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春風の蛍宿

気がつけば其処に常夜灯


ゆらゆらとしていた

今もたいして変わらぬ底を浮遊している

浮塵子虫
浮塵子虫

ただウロウロと
ワーンワーンと


強すぎる風に
身を隠す
一縷の葉の裏の衣

振り落とされまい
一条の光


教えないでね
見つけないでね
そっとしておいてね

蛍の光が流れて来ると
気恥ずかしさと
いたたまれなさと
おのれの来た道のすべてを

見透されているよな羞恥に曝される
それでいて
離れがたく
一刻もはやく
立ち去りたく衝動
誰彼に

息をつける場所は在巣であり

有栖の森はそこかしこに存在している


小さな月と間違えて

少しだけ風宿りをさせてもらいました



まだ風は吹いている

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