読書記録62

「おとな二人の午後」
五木寛之 塩野七生 著
角川文庫 平成十五年九月 初版
(2000年6月 世界文化社から単行本刊行)
〈E文庫〉

この対談は「家庭画報」に連載されたものらしい。
塩野七生さんが住むローマへ五木寛之さんが行って対談し、後に書籍化したようだ。(最後の章だけは東京での再会)

さすが実力のある作家同士の対談で読んでいて楽しい。
それぞれこだわりがあり、持論を展開するが、互いに相手を尊重し、意見が異なる時は軽く流し、笑いに変える。
食事にミュージカルにと二人はデートを楽しむかのようだ。

所々に写真のページがある。
服や時計、宝石、靴、バック、車、ワインなど身の回りの品々の話で盛り上がる。映画やアート。全てにこだわりがある。
健康、政治、教育、宗教、国のあり方、仕事や生き方についての考え。
話題は多岐にわたる。
「絶対文感」なんて言葉に驚く。

五木氏は敗戦と同時に旧植民地で難民となり、引き上げ者として帰国したが感覚は在日日本人。何処にいても自分はアウトサイダーで異邦人であるという。
塩野氏は30年以上もイタリア在住の作家だからまさしく異邦人。互いに理解しあえる部分も多いようだ。

長年作家として物を書き発表してきた。この二人ならではの透徹した考え方は奥深く、示唆に富んでいる。

この対談集が出てからもう20年以上経つ。お二人もお年を重ねられた。今の情勢をどのように考えてられるのだろう?

世界情勢や国内事情で変わった所もあれば、今こそ二人の話を参考にすべきと感じられる場面もあるのではないか。

「スペンデレペーネ」とは日本語で「充実した」の意。
が、イタリアでは「お金をうまく使った」と言う意味に使うとか。

「スペンデレペーネした一日の後にはこころ良い眠りがあるようにスペンデレペーネした一生の後には静かな死がくる。」とはレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。だそうだ。

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