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この料理家のレシピが天才すぎる⑭包まない餃子編/高山惠

私はフリーライターとして仕事をするかたわら、夫・高校生・小学生の子どもとともに生活しています。原稿などの締め切りに追われる毎日ですが、夜になるととりあえず仕事を切り上げ、台所に立って夕食をつくっています。

そんな自分にとって日々助けになっているのが、SNSなどでみかける「誰かが作った美味しそうなレシピ」。簡単で美味しそうなレシピをみつけては「いいね」を押して、いつでも確認できるようにするのがライフワークとなっています。

【高山惠 プロフィール】
ライターとして雑誌「DIME」「BE-PAL」「kufura」(小学館)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、他さまざまなWEB媒体で執筆。
フードコーディネーターの資格を取得し、「食」のコーディネートも行う。
この連載は、2023年6月以来の第4弾となります。

餃子を手作りするのはかなり面倒くさい

前回の記事で「タイパ(かけた時間に対する満足度)の悪い料理」の話題を書きましたが、日本の主食おかずの中でもトップクラスにタイパが悪いとされているのが「餃子」です。

PHOTO AC

今回もフリー素材サイトにあった「餃子」の写真を拝借。そして王道の餃子のレシピをざっと紹介します。

① キャベツまたは白菜を細かく切って塩もみをして、余分な水分を切る。
② ①に細かく切ったタマネギとひき肉、すりおろしたしょうがとにんにく、ごま油、塩コショウを入れて混ぜ合わせる。お好みでオイスターソースや鶏ガラスープの素を入れてもOK。
③ 餃子の皮に②を包む。
④ フライパンで焼いて完成。

これ、①の「キャベツまたは白菜を細かく切る」も面倒なら「余分な水分をとる」も面倒くさい。そしてもっとも大変なのは③。小さい子どもがいて「一緒に包みたい!」とか言われた日には、手間が倍近く跳ね上がります。ただ前回のポテトサラダよりも救いがあるのは、餃子は一応メインおかずとして成立することでしょうか。

けど、現代社会は餃子にそんな手間暇をかけている人はそれほど多くありません。「リビングくらしHOW研究所」が2019年に週に2~3日以上自宅で食事の用意をする女性を対象に実施した調査によると、焼き餃子を作る際に「市販の皮を購入してタネは手作り」と回答した人は32.3%。僅差ですが一番多かったのは「冷凍利用」で33.6%だそうです(※)。

※リビングくらしHOW研究所 
https://www.kurashihow.co.jp/markets/14799/

冷凍食品の餃子、確かに美味しいです。ちなみに冷凍餃子でトップシェアを誇る味の素の「ギョーザ」は、年間売上200億だそう。我が家もお世話になっております。

包むのが面倒なら乗せちゃえばいい!

ここまで書いてアレなんですが、じつは、私自身は週末の時間に余裕があるときによく手作り餃子を作っています。なぜなら自分が作る餃子が好きだから。自分好みの味を好きなように作れるのは料理を手作りする醍醐味と言えます。
が、いかんせん餃子を作るのは手間がかかる。なんとか手間をできるだけ省いた美味しい餃子を手作りすることはできないだろうか? そんなことを考えていた際、ふとTwitter(現X)でこんなキーワードが話題になっていたことを知ったのです。それが「包まない餃子」。

はい、つくってみました。餃子の皮を包むのではなく、タネの上に敷き詰めて焼くのです。これで餃子最大の手間作業「餃子の皮にタネを包む」が一気に解消。一体誰が最初に考えたのかはもはや定かではないですが、現在、Twitter(現X)では有名な料理家の方から一般ユーザーまで、多くの人がこの包まない餃子の写真を投稿しているのです。

しかし私は思いました。これだけではもう1つの面倒な作業「キャベツまたは白菜を細かく切って塩もみをして、余分な水分を切る」が解消されていないではないですか。それを解消できる方法はないのか? ふと考えてみて、ある方法を思いついたので早速チャレンジしてみました。材料はこちら!

・豚ひき肉
・餃子の皮
・にんにく
・ホタテの缶詰
・千切りキャベツ

切るのが面倒なら、切ってある野菜を使えばいいじゃないか! そんな単純な発想によって「千切りキャベツ」を購入。ほかタネの具材に豚ひき肉、にんにく、そしてホタテの缶詰をチョイスしてみました。ホタテの缶詰は「崎陽軒」のシウマイがホタテを練りこんでいるという話をもとに「餃子に入れても美味しいのでは?」と試してみたことがキッカケ。これが本当に美味しくて、お気に入りなのです。ただホタテの缶詰は値段がお高め。かわりにオイスターソースや鶏ガラスープの素などを入れても美味しいですよ。これに普段はショウガも入れていますが、今回は買い忘れたので入れませんでした。私の料理はこんな感じで日々ありもの勝負です。

キャベツの千切りに一つまみの塩を入れて揉むと、水分が出てきます。これを絞ったのがこんな感じ。かなり手間を省くことができました。

ここに皮をのぞく残りの具材と塩コショウ、ごま油を加えて混ぜ合わせれば、タネは完成です。

そして餃子の皮を敷きつめたフライパンにタネを入れ、焼いてひっくり返せば完成! ひっくり返すのがちょっと難しいですが、フタに一度移動してひっくり返せば楽にできます。

皮に自分で具材をのせて食べると、それはもう完全に餃子そのもの! もう家庭料理の餃子はこれでいいのでは? と強く感じました。今回は手間をより省くために市販の千切りキャベツを使いましたが、自分でカットすると、もう少しキャベツの食感が楽しめると思います。でも十分に美味しいです。

ポテトサラダもそうですが、今後はこんなふうに家庭料理がどんどん手間抜きのレシピとして進化していくのかもしれません。そしていずれは「餃子って昔は包んでいたんだって!」「えー面倒くさい!」なんて言われる日が来たりして。そんな未来のために、私も頑張って手間のかからない美味しい家庭料理の研究に励みたいと思います。

(つづく)

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