見出し画像

永久欠番のあなたへ



…微笑ましいニュースですね。
それでは続いてのニュースです。


そう言ったキャスターの顔はそれまでの笑顔から一転して険しい表情になった。


緊急速報です。
先程、政府は新たなウィルスの発見を公表しました。


このウィルスは急激に広まっており、これから先もその範囲は広がっていくことが予想されます。


このウィルスの特徴は身体には影響はなく、外見の変化は見られません。
しかしながら一度このウィルスに感染してしまうと、様々な妄想を抱くようになります。しかも感染者によっては繰り返し妄想してしまうようです。そしてそれを不特定多数の人々に伝えてしまうのです。更に恐ろしい事にその様子を目にした人はそれだけで簡単にそのウィルスに感染して同じ事をするようになってしまうのです。

どこにウィルスが潜んでいるかを見極めることは難しく、気付いた時には既にウィルスに感染しているのです。

現時点で有効なワクチンは見付かっておりません。
大変危険です!どうか、このウィルスに近付かないようにして下さい!

これ以上…




そこまでの映像を見てモニターの電源は切られた。

「参りましたね…。
今まで数多くの事例を見てきましたが、これ程のものは過去にはありませんでした。」


note運営事務局の面々は頭を抱えていた。


「早急に手を打っていかないと…」


幹部の一人がつぶやいた。


「でも、どうしたら良いっていうんですか?もう我々の手には負えない位の勢いでその数は増えているんですよ!」


別のメンバーが声を荒げた。


「しかし、そうは言っても…」


その後は沈黙が続いて時計の針が動く音だけが聞こえる。


沈黙を破るようにして一番若手のメンバーが口を開いた。


「これ、一応管理リストに登録しておきますね。えーっと、ナンバーは…、874。」


No.874


コードネームは
「エイト・セブンティフォー。…ハ、ナシ?」


秘密裏にそう呼ばれるようになったウィルスは依然として猛威を振るっている。


納まる気配はない。


どこまで拡大していくのか…。





あれからどれ位年数が過ぎたのだろう。

今では何事も無かったようにnoteの世界は穏やかに続いている。
優しい心を持った人たちがそうさせているのは確かだ。

エイト・セブンティフォー


そんな言葉があったことさえ忘れている。


でも、この多くのnoterの心が惹きつけられ、輪が大きくなったことはnoterの心から忘れ去られてしまうことはない。

No.874

やがてこの番号も永久欠番となった。
代わりはない。





なんのはなしですか







2024/5/8 追記

嬉しいことに優谷美和さんが今回のnoteの世界を広げて下さいました。

是非こちらのnoteもご覧ください!!




#青ブラ文学部
#永久欠番のあなたへ
#なんのはなしですか



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?