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この料理家のレシピが天才すぎる⑩しかない料理のイガゴーさん編/高山惠

私はコロナ禍前の10年間くらい、美味しいラーメン店の情報が掲載されている、いわゆる「ラーメン本」の取材や原稿執筆にかかわっていた時期がありました。もともとラーメンが大好きだったこともあり、取材と称して美味しいラーメンが食べられる仕事は本当に楽しいものでした。ただし欠点はカロリーオーバーで、ラーメン店の取材期間は確実に2キロくらい太っていたものです(苦笑)。

【高山惠 プロフィール】
ライターとして雑誌「DIME」「BE-PAL」(小学館)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、他さまざまなWEB媒体で執筆。
フードコーディネーターの資格を取得し、「食」のコーディネートも行う。
この連載は、2022年12月以来の第3弾となります。 

さらにラーメンというのはどうやら私にとってかなり中毒性があるようで、取材を重ねれば重ねるほど、もっとラーメンが食べたくなるという状態に陥りました。ここ最近はめっきりラーメン店を取材する機会がなくなってしまいましたが、時々むしょうにラーメンが食べたくて食べたくて仕方がない。そんな症状に悩まされます。 

どうしてもラーメンが食べたい時のライフハック!

もちろん食べたいならば食べにいけばいいのですが、コロナ禍で外出もままならない生活が長く続き、取材や打ち合わせもリモートで済んでしまうことが多い時代。なかなか食べにいくチャンスがないのです。もちろん世の中には美味しいラーメン店のお取り寄せもありますが、困ったことに私のラーメン熱は発作のようなもの。食べたい! でも忙しくて外出できない。家に常備しているのはカップ麺しかない。ラーメンとカップ麺は私にとって似て非なるもの。カップ麺はカップ麺で美味しいのですが、ラーメンの欲求はラーメンにしか満たせないのです。
 
そんな私があるとき、ふとTwitterで目にしたのが、しかない料理のイガゴーさんが「ラーメン食べたいけど麺が無いって時に、パスタで塩ラーメンみたいなの作れます」として紹介していたこちらのレシピでした。
https://twitter.com/gogoigarashi/status/1620708659570348033 

パスタをラーメンの麺がわりにしてつくる塩ラーメン。一体これはどうなんでしょう。正直、半信半疑です。幸い我が家ではパスタはつねに常備されているので、ラーメン発作が急にきてもすぐに対応できます。パスタでつくるなら、これはもうスープパスタでは? そんな気持ちでおそるおそる作ってみましたが、これが私にとって大ヒット!

▲仕上げにコク出しのバターと黒コショウを加えます

スープの構成は鶏ガラとめんつゆ、おろしにんにく。仕上げにバターと黒コショウを入れれば完成です。こんな身近な材料で本当にラーメンのスープっぽいものができるのだろうか? 完全に半信半疑でしたが、驚くことにちゃんと塩ラーメンのスープっぽいものになっていました。

▲驚くほどにラーメンっぽいスープに

ただよく考えてみれば、鶏ガラとめんつゆってラーメンのスープとしては非常に理にかなっています。めんつゆの主な材料はラーメン本でよく使われる言葉でいうと、かつおや昆布などの“和だし”。そして鶏ガラがラーメンスープでスタンダードなのは、もはや言うまでもありません。つまり鶏ガラとかつお、昆布、そして醤油。ラーメンで言うところの“トリプルスープ”です。
 
もちろんこれをもってお店のようなラーメンと同じとは言いません。やはり本物の鶏ガラやかつお、昆布、醤油などで構成し、スープにマッチした中華麺で構成されたラーメンのほうが美味しいのは間違いない。でも、家で発作的にラーメンが食べたくなった時、自宅に常備している材料でつくるラーメンとしては十二分に美味しいんです。

「主材料1つでアホになるウマさの簡単時短レシピ」とは?

レシピ制作者の「しかない料理のイガゴーさん」の“しかない料理”というのは「主材料1つでアホになるウマさの簡単時短レシピ」(イカゴーさんのプロフィールより)のことで、イカゴーさんが作った造語だと思われます。例えばイカゴーさんの代表レシピはこちらの「ユッケツナ飯」。ツナ缶をみそ、醤油、ごま油、砂糖、黒胡椒で味付けしてご飯にのせ、卵黄と七味をのせるというものです。
https://twitter.com/gogoigarashi/status/1422384224540102657

今回の「パスタで塩ラーメンみたいなの」はイカゴーさんによる特別なネーミングはないレシピですが、主原料はパスタのみ。もちろん自分でネギやチャーシューを加えれば、もっと本格的にラーメンっぽくなるのでこちらもぜひお試しを。

▲ネギとチャーシューもいれてつくってみました

それにしてもイカゴーさんによる「主材料1つでアホになるウマさの簡単時短レシピ」というのは面白い着眼点ですね。1つだけという制限でどれだけ美味しくできるかというチャレンジ精神。尊敬せずにはいられません。
 
(つづく)
 

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