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折々のチェスのレシピ(128)

究極の選択、というと語弊があるかもしれませんが、実戦で次の局面になった時には時間をかけて考えたいと思うでしょう。

白の手番ですが、a1のルークが取られる可能性がある一方、d7のナイトを取ることも可能です。また、チェックをかけることもできます。さて、どうしますか?

結論から言うと、ナイトを取る手が最善です。なぜかと言われるとかなり説明が難しいです。なぜナイトを取る選択肢を選ぶかというと、上の局面でまず白はメイトが可能かどうか考えます。ビショップが2枚残っていて相手キングとの位置関係を考えると寄せ形までは作ることが可能だと、これはすぐにわかります。ただし、メイトまでかなりの手数がかかります。ということは、その間ルークを取られても自分がメイトされないかどうかを考えなくてはいけません。考えた結果、メイトされることはなさそうです。なぜなら、黒はルークを守りに使わざるを得ないため、白を追い込むことができないからです。また、白がビショップを活用するには黒のナイトが邪魔になる可能性が高いです。さらに、ナイトを取った際にルーク取りにあたるため、黒はルークを逃さなくてはいけません。そこで白(自分)に手番が回ってきます。

ということを、瞬時とは言わないまでも数十秒で判断します。この判断には、おおよそですが、読みが4割、直感が6割ぐらいの割合で働いています。経験に基づく直感は、文字どおり経験でしか養えないものなので、多く実戦を経験するしかないです。

付言すると、上の局面でルークを逃す(d1)手も決して悪い手ではありませんが、相手のナイトを残したことで終局まで混沌とするかもしれません。


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