジオメトリ」にモディファイアを追加して欲しい質感に近づけています。

out line側の設定

out「ストローク追従」モディファイア
out「ノイズ」モディファイア
out「バックボーン伸縮」モディファイア


inner line側の設定

in「ストローク追従」モディファイア
in「ノイズ」モディファイア

out側にのみ追加してる「バックボーン伸縮」はオブジェクトからはみ出す線を作れるモディファイアです。

数値を上げて分かりやすくしています。


コンポジットノードの設定はこちら。
作業時のバージョンは2.93でしたが3.2でも使えるよう調整しています。

画像は3.2

上のレンダーレイヤーからつなげているのがfreestyleの線が出る「Line_A」になります。
露出、ガンマ、アンチエイリアスノードは微調整用なので無くても問題ありません。
下の青くなってるレンダーレイヤーは名前を「comp」にしています。
後述のスクリプトのためです。

下側のレンダーレイヤーにつながっているのがコンポジットの線が出る「Line_B」になります。
ノードグループ内はこんな感じです。
ディスプレイスで線を歪ませています。

ノードグループ内


「Line_A」、「Line_B」をミックスしたのが「Line_C」です。
実際のモデルで見ると以下の感じです。

元オブジェクト
「Line_A」freestyleの線。
「Line_B」コンポジットの線。
「Line_C」A+Bをミックスした線。

「Line_B」を出すのにworkbenchの設定を変更するのですが、毎回やるのは大変なのでスクリプトで自動化しました。

線画出力自動化スクリプト(美術設定用)

import bpy
bpy.ops.scene.new(type='FULL_COPY')
scene = bpy.context.scene
scene.render.engine = 'BLENDER_WORKBENCH'
scene.display.shading.light = 'MATCAP'
scene.display.shading.color_type = 'OBJECT'
scene.display.shading.show_cavity = False
scene.display.shading.show_shadows = False
scene.render.use_freestyle = False
bpy.context.window.scene = bpy.data.scenes['Scene']
bpy.context.scene.node_tree.nodes["comp"].scene = bpy.data.scenes["Scene.001"]
bpy.ops.render.render()
bpy.context.window.scene = bpy.data.scenes['Scene.001']
bpy.ops.scene.delete()

これをテキストエディターに張り付けて実行すると線画3パターンを同時に出力できます。

その後の調整作業はPhotoshopで行いました。
基本的に「Line_C」を基準にAやBの線を使ったり使わなかったりしながら加筆修正して完成になります。

虎火亭のテーブルではこんな感じになります。

元オブジェクト
「Line_A」freestyle
「Line_B」コンポジット
「Line_C」A+B

この場合、「Line_C」では燭台等の線が潰れすぎなので部分的に「Line_A」の線を使うことになります。
freestyleは不要な線も出がちなのでそれも修正します。
あとは必要なら加筆して仕上げていきます。

細かいオブジェクトが密集してる場合は「バックボーン伸縮」やコンポジットの「ディスプレイス」を外した方がきれいです。

現状はこんな感じですが、freestyleのモディファイアは他にもたくさんあるのでまだまだ追及し甲斐があります。
カメラの距離に応じて線を細くする機能もあるので近々試してみます。


もう少しコメントや3Dモデルの画像を追加する予定なのでよろしくお願い致します。

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なにか質問がありましたらコメントかTwitterでお願いします。

以前公開した「チート薬師」の記事全文はこちら。