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望んでいた結果が得られないって判っていても本気でやり切ることの意味

昨日、下の子の小学校の運動会があった。
その中で5年生のチーム対抗リレーが行われた。
よく見る抜きつ抜かれつの展開。


レースは進んでいって、あと何人かでアンカーにバトンが渡される様相。
そんな中、あるチームでバトンパスが上手くいかなくて、走っていた女の子二人が転んでしまった。


誰もが息を飲んだと思うけど、転んでしまった女の子はすぐに立ち上がってバトンを拾って、受け取って走り出した。


順位は一番最後になった上に前を走るチームからは大きく遅れてしまった。
「取り返さなきゃ」という気持ちが表情、走る姿から伝わる。
彼女は必死に最後まで全力で走って次の走者へバトンを繋いだ。


次の走者も何とかしようと走る。
もうすぐアンカーへのバトンパス。
他のチームとは大きすぎる差があったけど最後まで走りきってアンカーへ。

アンカーの男の子がバトンを受け取って前を向いて走り出した時、その顔には「思っていた展開と違う」という感情が滲み出ていた。
見ている側は気安く「頑張れ」なんて言えない程に。


そして、もうどうにもならない位に他のチームからは離されていた。


でもね、彼は諦めなかったんだ。
走っている途中で他のチームの走者がゴールしたのが見えていても最後までスピードを落とすことなく走った。
最後まで本当に全力で走りきった。

ゴールした瞬間、彼は着ていたビブスの前をたくし上げて顔を覆った。
うんと控え目に言っても周りが判る位の号泣。
みんなで最後まで繋いだバトン。
それを受け取りに来た係の人も声をかけられない位に泣いていた。


きっとね、リレーの走る順番でアンカーになることが決まってから彼には相当な思いがあったんだと思う。

見た感じ何かスポーツをやっている様な体つきだったし。

きっと自信もあったと思う。 

「自分がチームを一位にしてやる」っていうような気持ちが。

だからバトンを渡される前に目の前で起きたことは本当に受け入れ難いものだったんだろう。



「こんな筈じゃなかった」


もっと接戦で競い合うとか、誰よりも早くゴールを走り抜けるとか。
そんなことを想い描いていたんだと思う。


現実はそうじゃなかった。


それでも、望んでいた結果、決して納得できる結果にはならないって判っていても最後まで投げ出さずに全力で走りきった。


見ていて胸が苦しくなった。
切なくなった。
ぐっと込み上げてくるものがあった。



最後まで走りきった事。



きっと意味がある。
彼にしか判らないものなのかも知れないけど、凄く大きな意味があるんだと思う。


きっと周りの人達の中にも何かを感じた人はいたはず。


これから次の運動会までの一年、彼は何かを背負ってしまうのかも知れない。
大人にとっても一年間って長い時間だけど小学生にとってはもっともっと長く感じられる時間。

悔しくて、人目を憚らず声をあげて泣いた事。

彼はこの気持ち、感情をずっと忘れることはないだろう。

この事がきっかけで何か良いことがあれば、今までの、これからの頑張りは本当に大きな意味を成す。

彼はまた来年もアンカーで走ると思う。
きっと、望んでいた結果を取り返す為に最後まで全力で走る。


その時に彼の頑張りが報われるといいな、と願う。



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