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2人の女の恋話

「ねぇ、母さん。ずっと聞きたかったんだけど。」

「なあに?」

「どうして母さんは父さんを選んだの?」

「私が5人に口説かれてたのは話したわよね?」

「何度もね。」

「大体の男はねー、『楽させてやる』とか『俺が幸せにしてやる』とか言うのよ。」

「いいじゃん。」

「でもね、あの人だけ『君と歩きたい』って言ってくれたのよ。」

「それだけ?」

「あら、大事よ?よく考えなさい。他の男は私に楽をさせる代わりに自由を奪うのが見え見えじゃない。そんなのただのアクセサリーだわ。」

「確かに。」

「あなたのお父さんだけが、私をパートナー、1人の人間として扱ってくれたのがその一言で分かったの。」

「母さん。」

「ん?」

「頭のいい女って、やっぱり素敵ね。」

「でしょ、まぁ、それで損することも多いのだけど。」

「でもたぶんその一言だけじゃないでしょ?」

「あらバレた?もうひとつの理由はね、あの人の作る唐揚げがとても美味しかったからよ。」

「…は?」

「お弁当に唐揚げは大事でしょ?だからこの人のお店は大丈夫だって思ったの。」

「なるほどね…。あ、母さん。父さんが新メニュー出してる。」

「あらあら。男のガッツ弁当ですって。美味しそうね。」

「何で私たちがまだ生きてるころに作ってくれなかったのかしらね。」

「あの人ったら本当に。」

 そういいながら天国での女子会は続く。ただ、唐揚げがないのが物足りなかった。

以上、らずちょこでした。

※この物語はフィクションです。

ここまで読んでくださった皆様に感謝を。

ではまた次回。

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