コミュニケーションの間合い

コミュニケーションの間合い

※全文を公開している「投げ銭」スタイルのノートです。

他人との関係性をいかにして築くのか。

それについて考えてみましょう。

イメージするのはボクシングです。

ボクサーのタイプに、インファイターというものがあります。相手との間合いを詰めて、至近距離で強力な攻撃をお見舞いする。そんなスタイルを好むのがインファイターです。幕の内一歩スタイル、と言えばよいでしょうか。

私の妻は、まさにインファイターのようなスタイルで相手との関係性を構築します。

なんかもう、いきなり親しげなのです。なれなれしい、というわけではありません。でも、すっと__まるでATフィールなんぞどこにも存在しないかのような足取りで相手との距離を詰めます。で、3分後にはすっかり打ち解けている。

驚嘆すべきスキルです。

私は接客業において、彼女が次々にお客さんを「常連客」に変えていく姿を目の当たりにしてきました。天職、というのがあるならまさにそれでしょう。

でも、インファイターにはリスクがあります。たとえば、カウンターを喰らうとか。

やはり、そうやっていきなり距離を縮められることに抵抗感を覚える人もいるでしょう。あるいは、そう親しくもないうちに身近な話題に触れすぎる、という危険性もあります。それが逆鱗ではないとは限りません。

だから、彼女は多くの味方と共に、それなりの敵も作っています。敵というか、なんとなく嫌われている、という感じでしょうか。

で、彼女はそのことを気にしているようです。自分は、未熟だと。

対して私は、完全にアウトレンジを好むボクサーです。

ジャブを多用しながら、じわじわと距離を詰めていく。そういうスタイルで他の人と関係性を築いていきます。この人はどんな人かな、どういう発言をされるのかな、何を気にする人なのかな、何を気にしない人なのかな……、そうしたことを観察し、一歩ずつ理解を深めていきます。で、「あぁ、この辺の距離感がいいんだな」というところで足を止める。

このスタイルでは、軋轢など生まれようもありません。人とケンカすることも滅多にありません。平々凡々な毎日が送れます。

そのことを、妻はうらやましく感じているようです。なんなら私の方が「コミュニケーションスキル」が高いとすら思っているようです。でも、そんなのはまったくの勘違いです。所詮はタイプの違いでしかありません。

私の場合であれば、まず圧倒的に時間がかかります。だから、そう多くの人と友達になることはできません。また、どうしても探り探りなので、一歩踏み込んだ関係にはなかなかなりません。彼女のように、「困ってたらいつでも言ってきいや」と言ってくれるような人の数は、ずいぶんと限られてしまいます。

結局の所はトレードオフで、向き不向きがあるだけです。ある種の平面から見れば、どちらかが「優れている」とは言えても、それが絶対的で固定された評価とはなりません。

私が思うに、自分と違うスタイルの人に敬意を払うのは良いとしても、向かないスタイルを必死に真似するのは、あまりよろしいことではないような気がします。

それは結局の所、(絶対に逃げられない)自分から逃げようとすることでしかありません。

できることはできるし、できないことはできない。

トートロジーでしかありませんが、心に留め置く教訓ではありそうです。

さて、みなさんはどちらのタイプでしょうか。

※このページの内容は以上です。「投げ銭」歓迎しております。

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コミュニケーションの間合い

倉下忠憲

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