見出し画像

【映画Winny】日本が失った天才プログラマーの悲劇 警察と検察の過ち

映画、Winnyを観ました。
正直、涙なしでは観れなかったし、日本の警察や検察に対して憤りの感じる作品でした。

これが事実だったと思うの胸が痛いのと、自分自身ももっとテクノロジーに対して真摯に向き合わなければならないと強く感じています。

まず、有名なWinny事件なんですけど、簡単に概略を話すと

2002年にソフトウエア開発者の金子勇さんが2チャンネルに投稿したP2Pソフト「Winny」が事の発端。

このWinnyは当時としては世界規模で見ても画期的なソフトウェアでした。
P2Pの技術を使って、データを端末にダウンロードできるファイル共有ソフトになっていて(今でいう違法ダウンロードみたいなソフト)、技術的には後に登場したPodcastみたいな仕組みです。

ただ、Winnyには著作権侵害の危険性があり、その部分をクリアできていなかった。金子氏も著作権侵害の懸念は2チャンネルにβ版を投稿した時点でわかっており、ここがWinnyの課題でもありました。

その脆弱性は、すでに多くのWinnyユーザーが理解しており、多くの人がWinnyを使って違法ダウンロードを行いました。

当時の京都府警はこれを事件性があると見なし一斉検挙に踏み切ります。

こともあろうに、その中には開発者の金子氏も含まれていました。

冷静に考えて、違法ダウンロードした作品を他人に金銭目的で販売するのは罪ですよね?
これは現在も変わりません。

ただ、このWinny事件の問題は開発者の金子さんが逮捕され有罪になってしまったことです。

たとえば、YouTubeに無断で違法アップロードしている人が捕まることがあってもYouTubeの開発元であるGoogleが訴えられることはまずありえません。

ガーシーが脅迫罪で捕まっても、それを拡散するための媒体であるYouTubeの仕組みの開発者が逮捕されるなんて通常はありえないことは容易に想像つきます。

しかし、このWinny事件はそれが起こってしまったのです。

当時インターネット創世記。ホリエモン事件もそうですが、新しいテクノロジーを使った犯罪に対して見せしめとも言える逮捕が相次いでいました。

こともあろうに、京都県警は事を丸く収めるためか、それとも手柄を立てるためか、供述書を偽造し言葉巧みに金子氏に模写させて裁判で有利になるように仕向けます。

後に、それが決定打となってしまって第一審で金子氏は有罪判決を受けてしまう。

その7年後の2011年、最高裁で検察側の上告を棄却し、無罪が確定。

その間、希代の天才プログラマーはPCに触ることすらできなかった。

その7年の間に世の中のテクノロジーは様変わりし、携帯電話はスマートフォンに変わり、音楽はCDからMP4に変わり、動画はYouTubeで見る時代に変わりました。

もし、金子氏が事件に巻き込まれなければ、日本の警察と検察がでっちあげの罪で金子氏を起訴しなければ日本を取り巻く環境は大きく違っていたのでは、と2チャンネル開設者のひろゆき氏をはじめ多くの人が語っています。

それくらい、金子氏の頭脳は可能性を秘めていました。

もし、あの当時の世界最先端のP2P技術を使ったWinnyが著作権の問題をクリアし、世界に広まっていたら、現在に世界中の音楽ユーザーが手に持っているのはPodcastやiTunesではなく、Winnyだったかもしれません。

日本は良くも悪くも(悪い方の比率が高いが)、出る杭は打つ文化です。
島国なので、突出した才能を持ったり新しい常識を排除する傾向にあります。

だから、日本からもう新しいソフトウェア技術が世界に向けて登場することはなくなりました。

これはWinny事件の以前と以後と顕著に表れています。
開発者が捕まってしまったことで、後に続く若い開発者が萎縮してしまうという流れが出来てしまった。

事実、最近の生成AIも検索エンジンもSNSも、ブロックチェーンの技術もメタバースやNFTなど、すべて海外発祥です。

もう日本は市場に入る余地さえなくなりました。

これは日本人として受け入れないといけない事実であり、かつての旧態依然以前として国の上層部の過ち、そしてそれを過度に発信し国民に流布したマスコミの過ちと言えるでしょう。

日本人の「革命者や異端児を許さない」という風潮が日本の経済と技術を止めてしまった。だから日本からイーロン・マスクやスティーブ・ジョブスが生まれることは決してないのです。

これも日本の教育文化が根源にありますが、シリコンバレーのように世界にイノベーションを起こす起業家や企業が生まれない理由が如実に表れているといって良いでしょう。

20年ほど前、僕の周りでは半導体の会社に勤める友人が多くいました。
その当時、日本の半導体企業は非常に活気があり、待遇も良かったです。
経済的にも右肩上がりの市場といってよかったでしょう。

しかし、現在日本の半導体市場はどうなっていますか?
ほぼ海外が市場のパイを独占しており、当時のような活気は日本からは消えてなくなりました。

それどころが、絶対安泰と言われていた日本の電子企業は軒並み合併や倒産、不祥事を起こし、どこめ横ばいか縮小を余儀なくされています。

これは中国や韓国の海外資本の企業がスマートフォンなどといった製造を日本より精度高く高品質で生産可能な技術を提供できるようになったからです。

日本はどんどん衰退しました。

もはや、日本が世界有数のGDPを誇って経済的にも豊かだったのは過去の話になるつつあります。

それも、このWinny事件を紐解いていくて謎が解けます。
「そりゃ、日本の上層部が腐っていたら国全体がダメになってしまうよね」という話です。

ここまでWinny事件やそれを取り巻く日本に20年間の所見を書いてきましたが、何も僕は日本の現状と将来を嘆いて悲観的になりたいわけではありません。

過去から学ぶこともある、ということです。
同じ過ちを繰り返さないことが大切なのです。

戦争といった歴史も同じで、繰り返さないことが大事じゃないですか。

もう二度とWinny事件のようなことを繰り返してはいけないのです。

僕はこの映画を見ながら「なんてバカなことをしたんだ!」とずっと思っていました。

金子氏は無罪を勝ち取ってから、わずは1年7ヶ月後に急性心筋梗塞でこの世を去ります。

金子氏がまた東大の特任講師に戻り、また開発者として仕事をしたのはわずか半年。

日本は本当に希有な日本の技術の最後の可能性を失ってしまいました。

ひとりの才能に罪を押しつけて、技術そのものを潰してしまったことは本当に罪深い。

今後、世界はIT革命からブロックチェーン、メタバース、そしてAI革命へと向かっています。

日本が今後、新しいテクノロジーを開発して世界に挑戦するために金子氏が開発したWinnyが残した形跡は非常に大きいです。

僕たちは、それを旨に新しいテクノロジーと向き合っていかなければなりません。

もう二度と、バカげた過ちを繰り返さないようにし、それを許さない社会にするためにも。

参考になりましたら幸いです。

ちなみに映画のWinnyはAmazonプライムビデオで見れます。

絶対に見た方がいいですよ。

参考になりましたら。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?