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B5サイズの小説組版を縦式で妄想したメモ

アンソロ主催するとか合同本作るとか組版担当するとかそんなではないのですが、思うところがあってB5の組版を模索しています。
この記事に関係ないので具体的には書きませんが、まぁ色々あったのです。

以下
「アンソロ・合同本想定」
「普段webでしか小説を発表しない人や、紙の小説をさほど読み慣れていない人にも優しい」

……そんな組版はないかと試してみたメモです。

実際に印刷・入稿して確かめたわけではないので実用に耐えうるかはわかりません
ただの妄想といっても過言ではない代物です。「こうすべき」と断言するものでは全くありません。
あと可読性とか速読性とかデザインとかそういうものを勉強したことも特にないです。完全に私の主観と独断と偏見によるものです。

ちなみにですが当方、改行や会話文多めの字書きです。個人誌は余白や行間を極力削って行数をみっちり詰めています。

サンプル作成にあたりこちらの作品を青空文庫からお借りしました。

なお、縦式の組版についてはこちらの解説がとてもわかりやすかったので貼らせていただきます。
ご覧いただくとわかりますが、サンプルに使用させていただいた作品のチョイスはこちらの記事の真似です……すみません……他にちょうどいいものがうまく見つけられなくて……

サンプルは
・iOS14.8.1
・縦式v4.2.1
・塗り足しなしの仕上がりサイズ

で作成したものをSideBooksで見開き表示しています。
iOSは「源暎こぶり明朝iOS15で使えない問題」のときに更新を切ってそのまま……(※現在は最新verのフォントで解決済み)

31字×27行×2段

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字数行数をもう1ずつ減らしてもっとゆったりさせてもいいかな? とも思う。31字は結構縦に長いな〜と改めて版面を見て感じた。

20字×27行×3段

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パッと見の密度は結構高いけど、字数的にはさほどでもない。

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後述の禁則処理の関係で、どちらも余白、特に段間を広めに取っています。
ノドの23mmは、B5としては余裕があるのかないのかわからない。よほど厚くない限り「文字が巻き込まれて読めなーい!」ってことはないだろうけど……B5は個人誌では縁がないから未知。

左ページヘッダーの作品名・作者名は出力設定オプションの「ヘッダー、フッターにタイトル表示」で挿入。2.0アドオンの課金で使用できます。
他にも行間調整やダッシュ調教などもしてくれるので、本を作るなら課金したほうがいいと個人的に思います。いくらか忘れたけど数百円とかだったはず。安。

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どちらのレイアウトもヘッダーとフッターの位置は-3mm(標準位置より3mm外側へ)
基本的には無調整でもいい感じの場所に配置してくれますが、今回は段間が広めなのでそれに合わせて外側に離してみました。

 
個人的に「もし自分で組版するならこうしたいなー」と思っているポイントは

●可読性が比較的良好な明朝体を使う

今回は游明朝ミディアムを選択。iOSに標準搭載されているフォント。
A5の2段組で9.0ptだと太すぎるかもしれないけど、B5ならそこまで気にならないと思う。多分。

本当は仮名が小振りの、縦書きで読み流しやすいフォントがいいんだろうな〜と思う一方……普段webでしか小説を公開しない人や紙の小説を読み慣れていない人は、ディスプレイ上での可読性が高い(≒読み流しにくい)フォントのほうが違和感なく読める場合があるのですよね。
オン専こじらせ字書きだった、かつての私がそうなのですよ。UDフォントとまではいかなくても、全体的に多少大振りな明朝体のほうが“馴染み深い”。
そしてその中でもニュートラルなものを……と考えたら游明朝ミディアムになりました。あの子は紙でもディスプレイでも読みやすくて綺麗。

それからそういうフォントを使うときは、行間をゆったりめに取ると目に優しい気がする。本当なら6.0ptあるといいけど、改行の多い文体だとスカスカになってしまうので少し削って5.5pt。文字サイズに対して約0.61倍。
ちなみに普段個人誌では、行間は文字サイズの0.5~0.56倍で取っています。上に挙げたB5の組版2種も、私専用の仕様にするのであれば字数・行数ともに1ずつ増やして詰めてちょうど良くなる感じ。本当に改行というか台詞が多い私の小説。

そうそう、普段webでしか小説を公開しない人は漢字を仮名に“開く”ことをあまりしないのをよく見るので(※それ自体が良いとか悪いとかではなく傾向としての話です)そういう意味でもweb環境に近いフォントを選ぶのは悪くないんじゃないかなーと思う。
文章全体ある程度しっかり開いていないと、仮名が小振りだったりオールドがなだったりというのがさほど活きないし。

……でもこのあたり「知らない・そう思わない・どうでもいい」という場合は源暎こぶり明朝がいいと思います。あのフォント本当に何にでも合う。
この記事はあくまで個人の感想、妄想を綴ったものです。
(※源暎こぶり明朝含めttfフォントは縦式で埋め込むとエンコーディングがビルトインになり、印刷時に不具合が起こる場合があるそうなので印刷所に確認を)

●括弧閉じをぶら下げる

2段組サンプルの左ページの

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これ。雑な手書きで指し示してすみません。
ぶら下げ処理をするのは基本的には句読点だけみたいですが、今回は括弧閉じもぶら下げます。

理由としては、禁則処理で追い出しのかかる頻度を減らすのが一つ。文庫ページメーカーさんが括弧閉じをぶら下げるので、それに合わせるのが一つ。
文庫ページメーカーさんはTwitterで小説を上げている人みんな一度はお世話になっているだろうから(主語大きめ)可能なら揃えるのもアリかな〜と。

余白のあまりないキツキツなレイアウトの場合、括弧閉じのぶら下げは「なんかハミ出ていない?」って感じになることもありますが、今回は余白・段間を多めに取ってあるのでそのへんは大丈夫。のはず。
縦式さんの禁則処理は「追い出し&字間調整せず空白挿入」で一貫しているので、もし字間で調整したいのであれば別のツールを使いましょう。このへんは完全に個々人の好みによります。ちなみに私は字間が変わるのあんまり好きじゃないので余計に縦式さんにべったりですよ。

●2段組と3段組、どちらがいいか?

お好みでどちらでも。
強いて言うなら……じっくり読ませたい場合は2段組で1行の字数多め、サクッと読ませたいor小説自体のジャンル内規模が小さい(小説を読み慣れていない人が多い可能性がある)場合は3段組で1行の字数少なめが合う印象。ジャンル傾向や本のコンセプトが明確な場合は、そういう決め方をしてもいいかもしれない。
全話ぶっ飛んだギャグで構成されたB5の合同本が手持ちにあって、3段組かつ結構キツキツなレイアウトでしたが疾走感があって非常に良かったです。これは特殊な例か。


もっと細かく設定したいというのであればWordや一太郎を使うといいです。それか外部に組版依頼するか。InDesignは触ったことがないのでなんとも言えないです。
個人制作のアプリにそんな多くを求めるのは……今でさえ引くほど高機能なのに……(別に引かなくてもいい)

でも「iOS端末があったら数百円の課金でここまで綺麗にできるんだぜ〜〜」っていうのは声高に主張しておきたいな、という私のお気持ちでした。色々あったんです。
(縦式にはMac版もありますが個人的に環境がないのでわかりません)
縦式にWin版とAndroid版はありません。泥版として全然違うアプリが紹介されているのをよく見かける)

ぶっちゃけ綺麗にレイアウトできて問題なく印刷できれば、どんなツールを使っても構わないと思っています。
逆に言えば高いツールを導入してもうまく使いこなせなかったら意味がないとも……私はWordも一太郎も苦手だから余計にそう思う。