なぜ私は、デレステの星街すいせいコラボを受け入れられないのか

前文

掲題の件。
コラボ開始から1週間程、そして発表からはもうじき1ヶ月が経とうとしている。

私はあれ以来、データとアイテムの整理の1回以外はデレステにログインしていない。それまではプレイ密度の波こそあれ、ゲームを始めてから8年ほど、ほぼ毎日ログインを欠かさずプレイしてきたのに。
この触らない期間はとりあえず、4月11日までは続くだろう。その後の付き合い方は未定である。

それだけ、受容し難かったのだ。

そんな今もなお私にとり、『デレマス』というコンテンツは大きなものだ。
些か過去ではあるがデレステの担当のイベント3桁前半のpt順位に着けるまでに走ったりもした。
直近ではConnecTrip!の岩手公演に現地参戦し、演者さんのパフォーマンスに息を呑んだり目を見張ったり、観客全体で一体感を感じたり……

とても素晴らしい時間を過ごしてきたコンテンツである。
ゆえに。だからこそ。
今回のデレステの件は非常に受け入れ難く、残念なのだ。

「何が?」という理由についてだが、私ではないTwitterのあるpostで
『世界観』という言葉が出されていた。
私はそれで十分伝わると思うのだが、あろうことかそのpostでは藁人形論法的に使われた挙句、「スパロボとすらコラボしてんだぞw」などと言われる始末であった。
「おいおいお前ら現代文2だったのか?」と思ったりもするが、
確かに一単語で包括的に表したのでは、元postを含む我々
(というか私。元postの真意は不明であり、個々に考えには揺れがあるものなので)が具体的にどこに憤っており、受け入れられないのかが伝わらないかもしれない……
噛み砕いて説明してみよう。

というのは建前。本音は、未だ燻る憤りを自分で整理しつつ吐き出したい、というだけの話だ。

賛否両論と見えるものの、ネガティブなことは大っぴらに言いにくい昨今である。「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶだけではあるが、その文句と内心について、お付き合いと、できれば共感を頂ければ幸いである。

細かいものを除いて、理由は大きく2つある。


理由その1:Vtuberという『ナマモノ』


まず前提として、私は『Vtuber』というコンテンツにはそこまで興味がなく、殆ど追っていない。せいぜいが流しっぱなしのYoutubeから切り抜きのshortが流れてきたのを目にする程度である。
ゆえに、星街すいせい氏を含め『Vtuber』の実態について外側からの認識しかなく理解が甘い部分もあるかと思うがそこはご容赦願いたい。

さて、その外側からの理解としての『Vtuber』だが、私は
『バーチャルキャラクタアバターを用いて動画配信を行う者達(≒Virtual+Youtuber)』
と認識している。

ここにおいて、私が元々認識していた従来の…所謂『二次元』とは大きく性質が異なると思った。
アバターで一定隠蔽されているが、Vtuberとは実のところ『Youtuber』なのであり、架空のキャラクタではなく生身の人間の動画配信者なのだ。
形態にもよるが、特に生配信等を行うVtuberというのはリアル相応にコミュニケーションの距離が近く、また実在性を強く感じ……「中の人」を強く感じるどころか、ほぼダイレクトアタックなのだ。
(※一応『完全劇場型』と呼ばれるらしい、10割ロールプレイの人たちもいるようだが、星街すいせい氏は該当しない)

この『実在性』が、本質的な意味での『二次元』性、およびアイドルの
『偶像性』と非常に相性が悪い
ように思う。アイマスにおける
『ロールプレイ感』『没入感』を大きく阻害してくると感じる。

現実世界で生身の人間である『個』を実装しないで欲しかった。

ここで、「『声優』はどうなんだ?」と思う諸氏がおられることだろう。
例えば先述の岩手公演のようなリアルライブイベントはミュージカル形式で、それこそアバターすらない、生身の人間を観るイベントだ。

だが彼女らは必ず自己紹介で「○○役の××です!」と言うのである。
つまり○○を演じていると宣言し、またここにおいて(幕間のトーク等は除くが)××という『個』は消しているのである。
それはリアルイベントのみではない。当たり前だがアニメやゲームの中にも彼女たちの芸名はあくまでキャストとして出てくる。

『島村卯月』はいても『大橋彩香』はいない世界なはずだったのだ。や、実装されたらちょっと面白いが…
だが星街すいせい氏は『星街すいせい』という『個』を保ったまま
実装された
のである。

某ネズミの国のスタッフは絶対に人前で着ぐるみを脱がないという。そこまで徹底できるかはともかく、夢の世界は夢の純度が高ければ高い程良い。
『実在性』、実在の『個』はその逆を行く。水と油なのだ。

……とはいえ。
これは実は2つの中では小さい方、大体10のうち3くらいの理由だ。
副次的な・ブースターのようなものであって、これだけだったら
むしろ肯定/歓迎したかもしれない。

本命の理由はもう一つの方である。

理由その2:『ゲスト』と聖域への侵入


こちらが本命の理由である。
前文でも出したが、確かにデレマスというコンテンツはデレステでも、前モバマスでもコラボイベントを行っている。またリアルライブイベントでもサプライズゲストとしてアイマス外の方々とコラボを行っている。
そこへ行けば、「スパロボ・ももクロ・DJKOOともコラボしたじゃんw」という言説は妥当に思う。

そう、妥当である。
その1の末でも触れたが、別に『Vtuberとのコラボ』そのものには、自分はそこまで問題がないと考えている。
だが、この先で述べる内容に抵触しNGとなるに至った時、推進剤のような属性になってもいるな…と思った次第だ。

では、本命の理由とは何かというと、
『無期限配属するプレイアブルキャラ・カードとしての実装』
だ。
つまりコラボの仕方、実装方法が悪かったのである。

星街すいせいコラボ以前のデレステでのコラボは、楽曲の交換やルームアイテムの実装などに留まる例が殆どである。
一部ではコラボコミュ用の立ち絵などもあるが、プレイアブルでの実装は2キャラの例外を除いて無かったはずだ。そしてその例外はミリシタコラボの『最上静香』『ジュリア』であるため、アイマス内のアイドルキャラクターである。
モバマスの外部コラボもプレイアブルカードの実装は無いはずだ(記憶違いや思い違いの可能性はあるかもしれない)。
765のアイドルは出るが、これも先の例外同様アイマス内部であるし、そもそも仕様であってコラボでもない。

つまり、『プレイアブル』というのは(少なくとも私にとっては)ある種の聖域だったのだ。「自分の手で編成してステージに送る」存在としての実装。即ちアイマスのアイドルとしての実装。

星街すいせい氏は確かにバーチャルアイドルを自称しているかもしれないが、アイマスのアイドルではない。
にもかかわらず、デレステはその全身で彼女をプロデュースしろとせっついてくるのである。私は彼女をプロデュースしたくないし、彼女はデレマスのアイドルじゃないし、プロデュース対象としても認識できない。
したくないというのに!

比較して、例えば他コラボ対象はルームアイテムにて期限付きで部屋に登場するに留まってくれた。
立ち絵とボイスはあっても、ゲーム内のステージには立たないでくれた。
現地に登壇することはあったが一夜の夢であるし、その中でも現場をアゲることに専念する『ゲスト』であってくれた。

一方彼女は
「『個』や『リアル』を消すこともなく、アバターを触媒に横紙破りをして『プロデュース対象』として入り込んでくる」のである。
メタ的な歪みのおまけつきで。

歓迎できようはずもない。
Twitterで「客に茶も出さずに文句を言うのか?」等とあったが、礼儀作法がなってない者は客ではない……どころではない。
完全に『侵略者』にしか見えない存在なのだ。

ここでやや蛇足めくが、
「デレマス側だって他コラボのプレイアブルキャラとして出張ってるだろ」について言及しておく。
こちら側も様々な媒体をコラボ先にしている。「向こう側も賛否なんじゃないか?」という話もあるように思うがそれは置いておくとしても、
「アイマスというコンテンツが、曖昧な受容と相性が悪い」という点があると思う。
アイマスは超ざっくり言えば、『プロデューサーのロールプレイをする』コンテンツだ。その内容は現実世界をベースにした相応のリアル路線である。
『ファンタジーの世界にこちらのアイドルが出て、蒼の剣や歌、ダンスで敵を倒したり味方にバフを掛ける』ことは、
『向こうの世界の姫や女騎士がこちらのプロデュースの上でステージに立ったり芸能の仕事を受ける』より受け入れられやすく、
逆も然りということだろう。それはそれでちょっと見てみたいが……

加えて、今まで重ねてきた年月、土壌もある。
これが始まって1年や2年でのことなら、まだ「そんなもんか」で受け入れられたかもしれない。
だがデレステだけでも8年以上、モバマスも含めれば12年間の文脈がある。
今までそんなことしてなかったやんけ、突然何してくれとんねん……


閑話休題。
結局受け入れられない理由をまとめると、

「生身のいち人間が、現実世界での個をそのままに『プレイアブル』という関係者以外立入禁止の場所、聖域に踏み入ることで、コンテンツのウリの一つであった『ロールプレイ感』『没入感』を大きく損う形でのコラボとなった」

こととなるだろう。

無闇な足し算、行きつけの店の喪失、怨恨


ここまで私が星街すいせいコラボを受け入れられない理由を語らせてもらったが、これが所詮私の主観であること、結局は運営のやることが全てであることは重々承知している。
だが、しかし――という感情は、捨てきれない。
捨てれるならばこんな文章は書かない
のである。

また本コラボに限らず、昨今の風潮として何でもかんでも混ぜたり加えたりすれば良いみたいなところがある気がする。
これについて、私は「断じて否」「侘び寂びを知れ」と言いたい。

どこかで見た「カレー・トンカツ・プリン」の例えで説明できそうなので、挙げさせてもらう。


カレー、トンカツ、プリンはすべて、あなたの好物である。
あなたはとある洋食屋に入る。
好物のカレーに好物のトンカツをトッピングしたカツカレーは、
当然あなたは大好きである。
だからといって、好物のカレーに好物のプリンをトッピングしたプリンカレーは……好きではないのではないか。
分けて食後にプリンをオーダーした方がいいのではないか。

加えてあちらの彼は、「トンカツは好きだがカレーは嫌い」かもしれない。
混ぜることは簡単だろうが、一度混ぜたものを分けることは難しいものだ。
或いはカレーの匂いがダメかもしれない。そうしたら、カレーが相応に出る店や注文する客が居たらもうそこには入れない。

……しかしそうは言っても、結局何を出すか・何を組み合わせるか・分けられるようにするかは、店主次第なのだ。


星街すいせい氏がこの例でいう何なのか…等は言及しない。
またそもそもこの例でNGとしたプリンカレーが好きな人もいるだろうし、分割が困難なものもあるだろう。
全員が納得する提供は難しいことは重々承知だ。

だが「混ぜることが正解とは限らない」ことは伝わってくれるだろうか。
少なくとも「混ぜれば片側が好きな双方と、両方が好きな人々全員が買ってくれて大儲け!」という簡単な話でないことは。

そして、好きな物を嫌いな物と混ぜられたり、嫌いな物に変質させられてしまったり、最終的に「そこには入れない」状態にされてしまったら、どう思うか。しかも他の客からは「嫌なら来るな」などと言われたりするのである。

ましてやそこが、行きつけの店であったら――

――怨恨である。

今まで彼女のことは、ほぼ完全な無関心であった。とはいえ要素としては
好きになる可能性があるものも多く持っていたのだろう。
例えば楽曲はデレでもおなじみのTAKU INOUE氏だったりとか。
何かのきっかけがあれば、デレマスと並行して彼女を、ひいてはVtuberというコンテンツを、これから追う対象にしたかもしれない。
彼女が推しになった未来があったかもしれない。

でももうダメだ。
彼女は受け入れ難い形で入り込んできて、私からデレステを引き千切った。
少なくともあと3週間はログインしない決断を、強いた。
実装直後からずっと続けていたプレパスも切った。

もっと言えば、このコラボの発表で初めて、私は
「デレステサ終しちゃえばいいのに」と思った。

『侵略者』に、そしてもしかしたら『死神』にすらなってしまった
星街すいせい氏を、どうして推すことができようか。

顔も見たくない。

めでたく一人のアンチの出来上がりである。

***

昏く締めることになってしまったが、もともとそういう意図の文章である。仕方あるまい。
もうデレステは私にとって戻れない一線を越えて変質し手遅れとなってしまったが、担当アイドルを人質に取られたプロデューサーである手前完全に断ち切ることはできないと思う。前文通り未定ながらコラボ終了後、デレステにはフリーライドして担当周りの供給のみを吸いながら過ごす予感がある。

デレマスに限らず、アイマスというのは一定周期で半ば無理矢理に
ファンごとかき混ぜて、合わない層は吹き飛ばしてきたコンテンツではある。9.18(私は聞いた話でしかないが…)に始まり、
デレだって各総選挙…特に最後のSfCや、もうかなり前とはいえ
『最後の7人の追加』ではかなり荒れた記憶及び多くの他界者がいた記憶がある。
……そして今回の件。
まだ他界はしていないが、いよいよ私も飛ばされる側になってきたのだろうか。悲しく寂しいが、これも仕方あるまい。

最後にデレマスの運営におかれては、特に人数や実装の形がかなり特殊であるため、常時地雷原でタップダンスみたいなことになりがちなところも仕方なさはあるが、それでもどうにか今後は各プロデューサーに対しなるべく嫌いな物を口に運ばせないようにどうか配慮頂きたい。そして各舵取りには安易な混ぜこぜなどでなく『魂』を込めてもらいたいと、切に願う。

(そういやモバマスのメモリアルブックはどうなったんだ?大団円迎えたモンの看板娘すら自分で決めれねーでファンに丸投げって何だ?魂のタの字もねえみてえだな!)

【2024/4/10】
後記を書きました。


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