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わたしのルーツ

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わたしと、昔話。登場人物はあとどれくらい?
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ホテルニューオータニと、わたし。

ホテルニューオータニと、わたし。

あの頃、まだ幼かった私はいつも
「何か、突拍子もないことがしたい。」と。
そうやって前に進みました。後先を考えず、損得も考えず、化粧は濃くても素顔に近いような。心はいつも、何も着飾っていない。裸にも似た状態で過ごしていました。自分がどんな自分になりたいのか、どんな大人になりたいのか、自分のことをよく知らないまま、人生の選択をしていたのです。それは知性のカケラもなく、本能に近い様子で、非常に、動物的

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走れ!人生に追いつかれる前に。

走れ!人生に追いつかれる前に。

私には5個上の兄がいる。
兄は生まれつき心臓病だった。心臓に穴が空いたまま生まれて、間もなくその小さな身体で大手術を受けたんだ。だから兄の初めての食事は「離乳食」ではなく「お薬」だったと母は言った。それに心臓以外にも。生まれてすぐの写真を見ると右頬には大きなコブが見えていたり、子供の頃の喘息はひどかったと話を聞く。「今思えば、発達の遅れもあったのかもね。」と母は言った。あの頃は現代と違って身近に情

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センチメンタル実家

センチメンタル実家

近頃、「実家」という場所に行くとセンチメンタルを起こすんだ。それは悪い意味ではなく、やけに良い意味で。

私の実家は、お金持ちでもないし、貧乏でもない。両親が健在で、未婚の兄がいて、祖母が同居しているから大人が4人で暮らしている。とぼけてお茶目なボーダーコリーもいる。ちょっと変わった普通の家だ。そこへ、私は息子を連れて遊びにいく。

実家の玄関をあけると、まずやってくるのは決まって母だ。そして母は

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わたし

わたし

わたし、
猫の日生まれ。
似ている芸能人はにゃんチュー。
武士みたいに真面目なお父さんと
ハタチみたいに宇宙人のお母さんと
万年不登校のピカソな兄の元に生まれたのに
まぁまぁ普通の大人になりました。

わたし、
太陽星座も、月星座も「魚座」なもので
生粋の善人。
自分と他人の境目がない。
だから、全部が自分ごと。
だから、戦争も見れないし虐待も見れない。
ニュースを見ると、ゲロ吐いちゃうし
グロい

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ブラザーイズ

ブラザーイズ

私には兄がいる。

一言で言えば
私と兄は対照的だ。

 
 

私が晴れだとしたら
彼は雨だし

私が夏なら
彼は冬かもしれない。

私が部長なら
彼は幽霊部員だったし

私が太陽であれば、もちろん
兄は月である。

ただ、勘違いして欲しくないのは
彼は暗くてつまらないやつ

ではない。

パンクバンドを愛していて
過去にはボーカルをしていた。
大声で歌い、客を盛り上げ
踊り狂うセンスを持ってる

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浮気現場と、死んだ私

浮気現場と、死んだ私

みなさんは「浮気」について、何を思いますか?私は今だったら、もっと。諦めたり、呆れたり、諭したり、逃がしたり。そういうことができたのかもしれないって。そう思うんです。
ただ当時の私は、タダで逃すわけにはいかないと。復讐の念に燃えてしまいました。それは愛していたからですね。あ、愛していたのは彼のことじゃなくて、自分のことだったかもしれません。いやもっと正確にいうのであれば「彼に尽くすわたし」が好きで

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究極の愛とは

究極の愛とは

私には一度も会ったことのない祖父がいる。
彼は、まだどこかで生きているそうだ。

そしてつい最近知ったんだけど、その祖父は
経営者だったらしい。

ハンサムで、気が良くて、
誰からも愛され、
誰からも頼られるような人で
いつも、彼の周りは賑やかだった。
と。

ただ、人が良すぎた祖父は
人助けをしすぎた結果、裏切られ
経営に失敗し多額の借金を背負いきれず
とんずらした。
と。

そして代わりに祖母

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母からの教え

母からの教え

私の母は、どちらかというと、

料理が上手な方ではないし

どちらかというと、

勉強ができる方でもない。

子育てが上手かったか?と言われると
それもなんか、違うような感じ。

家事も、主婦歴40年にして
まだまだ苦手なようだ。

おそらく、人間クオリティで言えば
五角形のグラフにした時
ものすごい小さな五角形ができそうな。
ちょっと鈍臭いタイプ。

だが、

そんな母には、天性の才能があるんだ

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mother

mother

今日は母の誕生日でした。今までも、このエッセイに度々登場してきた母ですが、めでたいことに還暦を迎えました。とは言っても、中身は相変わらずのハタチであり、芸術家であり、霊能者とも言えますし、お笑い芸人とも言えます。大魔境とも言えるかと…。そんな彼女は「母親」として、アウトではないが、セーフでもないんですね。世の中の「母親像」とは何かが違う。明らかに、何かが違うのです。その「何か」について、今までは考

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闇から抜け出した日の話

闇から抜け出した日の話

私には、記憶がすっぽり抜け落ちている時代がある。

7年前。心の病、真っ最中のことだ。心因性ショックにより、ある程度の記憶は全て、涙となりこぼれ落ちた。あの涙は幻のように、溶けて無くなったのだろう。7年前。私が苦しむ中で起きた出来事や、住んでいた部屋の様子。食べていた食事、出会った人の名前、何度も踏みしめた駅のホームはひとつも出てこない。必死に思い出したところで、声や、表情や、音や季節なんかも、う

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 My father

My father

今日は父の日だった。

私の父親は、健在である。「あなたの父親は、どんなお父さんですか?」そう聞かれたらいつもこう、答えている。
「武士のような人です。」と。まぁ、俗に言う頑固ジジイみたいなもんだ。武士だけど、ダジャレとかも平気でかましてくるし、つまりは、親父。兎にも角にも、厳格なのである。

それはそうと、我が家では誰も、「父の涙」というものを見たことがない。それは日々、メソメソしてばかりの私な

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