「半自伝的エッセイ(43)」郊外の過去が住む家の軒下のツバメ
今でも半年に一回ぐらいは実家に帰る。帰ったとしても誰がいるわけでもない。誰もいないから帰るのだとも言えた。庭に繁茂した雑草を抜く、雨戸を開け、窓を開けて家の中に風を入れる。そんな用事を済ますために。
もう随分前のことになるが、母が亡くなって一年ほど放置しておいたら庭が大変なことになっていた。庭いじりが好きだった母がいなくなると、そこは庭というよりも小さなジャングルと化していた。たしか薔薇の花をめでられるように小道みたいなものがあったはずだが、ハーブなどの下草に埋もれてしまい